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星河の覇皇

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第八十部第四章 万能の天才その三十六

「満足出来ます」
「行って損はないな」
「若し損をされますと」
 その場合のこともだ、大佐は話した。
「もう一店です」
「美味いお店をか」
「哨戒させて頂きます」
「では私が満足した場合はどうなる」
「その時はそちらで、です」
「満足してくれというのだな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「是非。オードブルからデザートまでです」
「満足出来るか」
「そのお店は」
「そこまでいいのか」
「量もかなりあり」
「そちらでもか」
「満足出来ます」
 そうだというのだ。
「ですからまことにです」
「行ってだな」
「満足出来る筈です」
「ではもう一店はな」
「私は哨戒することはないと確信しています」
「そうか。では今晩はだ」
 その店で食べようとだ、マールボロは決めてだった。
 大佐から住所と店とその周辺の地図も教えてもらい大使館の車で運転手にその店まで送ってもらった。そして車を降りた時に運転手に言った。
「これは私用だからな」
「大使館の車は、ですか」
「必要なかった、帰りはタクシーを呼ぶからだ」
 それでというのだ。
「別にいい」
「ですが」
「いや、それはだ」
「私用だからですか」
「私は個人でこの店に来てだ」
 そうしてというのだ。
「食べるのだからな」
「それで、ですか」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「私はだ」
「もうこれで、ですか」
「君は公の立場だ」
 大使館の車の運転手だからだというのだ、エウロパ中央政府が正式に採用しているれっきとした公務員である。
「私が公の仕事の時は頼むが」
「私ならですか」
「そうだ、別にだ」
「ですが何かあるとです」
 運転手はマールボロにどうかという顔で言葉を返した。
「よくないですから」
「だからか」
「はい、身の安全もです」
「考えねばならないか」
「議員の方の移動の際はです」
「他国にいるとか」
「エウロパではボディーガードを付ける予定ですね」
 こう彼に言うのだった。
「そして私はです」
「ボディーガードとは聞いていないが」
「非公式の」
 運転手はマールボロに笑って答えた。
「外務省所属のスタッフです」
「そうだったのか」
「はい、軍の所属ではないですが」
 それでもというのだ。
「外務省は非公式でもです」
「そうした人物がいてか」
「私はその一人です、ですから」
「今はか」
「お仕事をさせて下さい」
 是非にという返事だった。 
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