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星河の覇皇

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第八十部第四章 万能の天才その三十九

「店に入ろう」
「そうしてですね」
「食べよう」
「では私は警護に入ります」
「君は食べないのか」
「私は平民です」
 その身分にあるとだ、運転手は笑って答えた。
「ですから」
「そうか、格の高い店はか」
「入ることは公務なら出来ますが」
 しかしというのだ。
「それでもです」
「肝心の食事はだな」
「それは出来ないので」
 そうしたことが可能な身分ではないというのだ。
「ですから」
「そうか、ではな」
「これよりですね」
「私は食べるが」
 ここでだ、マールボロは。
 懐に手を入れてだ、エウロパの紙幣を数枚出してそれを運転手に渡してそのうえで彼に対して言った。
「これで後で食べてくれ」
「有り難うございます」
「貴族は忘れてはならない者がある」
「平民、国家を守ることですね」
「ましてや餓えさせるなぞだ」
 食事をさせないことはというのだ。
「あってはならない」
「絶対にですね」
「だからだ」
 今のことはというのだ。
「これでだ」
「私もですね」
「食事をだ」 
 今の金でというのだ。
「摂ってくれ」
「それでは」
「その様にな、しかしだ」
「しかしとは」
「あれは」
 ここでだ、マールボロは駐車場にある車の一つを見てだ、こう言った。
「連合の車だな」
「そうですね、ナウル辺りの車ですね」
「ではあの国の大使館の人間がか」
「来ているみたいですね、あちらにはです」
 ナウルの車の隣の車を見てだ、運転手はまた言った。
「フィジーの車がありますし」
「では大使館員か大使同士でか」
「ここで食事を摂っているのかも知れないですね」
「そうかもな、まあいい」
「そのことはですか」
「私の食事とはだ」
 特にというのだ。
「関係ない、ではな」
「それではですね」
「これから食事に入ろう」
 こう言ってだ、マールボロは運転手のボディーガードを受けながらだった。貴賓用の個室に入って食事をはじめたが。
 途中その連合の大使達が彼を見て話した。
「あれはどうも」
「エウロパの者らしいですね」
「着ている服はあちらの服です」
「そうですね」
「貴族院の議員が着る様な」
「貴族の礼装でしたね」
 彼等は入店の時にマールボロと擦れ違った、それで話すのだった。
「ではですか」
「エウロパの議員も来ていますな」
「この店に」
「嫌な話ですね」
「全くです」
「いや、何といいますか」
 ここで黒い肌に赤髪と青い目の男が言ってきた、ナウル大使であるヘンリー=トゥシーだ。前職は大学院生だったが大使の募集を聞いて大学院を休学して着ている。大使に志願したのは何と彼一人であった。 
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