星河の覇皇
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第八十一部第一章 全戦線でその四十八
「平民との違いは絶対だ」
「左様ですね」
「我等も貴族です」
無論ギルフォードもだ、それも貴族の中でも高位の者達だ。ギルフォードに至ってはイギリスの代々の大貴族の家の当主だ。
「平民とは違います」
「明らかに」
「爵位もありますし」
「地位は確かにあります」
「そうだ、だが人間なのだ」
貴族も平民もというのだ。
「ならばな」
「見下す様な発言はあってはならない」
「あくまで階級のことで」
「人間としてみなす」
「このことは絶対ですね」
「領民を見下す君主なぞだ」
ギルフォードはこれ以上はない軽蔑と共に述べた。
「真っ当な行いが出来るか」
「その領地の象徴としてもですね」
「出来ないですね」
「そうだ、私も領地を持っている」
侯爵としてだ、星系の領主でもあるのだ。
「その領民達の税で生活を送っているのだからな」
「平民である彼等の」
「それで、ですね」
「爵位を持つ貴族の生活はそうだ」
これはどの者達もだ。
「それぞれの星系の議会が予算を決めてだ」
「その予算の中で、ですね」
「領主の家の予算が決められる」
「所謂宮廷費がです」
「それが定められますね」
「その中でだ」
まさにというのだ。
「生活を送っているのだからな」
「それで、ですね」
「どうして平民を見下すのか」
「自分達の生活を支えてくれているのに」
「そういうことですね」
「そして貴族は彼等を守ることが責務だ」
その領民達つまり平民達をというのだ。
「エウロパの国土と共にな」
「高貴なる者の義務」
カミュはこの言葉をここで出した。
「そういうことですね」
「そうだ、それの為にだ」
まさにというのだ。
「是非共だ」
「平民を守らねばならず」
「我々の生活を支える彼等に対してな」
「侮蔑の言葉はですね」
「出さない、無論どういった暴力もだ」
それもというのだ。
「振るってはならない」
「それは常識ですね」
「連合の衆愚共が言う様なな」
「そうしたことはですね」
「エウロパではない」
「はい、不心得者はいても」
どういった社会でも不心得者はいる、残念な現実でありこのことはエウロパ貴族でもそうであるのだ。
「しかしです」
「社会全体ではない」
「間違っても」
「だからだ」
それでというのだ。
「そうしたことはな」
「言ってもなりませんね」
「平民風情というが」
その侮蔑語の代表の一つだ。
「しかしだ」
「それはですね」
「違う、階級は違えど能力はな」
「人間としてのそれは」
「同じ教育を受ければな」
それはというのだ。
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