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星河の覇皇

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第八十部第四章 万能の天才その四十

「僕、いえ私としてはです」
「連中が来ることはですね」
 フィジー大使であるツリー=ホーンも応えた、浅黒い肌に茶色の髪の毛の太った男で目は黒い。彼の前職はゲーマーだった。やはり募集で面白そうだと思い願書を出して簡単な試験と面接の後で今に至る。
「嫌ですね」
「全くですね」
「本当に」
「貴族ともなりますと」
「余計にです」
「連中はですよ」
 トゥシーは同じ席に座るホーンに言った。
「店に入るにも」
「それだけで、ですね」
「やれ格式だと言って」
「身分によってですね」
「入られる店があって」
「入られない店もですね」
「あります」
 そうした風だからだというのだ。
「それがです」
「嫌なものですね」
「誰でもです」
 それこそというのだ。
「お金さえあれば」
「それで、ですね」
「お店に入って」
「食事を楽しむ」
「お酒もです」
 こちらもというのだ。
「そうすればいいのです」
「全くですね」
「身分だの何だの」
「全く何の意味もない」
「はい、人はです」
「誰もが同じです」
「階級なぞは」
 それこそというのだ。
「神が定めてもいない」
「その実は」
「全くの虚構ですから」
 だからだというのだ。
「それで入店していいだの駄目だの」
「意味がないですね」
「カーストもそうですが」
「全く以てですね」
「人間にとってあってはならないものです」
「その社会に」
 こうしたことを話すのだった、そしてだった。
 トゥシーは食事に入ってだ、料理を食べて酒を飲みながらだ。ホーンに対して今度はこんなことを言った。
「マウリアの料理といえばカリーで」
「トゥシーさんもよく召し上がられますね」
「いえ、大使館で出る料理はです」
「カリーではないですか」
「実は私が作っていまして」
 それでというのだ。
「国の料理をです」
「楽しまれていますか」
「食材は本国から送ってくれます」
「そうなのですか」
「半年に一回ですが」
 それでもというのだ。 
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