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星河の覇皇

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第八十一部第二章 軍事の素養その三十一

「私程生活力のない者もいない」
「旦那様は別に」
「そうではないとか」
「思いますが」
「いや、事実だからな」
 自分が今言っていることはというのだ。
「このことは」
「そうなのですか」
「私は実際にだ」
「軍隊と政治の世界の二つだけで」
「他のことはな。貴族の嗜み以外は」
 まさにというのだ。
「知らない」
「メイドの仕事は誰でもです」
「ははは、そう言うか」
「そう思いますが」
「それは間違いだ、私はいつも従兵達の仕事を見てだ」
 これも軍の中のことだ、尚士官は従兵を叱ったりその仕事に文句を言うことは余程のことでないとしてはならないという不文律がある。従兵が平民でありまた階級が自分達より遥かに低いから大目に見ろということだ。
「とても出来ないとな」
「思われていましたか」
「常にな、それでだ」
「今もですね」
「私は何も出来ないとだ」
 身の回りのことはというのだ。
「思っている、駅に行ってもだ」
「まさか切符は」
「買い方を知らない」
「そうなのですか」
「定期の話は聞いたが」 
 その存在はだ。
「その買い方も使い方もな」
「ご存知ないですか」
「いつも手配してもらっていた」
 そうだったというのだ。
「列車を使用する際もな」
「そうなのですか」
「君は切符を買えるな」
「はい、学生時代は電車で通学していましたし」 
 メイドはマールボロに答えた、尚彼女の家は貴族の家に仕えている者の常として代々マールボロ家に仕えている。それだけに彼女にとってマールボロは我等の旦那様であり親しみもかなりもっている。
「ですから」
「だからだな」
「はい、今も外出の際はです」
「電車を使えるか」
「左様です」
「そうだな、だが私はだ」
 その常識と言える様なこともというのだ。
「出来ない」
「では」
 メイドは自分の主の言葉を聞いてこう言った。
「連合では特に複雑だそうですが地下鉄は」
「そちらか」
「各路線がかなり複雑ですが」
「ロンドン星系の中心部は特にその様だな」
 イギリスの首都の話をだ、マールボロは話した。
「イギリス最大の迷宮だとだ」
「言われているそうですね」
「このマールボロ星系にも地下鉄があるが」
「やはりです」
 メイドは主に再び答えた。
「複数の路線が入り混じっていまして」
「複雑だな」
「それなりに」
「そして連合はか」
「かなり凄いとか。弟が鉄道好きなのですが」
 所謂鉄道マニアだ、鉄ちゃんともいう。
「連合はさらにです」
「複雑か」
「特に日本は」
 この国はというのだ。 
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