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ハッピークローバー

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第二十三話 安売りだったのでその五

「お金もものもね」
「すぐになくなるっていうのね」
「贅沢なんかしたら」 
 それこそというのだ。
「何でもあっという間になくなるから」
「それで、でしょ」
「お金もものもね」
「少しずつよね」
「使わないとね」
「じゃあティッシュ配ってたら貰うわね」
「ただでしょ」
 母に当然という口調で返した。
「だったら貰わないとね」
「損っていうのね」
「ただ程いいものないじゃない」
 こうも言うのだった。
「そうでしょ」
「それはそうね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「ティッシュ配ってたら」
「貰うわね」
「それで鞄の中に入れて」
「いざって時に使うわね」
「そうするわ」 
 母にここでも当然という口調で返した。
「それが悪いの?」
「悪くないわ、けれどその考えがね」
「大阪のおばちゃんなの」
「あんたもね」
「私もおばさんだったのね」
「大阪の女の子はもう生まれた時からよ」
 その時点からというのだ。
「おばさんで性著するにつれてね」
「どうなるの?」
「おばさんのレベルが上がっていくのよ」
「最初からおばさんだからなの」
「ええ、かな恵ちゃんもあんたもね」
「富美子達もなの」
「勿論よ、皆徐々にね」
 成長していきというのだ。
「おばさんのレベルを上げていくのよ」
「そんなものだったのね、じゃあ」
 一華はさらに言った。
「私達やがては厚化粧でパーマして」
「豹柄の服着るのね」
「飴玉も持ってね」
 これもというのだ。
「そうなるのかしら」
「あんたそもそも飴玉好きでしょ」
「ええ」
 母にはっきりと答えた。
「特にフルーツ味がね」
「だったらもう飴のことはね」
「そうなってるの」
「後はいつも持ち歩くだけよ」
「そうなの」
「ただパーマとか豹柄はね」
 大阪の中年以上の女性のトレードマークとされているこうしたものはというのだ、ただこういったことはあくまでイメージであろう。誰もがそうした外見ではない。
「絶対とはね」
「限らないのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「豹柄まではね」
「お母さんも言わないの」
「そうよ、ただあんた達はもうね」
「おばさんなのね」
「そのことは覚えておいてね」
「かな恵だけじゃないのね」
「道でたこ焼きやお好み焼きも食べるでしょ」
 このことも言ってきた。 
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