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少女は 見えない糸だけをたよりに

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9-7

 私とすみれさんを前に、朝、暁美さんが

「ウチ 昨日 有馬暁美になりました 正式に籍を入れてもらったの 教会に行ってね、写真も撮ってもらったんよ」と、報告してきた。

「そう 良かったわね おめでとう」と、すみれさんが言ったので、私も拍手していた。

「ありがとう でもね ウチ 親が反対してたけど、無理やり同棲したんや だから、ウチの親は、まだ、ウチ等のこと認めてくれてないねん」

「あら まぁー それじゃぁ 赤ちゃん産むのも大変じゃぁないの?」

「うん 彼の家は とりあえず 認めていてくれているから なんとかなると思う それにね、ウチの家も赤ちゃんが出来れば 変わると思うんだけど」

「お母さん これから大変ね 何にも出来ないかも知れないけど、何かあったら、相談してね」と、すみれさんは気を使っていたが、私は何にもわからないので、黙っていた。

 その夜、お姉ちゃんが「暁美ちゃんのこと聞いた?」

「ええ 籍を入れてもらったって この前、赤ちゃんが出来たって言ってたから」

「そうよね それは、おめでたい事なんだけど お店のローテーション困るわね」

「お姉ちゃん 私、水曜のお休みも、お店に出るよ それと、朝、9時から出るよ」

「そんな訳にいかないわ 今でも、働き過ぎなのに 香波 あの持ち帰り用始めてから、早い目にお店に出てるでしょ 私に黙って」

「ごめんなさい 気になって・・しまって」

「いいんだけど 香波 自分で抱え込まないで、何でも 相談してちょうだいね これから先 もっと 大変になるんだから」

「うん わかった」

「人の件は 考えるわ 暁美ちゃんも 気にして、今年いっぱい だって エンジェルとしてやっていけないからって 自分から言ってきたわ」 
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