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星河の覇皇

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第八十部第四章 万能の天才その四十六

「あっさり内定が決まり」
「そしてこのブラフマー星系に赴任して」
「今に至ります」
「それで閣下とは」
「呼ばれると恥ずかしいものです」
「何しろヒンズー語を話せなくてもいいのですから」 
 連合各国のマウリア大使はそれすらも求められないのだ、銀河語と連合各国それぞれの言葉だけ喋れずともよいのだ。
「無論アラビア語もです」
「そうした言語を話せずともよく」
「大使館にいればいい」
「自宅にいるだけの仕事です」
「ただ外出の際は前以て連絡をしておく」
「本国に。それでいいですから」
 そうした仕事だから閣下と呼ばれることは恥ずかしいものがあるとだ、二人で笑いながら話す。だが。
 ここでトゥシーはホーンにこうも話した。
「しかし中央政府がですね」
「ああ、中央政府軍の情報部が動いて」
「かなりの人員がこのマウリアに入ってきていて」
「そうしてですね」
 そのうえでというのだ。
「かなりの諜報網を築こうとしていますね」
「どうやら」
 こうホーンに話すのだった。
「その様です」
「私が聞く限りでは」
 一応大使らしい品のある口調になってだ、ホーンも述べた。
「エウロパの方が」
「あちらもですね」
「かなりの工作員を送り込んできて」
 このマウリアにというのだ。
「やはりです」
「諜報網をですね」
「築こうとしているとか」
「では連合とエウロパで」
「このサハラを舞台として」
 そうしてというのだ。
「全面対決を意図している」
「その可能性がありますね」
「どうやら」
 まさにというのだ。
「今後は」
「では我々も」
 トゥシーは羊肉を食べ終えた、ホーンもだ。だが二人のところに同じ羊肉の煮込みがまた来た。二人共あえてメインディッシュを二度頼んだのだ。
「悠長な動きはですね」
「これまでの様にはですね」
「出来ないかも知れないですね」
「そうなるかも知れないですね」
「エウロパが動けば」
 連合の敵であるこの国がというのだ。
「連合も対さざるを得ないです」
「必ず」
「我々もどちらも小国ですが」
「連合の国です」
「ならです」
「エウロパに備え」
 これまでとは違って、というのだ。
「用心しておき」
「中央政府、特に軍の情報部が何か言ってくれば」
「従わざるを得ないですね」
「何かと」
「我々は」
 連合はというと。
「中央政府も三百以上の各国政府も四兆の市民も」
「全てが、ですからね」
「エウロパを敵としています」
「実際に激しく対立しています」
「このサハラでもそうですし」
「それならです」
 何があろうとも、二人共今はそうした口調で話していた。 
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