星河の覇皇

「この度は」
「それでは」
「そうさせてもらいます」
「ボディーガードとしていてくれるか」
「何があるかわかりませんから」
　他国では、というのだ。
「近頃連合の者達も増えています」
「工作員がかなり入ってきているな」
「秘かにですが」
　連合の方からというのだ。
「そうした状況ですので」
「余計にか」
「そうです、ここはです」
「君がボディーガードについてくれてか」
「議員をお護りします」
「では頼む」
「それでは、ただまことにです」
　運転手、実はボディ―ガードである彼はマールボロにこうも話した。彼はまだ車から降りていない。車は駐車場の中にある。
「最近はです」
「連合からか」
「工作員が多く潜入し」
「色々と動いているか」
「ここに拠点を設けようとしているとか」
「工作拠点をか」
「そしてです」
　運転手はまだ車中にいるマールボロにさらに話した。
「そのうえで」
「その拠点からだな」
「我々に仕掛けるつもりの様です」
「そうか、我々と同じだな」
「では」
「最近エウロパからマウリアに進出した企業があったな」
「幾つかありますね」
　運転手もこう答えた。
「そういえば」
「その中にだ」
「企業という仮面を被ってですか」
「その実はだ」
　まさにというのだ。
「エウロパの工作員達だ」
「軍所属の」
「全員がジェームス＝ボンドだ」
　笑ってだ、マールボロは運転手に話した。
「精鋭揃いだ」
「その彼等を送り込んでいて」
「それでだ、工作拠点を設けてだ」
「マウリアからですね」
「連合に仕掛ける、しかし」
「そうです、連合もです」
　エウロパから見れば敵である彼等もというのだ。
「そうしてきています」
「そうだな」
「そしてです」
「その拠点がか」
「かなり大規模なものであり」
「マウリアからだな」
「エウロパに仕掛けようとしていて」
　そうしてというのだ。
「マウリアに来ているエウロパの要人にもです」
「目を向けているか」
「必要なら」
　連合側がそう判断したならというのだ。
「仕掛けてくるでしょう」
「外務省もそう考えているか」
「連中は衆愚ですが」
　それでもというのだ。
「無駄に動いてきます」
「連中は少なくとも勤勉だ」
「働くことは働いていますので」
「だからか」
「はい、議員もです」
「用心してか」
「ボディーガードはです」
　マウリアにいる時はというのだ。