星河の覇皇
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第八十一部第一章 全戦線でその五十八
「無駄ではない」
「本来ならです」
アーダベルト=フォン=フェルゼンこれまで沈黙を守っていたエウロパ財務次官である彼が言ってきた。銀髪を長く伸ばしたエメラルドグリーンの目の美男子だ。三十代半ばでありその背は中位であり優男の外見をしている。着ている服は貴族のものだ。財相が今スイスに行っているので代理である。
「軍事費については」
「多くはだな」
「はい、軍事費は支出ばかりで」
「歳入はな」
「ないので」
それでというのだ。
「財務省としてはです」
「多くを割きたくないな」
「支出があろうとも」
「後で歳入となればな」
「いいのですが」
財政を考えればというのだ。
「軍事費はです」
「国家についてな」
「必要です」
フェルゼンもこのことはわかっているのだ。
「やはり」
「そうだ、やはりな」
「軍事費はですね」
「何があろうともな」
国家にとってというのだ。
「必要だ」
「まさにですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「我々はだ」
「軍事費はですね」
「多く取っておく」
エウロパの国家予算からというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで」
「兵器の研究と開発はな」
「続けていきますね」
「私も本来はな」
ギルフォードにしてもというのだ。
「連合の様にな」
「軍事費は最低限で」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「内政にな」
「その多くをですね」
「割きたい」
「左様ですね」
「教育と福祉にもな」
こちらにもというのだ。
「やはりな」
「今以上にですね」
「連合の様にな」
この国の様にというのだ。
「多くだ」
「割いてそのうえで」
「そしてだ」
「あらためてですね」
「国力を充実させたい」
こう言うのだった。
「出来ればな」
「やはりですね」
「理想はそうですね」
「内政に専念ですね」
「それが一番ですね」
「国家としては」
「軍事に予算を多く割くよりも」
二人もこう言った。
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