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星河の覇皇

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第八十部第四章 万能の天才その四十五

「それなら何と素晴らしいか」
「ジャバル副主席はそれを目指されている」
「カーストは職業分化になり」
「階級としては否定される」
「誰もがそうなる」
「左様ですね」
 二人でその羊肉、マトンのそれを食べる。そうしているとだった。
 ホーンはふとだ、眉を顰めさせてトゥシーに述べた。
「先程のエウロパの御仁ですが」
「ああ、あの人ですが」
 トゥシーもこう返した。
「マールボロ貴族院議員ですね」
「確か以前エウロパ軍で元帥だった」
「あの人です」
「サハラにおいて侵略を指揮していた一人でしたね」
「あちらの総督として」
「そうしていましたね」
「侵略者ですか」
 これ以上はない否定を込めてだ、トゥシーはホーンに述べた。
「侵略者を見るなぞ」
「嫌なものですね」
「全く以て」
 実にと言うのだった。
「カーストやそうしたものよりも」
「侵略者を見る方がです」
「我々にとっては嫌なものですね」
「連合はエウロパ戦役以外戦争をしたことがありません」 
 千年の平和の話も出た。
「各国間の衝突は多くとも」
「武力を用いてはなかったですし」
「あくまで経済や政治での話でした」
「暴力を使ってなぞ」
 そのうえでの衝突は、だったのだ。
「一度もなかったですし」
「これからもありません」
「勢力の拡大もです」
「侵略ではありません」
 無人の星系に進出して開拓している、こればかりだった。
「そう思いますと」
「我々は何と平和か」
「しかし彼等は」
 エウロパはというのだ。
「野蛮なものですね」
「侵略を行うなぞ」
「しかもその実行者がお店に入るなぞ」
「カーストよりも問題ではないですか」
「遥かに」
 それこそというのだ。
「このお店もそれを問題にしないのは」
「非常におかしいですね」
「我々を閣下と呼びますが」
「ここに一人でいるだけです」
 マウリア、この国にというのだ。
「それなのに」
「連合では大使は閣下とは」
「呼ばれても」
 一応連合でも尊称を付けられる立場ではある、これは各国の大臣や知事そして軍の将官も同じである。
 だがそれでもとだ、二人の大使達は話すのだった。
「たまたま面白いと思ってですからね」
「一人でいて毎朝連絡をするだけで家と食事、給与が貰える」
「後は自由に暮らしていいですから」
「異国でいても」
「そんな割のいいお仕事は他にないので」
「それで願書を出しました」
 二人共そうだったのだ。
「そうしたら他に誰も志願者がおらず」
「元々もの好きが行く場所でしたし」
 これが各国が送るマウリア大使の実態だ、これはサハラ各国に対しても同じであるが正規の外交官を送らない国すら多いのだ。それだけ連合各国がマウリアやサハラとの外交を軽視しているということだ。 
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