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星河の覇皇

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第八十一部第二章 軍事の素養その三十二

「元々鉄道大国でしたが」
「我が国が鉄道をはじめて開発したがな」
「それが、ですよね」
「我が国のお株を完全に奪ってな」
 イギリスではこの時代よくこう言っている。
「そしてだったな」
「はい、まさにです」
 そこはというのだ。
「凄いことになっていまして」
「地下鉄もだな」
「地下鉄の路線が縦横に走っていて」
「ロンドン星系のそれ以上にだな」
「複雑な迷路になっているとか」
「弟さんが話しているか」
「まだ高校生ですが」
 それでもというのだ。
「そちらの知識が凄くて」
「成程な」
「日本人でもその地域にいないと」
 つまり土地勘がないと、というのだ。
「迷うとか」
「そうした場所か」
「そう言われています」
「では私はだ」
 ここまで聞いてだ、マールボロは自分の話をあらためてした。
「このマールボロの地下鉄も一人だと迷うだろうしだ」
「日本では、ですか」
「確実にそうなってだ」
 迷ってしまってというのだ。
「生きて出られないだろう」
「そうなってしまいますか」
「私はそうだ、とかく生活力はない」
 世間を知らず家事等が全く出来ない意味でというのだ。
「とにかくな」
「そこまでとは」
「思えないか」
「私からしてみれば」
「他の者がどう思ってもな」
 それでもというのだ。
「私自身はそう見ている」
「左様ですか」
「軍人では特に多い、軍隊という狭い世界にいてな」
 そうしてというのだ。
「士官ともなると余計にだ」
「軍隊以外は知らなくて、ですか」
「何でも周りが事前にしてくれてな」
 それも言う前にだ、何しろ軍服のクリーニングや靴磨きまで行ってくれるのだ。
「そんな風だからな」
「生活力はですか」
「備わらずな、世間知らずにもなる」
「そういう世界ですか」
「それでいて多くの軍人はな」
 彼等はというと。
「自覚がないのだ」
「そのことについて」
「それでいてだ」
 生活力がなく世間知らずでもというのだ。
「正義感は強くまた自分は何でも出来る、知っているとだ」
「思われているのですか」
「困ったことにな、軍人の職業病か」 
 マールボロはこうまで言った。
「このことはな」
「そこまで至るのですね」
「どうもな」
「騎士道ですか」
「そうだ、騎士道はだ」
 これはというのだ。
「エウロパ軍人にとってはな」
「絶対のものなのですね」
「我々は軍人だが」
 それでもというのだ。 
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