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星河の覇皇

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第八十一部第二章 軍事の素養その十六

「軍も補給がないとだな」
「動けないですね」
「武器や燃料、食料がないと」
「それではどうにもなりません」
「まずはそうしたものがないと」
「そうだな、では両軍共な」
 オムダーマン軍もティムール軍もというのだ。
「まだ戦える、国力はティムールが不利だが」
「それでもですね」
「まだ戦えますね」
「この状況でも」
「一度敗れていても」
「そうだろう、あの敗北はたまたまかも知れない」
 この日のティムールのそれはというのだ。
「ではな」
「それではですね」
「ティムール軍についてはですね」
「まだ悲観すべきでない」
「戦闘は可能ですね」
「両軍の兵器レベルは同じだというしな」
 このことは事実である、だがそれでもジャバルが見ているのはあくまでカタログスペックのことだ。しかも表に出ているだけだ。
「ではな」
「そうそうですね」
「総崩れにならず」
「そしてですね」
「これからも国境での戦闘は続きますね」
「そうだろう」
 これがジャバルの読みだった。
「ではな」
「さしてですね」
「驚くこともないですね」
「では我々はこのままですね」
「自体を見守っていきますね」
「そうしていこう」
 こう言ってだ、またカリーを食べた。ここで彼はカリーの中の鶏肉を食べてそのうえでこんなことを言った。
「面白い味だな」
「はい、今日の鶏肉ですが」
 後ろに控えていた彼の家のシェフが答えた、このシェフもアウトカースト層の者である。
「闘鶏を引退した鶏で」
「それでだな」
「その腿肉をヨーグルトに漬けてです」
「柔らかくしてだな」
「風味も付けました」
 そうしたものだというのだ。
「そうしたもので」
「だからこの味だな」
「如何でしょうか」
「美味い」
 ジャガルは感想を一言で述べた。
「実にな」
「そう言って頂けますか」
「事実をな」
 まさにそれをというのだ。
「言わせてもらう」
「有り難きお言葉」
「私は事実を言ったのだ」
 だからというのだった。
「礼を言う必要はない」
「左様ですか」
「その場合はな、これが闘鶏の味か」
「引退したものですが」 
 年老いてそうなったものだというのだ。
「その肉は弾力はありますが」
「闘鶏は身体を動かすからな」
「ですが」
「弾力があってもな」
「肉は固いです」
 それが問題だというのだ。
「弾力があっても」
「つまり弾力を保ちつつだな」
「はい、固さはです」
 それはというのだ。 
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