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星河の覇皇

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第八十部第四章 万能の天才その五十三

「それは歴然としています」
「入られる店も違います」
「カースト層のそれよりもはっきりと」
「その違いは大きいです」
「それは他の国の者にはわからない、エウロパではだ」
 まさにとだ、ジャバルはまた言った。
「平民と貴族の違いはあろうともだ」
「同じ人間です」
「その意識はしっかりとあります」
「平民も功績により貴族になれますし」
「そこは違いますね」
「そうだ、平民が貴族になることはある」
 よくあるケースとして騎士に任じられる、中央政府総統及び各国の元首が叙任権を持っている、古風に片膝を着く者の方に剣を置いて任じるのだ。
「歴然とした違いがあろうともな」
「移動はありますね」
「平民が貴族になれる」
「功績を挙げれば」
「それが認められますと」
「そうなる、だが」
 それでもと言うのだった、ジャバルはここで尚も。
「我々は違う」
「アウトカースト層はアウトカースト層です」
「そこにあるものは絶対です」
「カースト層は人間です」
 よくシュードラが連合等では奴隷とされる、だが実は彼等は平民と言ってよくカーストの中にあり権利も認められているのだ。
 しかしだ、それがアウトカースト層になると。
「我々とは違います」
「人権すら認められていません」
「マウリア社会にはいないのですから」
「我々は我々の社会に存在しています」
「一千億もの人間がだ」
 エウロパの全人口に匹敵する、このことも言われている。
「疎外され区別されてきている」
「左様です」
「そうした状況が続いています」
「だからこそですね」
「閣下も」
「クリシュナータ主席から要請がなければ」
 カースト層の政府とアウトカースト層の政府の統合がだ。
「その時は私の方からだ」
「提案されるおつもりでしたね」
「その時は」
「そうお考えでしたね」
「そうはならなかったが」
 それでもというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「シャイターン主席閣下からお誘いがあり」
「閣下は乗られて」
「それで今に至りますね」
「そうだ、そして主席閣下も頷いておられる」
 そのクリシュナータもというのだ。
「アウトカースト層の社会進出についてな」
「そうですね」
「では、ですね」
「我々もまた、ですね」
「それに乗っていきますね」
「このままな、だがあの方はな」
 ジャバルはここでお茶を飲んだ、濃厚なミルクを多く入れかつ砂糖も多く入れた紅茶だ。それを飲みつつ言うのだった。
「マウリアのことを考えられてな」
「アウトカースト層をマウリアに迎えることを決断されました」
「マウリアの国力を底上げする為に」
「そう決断されました」
「英断だ」
 今度は一言で述べた。 
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