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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその十九

「一切しないからだ」
「それで、ですね」
「私も貴族だ」
 それも侯爵という貴族の中でもかなり位の高い立場になる。
「それだけにだ」
「人の幸せを妬まずですね」
「喜ぶ」
「そうされますね」
「妬みが何になる」
 ギルフォードはこの感情事態に対して否定を見せた。
「人を見て自分もと思い励むならともかくだ」
「妬むだけならですね」
「何にもならない、人は素晴らしいと思えばだ」
「素直にその感情を認めて」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「自ら努力してだ」
「己を高めるべきですね」
「そしてよりよき者になる」
「それがエウロパ貴族でもあるので」
「必ずだ」
 このことはというのだ。
「それは守るしだ」
「エウロパ貴族ならですね」
「守らねばと考えている」
「左様ですね、私もです」
 モンサルヴァートもギルフォードに確かな声で答えた。
「他人の幸福については」
「祝福するな」
「はい、しかし」
 それでもというのだ。
「羨み妬むことはです」
「しないな」
「そうした下衆なことは」
「貴族は高貴であるべきだ」
「その通りですね」
「高貴の対極にあるのが下衆だろう」
 エウロパではこう考えられている、そして高貴と対極にあると思われている言葉はこれ以外にも幾つかある。
「貴族は卑しいものではない」
「心もですね」
「人の幸福は相手が誰であれだ」
「それが自身の敵であろうともだ」
「祝福すべきだ」
「はい、ではですね」
「サハラにも同じだ」
 今も敵対関係であるこの国もというのだ。
「統一されればな」
「祝辞を贈り」
「他にもだ」
「何かとですね」
「祝福を贈る」
「貴族として、そして」
「礼儀としてもな、それとだが」 
 ギルフォードはさらに言った。
「サハラにも連合は来るな」
「既にオムダーマンとは国交がありますし」
「中央政府も各国政府もな」
「ならですね」
「そこでも連合と対するか」
「マウリアと同じく」
「対峙するのなら」
 それならとだ、ギルフォードはもうその場合について考えてそのうえでモンサルヴァートに対して話した。
「その時はな」
「工作員を送り込み」
「サハラにも諜報網を構築してだ」
 そのうえでというのだ。 
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