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少女は 見えない糸だけをたよりに

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9-8

 金曜日なので、グリーンサラダの人が来て、用意していたものをお渡しすると

「あなた この前、学食で見たわよ 大きな声で おいしかったです。ごちそうさまでした って、食器を返却する所で・・ 私 びっくりしてね 見たら あなただったわ 側の学生に聞いたら、何学科かわからないけど、時たま来る謎の天使ですってね あなた、ウチの学生さん?」

「いいえ 違います すみません あそこの おいしくて、安いから・・」

「いいのよ 別に 誰でも利用できるんだから でもね 食堂の人に聞いたら、お料理を受け取る時も いただきます って、受け取るんだってね そんなこと言う学生居ないから、食堂の人も感心してたわよ とても丁寧で感じのいい子だって  それと、あなたの声を聞くと元気がでるんだって ねぇ 一緒に居たの 彼氏?」

「彼氏っていうのかなー 今、3回生です 私の大切な人です」

「そう このサンドもあなたが作るから おいしいのよね これからも、お願いね」と、学内のほうへ。 

 夕方になって、くるみちゃんが来た。

「ねぇ 香波 店長から、誰かバイトする娘居ないか探してって頼まれたのよ それでね1年とか2年の娘に、何人か声掛けてるんだけどね 第一条件がエンジェルにふさわしいってことでしょ なかなか ウチより可愛い娘って居ないのよー」

「あっ そ そーよね くるみより ねぇー ふっ」

「なによー 今 笑ったでしょ ウチやって 香波には負けるかもしれんけど 香波より愛嬌ある顔してるよ」

「うん 親しみある」

「ちょっとー それって 美人じゃぁないってこと?」

「そんなことないよ くるみって 明るくて親しみやすくって 心がきれいな美人ってことよ」

「うふっ まぁ 許すかー 香波のいうことなら それより どうしょうかなー 店長 ハードル下げてくれないかなー」

「だって 居ないんなら仕方ないヤン 明るい人ならいいんじゃないの」

 その夜、お姉ちゃんに、恐る恐る言ってみた。

「お姉ちゃん くるみ 苦労してるみたい バイトの人のこと」

「そーだろうね やっぱりいないかー」

「あのね ハードル高いって エンジェルみたいな娘って」

「そう だけどねー お店の名前がね 何とかしたいなぁー いろいろ伝手を頼っているんだけど」

「あのさー 怒らないでね 私の思っていることだから・・ ウチのお店は美味しくて、安いから人気あるんでしょ だったら、美味しいものを提供するから、お客様がエンジェルになってくれるんじゃぁないかなー だから、提供するものに愛情持ってくれているんなら 従業員の見た目なんか関係ないんじゃぁないかなー」

「香波 それは、あなたの考え方でしょ 私は、私の理想の形であのお店を始めたの  だから、崩したくないわ! あなたから、そんな風に言われたくないわ!」

「ごめんなさい 私 余計なことを・・ 私 お姉ちゃんのこと尊敬してます だから・・ごめんなさい」と、お姉ちゃんの気に触ったみたいで・・出しゃばりすぎたと思っていた。

「あぁー ごめん 香波 言葉きつかったわね 私に、そんな風に言ってくれるの香波しか居ないのにね あなたの言って居ることも、一理あるわ 香波なりに考えてくれているのよね ごめん 最後は考え直すわ だけど、もう少し探してみるわ だけど、ダメだったら、香波が面接して、良い娘選んで」

「お姉ちゃん 私 面接なんて」

「いいの 今 香波が一番 あのお店のこと考えてくれてるんだから」

「そんなー」

「香波 そこまで、私に、遠慮なしに言ってくれて 私、嬉しいのかもね 本当の身内と思ってくれているんだなって」と、抱きしめてきてくれていた。  
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