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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその三十六

「それでもだ」
「再び立ち上がりますか」
「一度や二度の挫折で諦めるか」
 その様なことはというのだ。
「それはな」
「あの御仁にはない」
「もっと言えば一度や二度どころかだ」
 ギルフォードはさらに言った。
「何度挫折してもだ」
「諦めない」
「もうサハラの統一は出来ないだろうが」
「そこで諦めない」
「また別の目標を見出す」
「そうした人物だというのですね」
「私はムスリムではないがコーランを読んだことがある」
 イスラムの経典であるそれをというのだ。
「聖書とは全く違う」
「よく言われていることですね」
「その登場人物達は極めて前向きだ」
「挫折してもですか」
「すぐに前に進む」
 それで諦めることなぞなくだ。
「倒れても即座に起き上ってな」
「そしてシャイターン主席も」
「彼はこれまで挫折はしたかどうか知らないが」
 それでもというのだ。
「あそこまでなるのに苦難はだ」
「あった筈ですね」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「それで諦めずにだ」
「あそこまで至った」
「だからだ」
「サハラで敗れようとも」
「それで終わる人物ではない」
「再び立ち上がり」
「また何かを果たす筈だ」
 シャイターンはそうした人物だというのだ。
「だからな」
「閣下はあの御仁が連合に入るとですね」
「見ている、あの国は嫌いだが」
 それでもというのだ。
「多くの可能性を持っていることはだ」
「事実ですね」
「あの国には無限の開拓地と開発地がある」
「新天地がですね」
「フロンティアとよく呼ばれるがな」
 連合においてはだ。
「しかも原住民のいないな」
「それだけにですね」
「建国すれば後はな」
「発展に邁進出来ますね」
「彼は政治家としても才覚がある」
 このことはアッディーンと同じだ、だからこそティムールを建国しサハラを二分するまでにまで至っているのだ。
「それ故にな」
「その建国した国をですね」
「発展させる、だが」
「だがとは」
「皇帝にはなれないだろう」
 それは無理だというのだ。
「サハラの主ではないのだからな」
「だからですか」
「サハラ、つまりイスラムの主だからだ」
「その文明を治める者だからこそ」
「皇帝になるが」
 それがというのだ。
「サハラの、イスラムの主にならないならな」
「皇帝にはなれないですか」
「王でしかない」
 あくまでというのだ。 
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