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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその四十九

「結局はだ」
「大した違いではなく」
「天性も才でもなければな」
「変わらないですね」
「そうだ」
 これが現実だというのだ。
「これがな」
「やはりそうですね」
「もっと言えば身体の構造はだ」
 人間としてのそれはというのだ。
「階級が違えどな」
「変わらないですね」
「貴族は人間でだ」
「平民もですね」
「人間だ」
 生物的には全く変わらないというのだ。
「紛れもなくだ」
「それで差別するなぞ」
「あってはならない」
「だからですね」
「階級間のそれもだ」
 差別はというのだ。
「やはり否定してだ」
「罰則もですね」
「強化する」
 即ち増額するというのだ。
「そうしていく」
「左様ですね」
「そういうことでな」
 ギルフォードはこう述べた。
「我々は差別にもだ」
「政治を進めていきますね」
「その通りだ」
「はい、それとですが」
 今度はアランソが言ってきた。
「マウリアからの情報提供がです」
「来ているか」
「秘かにですが」
「わかった、ではな」
「その情報提供もですね」
「受けよう、だがな」
 ギルフォードはここでこうも言った。
「その提供元だが」
「今回もです」 
 アランソは冷徹な声で述べた。
「ジャバル副主席です」
「あの御仁か」
「左様です」
「随分と我々に好意的だな」
「そうですね、連合の情報をです」
「よく提供してくれる」
 これは技術についてもだ、情勢だけでなく。
「近頃のマウリア政府は全体的にそうだが」
「ジャバル副主席は特にですね」
「そうだな、だがな」
「この好意はですね」
「決して」
 このことは前置きするのだった。
「個人的な感情ではない」
「実際ジャバル副主席は」
「エウロパに来たこともあったな」
「旅行で。連合においてもそうでしたが」
「エウロパを一周しているな」
「そして楽しんでくれた様ですが」 
 エウロパにとっても旅行つまり観光は重要な産業の一つである、これは連合にとっても同じことである。
「しかしです」
「個人的感情ではな」
「政治を決める御仁ではないです」
「そうだ、だからだ」
「エウロパに対して好意的であるのは」
「彼の政治戦略だ」
 これに基づくものだというのだ。 
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