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星河の覇皇

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第八十一部第一章 全戦線でその十八

「その元の考えは何か」
「ローマ帝国でしたね」
「そうだった」
「欧州を一つにする」
「そして今の私の地位のな」
「エウロパ総統はですね」
「共和制であり選挙を経てだ」
 無論世襲制ではない。
「それでもだ」
「言うならばローマ皇帝ですね」
「エウロパ世界を代表するな」 
 その様にというのだ。
「そうした立場だ」
「そうなりますね」
「実際に各国の王がそれぞれの国に存在するが」
「王は各国の君主であり」
「エウロパの元首ではない」
 そこは違うというのだ。
「断じてな」
「左様ですね」
「王は一つの民族の元首だ」
「そして皇帝は文明の主である」
「そこが違う」 
 こう言うのだった。
「断じてな」
「そしてアッディ―ン大統領は」
「皇帝となりな」
「文明の主になりますね」
「大きなことだ、そしてサハラの皇帝は」
 ギルフォードはさらに話した。
「スルタン、領主でありな」
「カリフでもありますね」
「アッラーの代理人でもある」
 即ちスルタン=カリフであるのだ。
「そうなる」
「まさにイスラム世界の至高の座ですね」
「そうだな、言うなら皇帝教皇主義だ」
 これはビザンツ帝国がそうであった。
「倣った様だがな」
「オスマン=トルコがビザンツ帝国を滅ぼし」
「コンスタンティノープルを陥落させた時にな」
「そしてその座にですか」
「アッディ―ン大統領が就くか、ならばだ」
 ギルフォードは今度はうっすらとだが微笑んで述べた。
「祝辞を出すか」
「サハラの統一と皇帝の即位に対してですね」
「エウロパ総統としてな」
「そうされますか」
「今は敵対しているが」 
 それは事実でもというのだ。
「それでもだ」
「今後も考えてですね」
「そしてだ」
「祝辞を贈り」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「祝おう」
「そうされますか」
「皇帝が誕生することはな」
「そして平和が訪れることは」
「それ自体がだ」
 まさにというのだ。
「喜ばしいことだからな」
「それで、ですね」
「このことはな」
「素直に祝福される」
「他人の幸福を妬む趣味はない」
 一切という言葉だった。
「私にはな」
「幸福を喜ばれても」
「そうした下衆な趣味はない」
 こうも言うのだった。
「私にはな」
「人の幸福を喜べですね」
「そうだ、エウロパ貴族はだ」
「真に高貴であるので」
「下衆なことはだ」
 それこそというのだ。 
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