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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその二十一

「ならない」
「金で国を売るにしても」
「相当な下衆でもないとだ」
 それこそというのだ。
「ならない」
「左様ですね」
「しかしだ、自国ではなく他国の情報等ならな」
「良心も何も関係なくですね」
「売り渡すことが出来る」
「それが自国に跳ね返らないなら」
「好きなだけ出来る」
 自分の良心や羞恥心、倫理観に触れないというのだ。
「そちらはな」
「そういうことですね」
「マウリア人はマウリア人でだ」
「連合市民ではないですね」
「なら連合の情報を渡してもな」
「良心に触れないですね」
「全くな」
 そうなるというのだ。
「だからこちらも工作員を設けやすい」
「協力を得やすいですね」
「そしてマウリア政府もだ」
 彼等もというのだ。
「自分達のことでないからな」
「見ていてもですね」
「見ていない」
 所謂見て見ぬ振りをするというのだ。
「そうした態度だ」
「今は連合が大きくなり過ぎています」
 ここでこのことをだ、モンサルヴァートは指摘した。
「何かと」
「中央政府軍が創設されてからな」
「その勢いが止まりません」
「人類の勢力バランスが崩れている」
「只でさえ連合が巨大だというのに」
「あの国はその中で分かれていてだ」
 国家連合、それも各国の権限が強い故にだ。
「何かとだ」
「対立していたので」
「連合全体は巨大だがな」
「各国政府と中央政府の間をどうするか」
「それでバランサーが出来ていた」
 バランサーであるマウリアとしてはだ。
「そうなっていたが」
「今中央政府が強いと」
「中央政府と各国政府とな」 
 そして各国政府間でもだ。
「争わせるだけでなくな」
「さらにですね」
「もう一つだ」
「我々エウロパもですね」
「強くしてだ」 
 そうしてというのだ。
「連合に対させる」
「そうしてバランスを戻す必要がある」
「マウリアもそう考えている、だからな」
「我々が連合に対する工作員を設けても」
 自国の者をそう仕立ててもというのだ。
「何もしない」
「見て見ぬ振りですね」
「表立って協力はしないが」
 それでもというのだ。
「止めもしない」
「中立ですね、いや」
 モンサルヴァートは言いつつだ、自分の言葉をその途中で訂正させた。そうしてそのうえで言うのだった。 
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