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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第83話 伝説のフルーツを追え!そのカギは究極に甘い食材!?オカルト研究部、頑張ります!

 
前書き
 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今回のボーノの設定はアニメ版に基づいていますのでお願いします。 

 
side:イッセー


 ミカエルさんとの会談を終えて三日が過ぎた。あれからアーシアはなんとか立ち直ることができたがイリナとゼノヴィアは未だショックを受けていた。


「二人は今日も食べなかったのか……」
「はい……」


 冷めてしまったご飯を悲しそうな顔で持ってきたアーシアの頭を撫でてあげた。もう三日も飲まず食わずだ。


「信じられないよ。あの二人が何も食べないなんて……」


 祐斗は二人が何も食べなくなったことが信じられないようだ。俺だってそうさ、あの二人の美味しそうに食べている顔を思い出したら今の現状は到底信じられない。


「それよりも何も飲まない方が問題だわ。水を得ないと人間はあっという間に死んでしまうのに……」


 リアスさんの言う通り水分の方が人体には必要なもので、このままでは拙いんだよな。


「でも無理やり飲ませようとしたりしたらショックで痙攣を起こしてしまいます」
「ミキサーで液状化したモノを僕が時を止めて食べさせても時間が動き出したら胃から戻してしまいましたからね……」


 小猫ちゃんとギャスパーの言う通り無理やり食べさせようとしたんだが全て吐き出してしまった。流石に何回も吐かせたら胃に悪いからこれ以上無理はさせられない。


 いっそ点滴を使うのも方法だが今の二人だと最悪自暴自棄になって点滴用の針で自決しようとするかもしれないから危ないんだ。エクソシストである二人を抑え込むには相当ガッチガチにしないといけないが流石に可哀想だ……最悪これは最後の手段だな。


「イッセー、この状況をどうにかできる食材は無いのかしら?」
「難しいな。どんな美味しい食材でも食べなければ味わえないからな、今の二人は食材の匂いですら吐き気がするくらいショックが大きいようだし……」


 朱乃が俺にこの状況を何とかできる食材はないか聞いてきたが心当たりがなかった。


「師匠、私に考えがあります」
「どうした、ルフェイ?」


 するとルフェイが自分に考えがあると言ってきた。


「実はグルメタウンであるイベントが開催されるみたいなんですけど、何でもボーノ氏が主催者なんです」
「ボーノって今勢いに乗っているレストラン「ボーノ」の経営者か?」


 俺はルフェイからボーノという人を聞いて少し驚いた。


「誰ですか?」
「ボーノさんは今G×Gの世界中にチェーン店を展開してるレストランの持ち主で若くしてグルメ長寿番付10圏内に入る程の実力ある経営者だ。以前センチュリースープの捕獲を依頼してきたカーネル・モッコイの爺さんに迫る勢いだって言われている」
「あの人ですか……正直良いイメージが無いのですが……」
「まあアイスヘルに置いてけぼりにされたんだし無理もないわね」


 ギャスパーがボーノさんについて聞いてきたので簡単に説明した。俺はカーネルの爺さんを引き合いに出したが小猫ちゃんは嫌そうな顔をした。リアスさんの言う通り俺達はアイスヘルに置き去りにされたから俺もあの爺さんは嫌いだ。


「まあカーネルの爺さんの事は忘れよう。今はその大会についてだが……」


 そのボーノさんが開催する大会なら珍しい食材もあるかもしれない、それこそイリナとゼノヴィアを元気にしてくれる食材がある可能性もある。


「よし、行ってみるか。幸い明日開催みたいだしな」
「じゃあ学校は休まないといけないわね。手続きは任せて」


 こうして俺達はボーノさんが開催するという『美食王決定戦』を見に行くことにした。



――――――――――

――――――

―――


 そして翌日になり俺達はG×Gに向かいグルメタウンに向かった。


「ここか、美食王決定戦の会場は」
「うわ~、大きくて立派なステージですね」


 グルメタウンのある広場に立派なステージが出来ていた。これはもしかするとアイツがステージをデザインしたのかもしれないな。


「おっ、イッセーじゃないか」
「スマイル!」


 すると俺に声をかけてきた人がいたのでそちらに振り向くと、そこには想像通りスマイルがいた。


「なんだ、お前も来ていたのか。まあお前のような食いしん坊がこの大会に出ないわけがないよな」
「ははっ、まあな」
「イッセー、この方は?」


 スマイルと話しているとリアスさんが誰かと聞いてきたのでスマイルを紹介することにした。


「リアスさん、この人はスマイル。グルメ一級建築士であのグルメタワーのデザインを担当したのも彼なんだ」
「えー!あのグルメタワーの!」
「スマイルです。よろしく」


 リアスさんは彼がグルメタワーのデザイナーだと分かるとキラキラした目でスマイルを見ていた。他のオカルトメンバーも挨拶をしたが……


「……」
「……」
「えっと……あの二人大丈夫か?なんか生気がないんだが……」
「まあ、その……すまん。色々あってな」


 イリナとゼノヴィアの様子を見たスマイルが心配そうにそう言ってきた。うーん、無理に連れ出したがやはりそれだけでは駄目みたいだな……


「えっと……もしかして今回のステージもスマイルがデザインしたのか?」
「そうだ。このステージは俺がデザインしたんだ」
「だと思ったよ。お前らしいデザインだったもんな」
「まあ今日は楽しんでいってくれ。俺は別の仕事があるから今日はこれで失礼するよ」
「頑張れよ」


 スマイルはそう言って去っていった。相変わらず忙しそうだ。


「スマイルは俺のスイーツハウスをデザインしてくれた人でもあるんだ」
「ええっ!?そうなんですか!?」
「ああ、でもよく食べつくしてしまうからその度に作ってもらっているんだけどな。最近は忙しいからあんまり仕事を引き受けてくれないんだよなぁ」
「えぇ……」


 スマイルがスイーツハウスをデザインしてくれたと言うと小猫ちゃんが驚いた。その後すぐに食べてしまうんだけどなと付け足すとリアスさんが呆れていた。


「いいなぁ、僕もお菓子の家を作ってもらいたいですぅ」
「あいつに依頼すると軽くても数千万は飛ぶぞ」
「えぇっ!?そんなぁ……」


 ギャスパーはお菓子の家に憧れていたみたいで自分も作ってもらいたいと話す、だが俺がスマイルに依頼すると数千万は飛ぶと言うとギャスパーはがっかりした様子を見せた。


 それから少しすると多くの人たちが集まってきた。するとステージに見知った顔が現れた。


「あれ、ティナさんだ」
「どうやら司会を担当しているみたいだな」


 ティナは俺達に気が付いたようで軽く手を振ってきた。そして美食王決定戦の主催者を紹介すると噂のボーノさんが姿を見せた。


「あの人がボーノさんですか?想像よりも若いですね」
「ああ、そこまで年は離れていないと思う。それであのカーネルの爺さんに迫る資産の持ち主だとは驚きだよな」
「まさに天才だね」


 俺とそこまで大きく年の離れていないボーノさんに皆は驚いていた。祐斗の言う通り天才であり相当な努力をしてきたんだろうな。


 そう思っているとボーノさんはこの大会のルールを説明し始めた。


「勝負のポイントは唯一つ、最近めっきり食欲を無くした僕の家族『クリス』の為にとびきり美味しい食材を持ってくること」
「クリス?ボーノさんの家族の方が何も食べなくなってしまったと言う事ですか?」
「どうやらそうらしいな」


 最初は所謂お金持ちが道楽で開催した大会と思ったが、彼の必死そうな顔を見ていると違うようだ。今俺の仲間も同じ状態だから何となく気持ちが分かったような気がした。


「優勝者にはレストラン「ボーノ」が認めるナンバーワン美食王の称号を与え、賞金10億円を進呈します」
「じゅ、十億!?ただの一個人が主催した大会にしてはとんでもない金額ね!?」
「よほどクリスさんと言う方が大切なのでしょうね」


 リアスさんは10億という超大金に驚き、朱乃はボーノさんがそれだけ本気なのかと息を飲んでいた。


「そして本日ボーノさんと一緒に食材を判定するクリスさんに登場していただきましょう」


 ティナがそう言うとステージのカーテンが上がっていきそこから姿を現したのは人間ではなく首長竜のような恐竜だった。


「も、猛獣ですか!?」
「あれは確か昔読んだ本に載っていた……」
「『七色ネッシー』だよ」
「あっ、そうそう……ってココ兄!?」
「やあ、イッセー」


 俺は昔読んだ本に出てきた猛獣の名前を思い出そうとすると誰かが代わりに応えてくれた。なんとその人物はココ兄だった。


「どうしてココ兄がここにいるんだ?」
「占いで君たちが何か困っていると出てね、気になって様子を見に来たんだ」
「相変わらず凄いですね」


 俺はこんな人の多い所に何故ココ兄がいるのかと疑問に思ったが、どうやら占いで俺達が困っていることを知ったらしく来てくれたらしい。


「俺達もいるぜ」
「やっほー。イッセー、みんなー、元気にしてたー?」
「サニー兄!リン姉まで……」


 ココ兄だけではなくサニ―兄とリン姉も来てくれたみたいだ。


「それで一体どうしたの?なんかイリナちゃんとゼノヴィアちゃんの様子がおかしいけど……」
「実は……」


 俺は二人がこうなってしまった経緯をココ兄達に話した。


「なるほど、今まで信じていたモノが存在しなかったことにショックを受けているのか」
「美しくねぇな、嘘ついて騙すなんてよ」
「ほんと酷いし!許せないし!」


 三人はそれぞれ違う反応をしたが、全員がイリナとゼノヴィアを想ってそう言ってくれたことが嬉しかった。


「リンさん、貴方のフラグレンスで二人をどうにかできませんか?」
「うーん、出来なくはないけど相当時間がかかると思うよ。気持ちを落ち着かせるフラグレンスを使っても一時的な効果しかないし、依存しちゃう可能性もあるからね」
「そうですか……」


 祐斗はリン姉に二人をどうにかできるフラグレンスはないかと聞いたがリン姉は首を横に振った。フラグレンスの中には依存性の高い物もあり、今の精神的に傷ついた二人では依存してしまう恐れもある。


「ココさん、占いで何か良い情報は出ませんでしたか?」
「そうだね。ハッキリと分からなかったんだけどこの大会に出れば二人をどうにかできる鍵が見つかるとも出ていたよ」


 小猫ちゃんはココ兄に他に何か有益な情報はないかと確認すると、ココ兄はこの美食王決定戦に二人を救うための鍵が見つかると言った。


「もしかしてあの七色ネッシーが関係しているのか?」
「可能性はあるね、七色ネッシーは伝説のフルーツに関係のある生物だと聞いたことがある」
「伝説のフルーツ?それってなんなの?」


 俺はその鍵が七色ネッシーにあるのではないかと言うとココ兄が伝説のフルーツという単語を出した。それを聞いたリアスさんは伝説のフルーツについて質問した。


「栄養をたっぷりと取った元気な七色ネッシーがある程度の大きさまで成長すると伝説のフルーツが実る場所に案内してくれると言い伝えがあるんだ。その言い伝えには『赤い空に浮かびし愛の印が伝説の果実へと誘う』と記されていたらしい」
「伝説のフルーツ……それならイリナとゼノヴィアを元気にしてくれるかもしれないな」


 俺はココ兄から話を聞いて何としてもクリスを元気にして伝説のフルーツをゲットしようと強く思った。


「でも先程から多くの美食屋さんたちがクリスさんに食材を見せていますが一つも食べませんね」


 アーシアの言う通りクリスは食材を見ても首を横に振って食べようとしなかった。俺は意識を集中してクリスの匂いを嗅いでみると『ケトン体』の匂いがした。


「なるほど、ケトン体の匂い……クリスは今糖分が不足しているみたいだな」
「イッセー君、ケトン体ってなんだい?」
「断食などで糖質が不足すると生成される物質だ」
「糖質が不足……つまり甘いモノを欲しているって事?」
「ああ、そうだ」


 俺は祐斗にケトン体の説明をするとリアスさんがクリスは甘いものを欲していると言い俺は頷いた。


「俺も触手でクリスを触ったけど糖分不足で筋肉が萎縮して肌も荒れてやがる。折角の美しい七色もあれじゃ台無しだ」
「それに電磁波も弱まっている、このままだと成長するどころか栄養不足で死んでしまうね」
「なら早く甘いものを食べさせないと……」


 サニー兄とココ兄もクリスに不足しているのは糖分だと言う。それを聞いたリアスさんは直に甘いものを食べさせないと言うが……


「でもあの巨体になると相当な糖質や脂肪分が必要になりますよね。それに量も必要そうですし」
「ああ。それに唯甘いだけじゃなく凄まじく甘くて美味しい食材が必要だ。さっきから見ていると参加者の中には甘い食材も出している奴がいるがクリスは見向きもしないからな」


 ルフェイの指摘に俺も頷いた。クリスを満足させるためにはそんじょそこらの食材じゃ駄目だ、とびきり甘くて美味しい食材が必要になる。


「そうなるとクリスに必要なのはアレだな」
「アレだね」
「アレしかねぇよな」


 どうやらココ兄とサニー兄もあの食材を思いついたようだ。


「アレとは一体何なの?」
「決まってるでしょ。アレと言ったら……」


 リアスさんの質問に俺は得意げに答えた。


「グランドベリーだ!」
「ミルクジラのミルクだ」
「ハニードラゴンの蜂蜜だね」


 ……んっ?


「何を言ってるんだ、二人とも。グランドベリーが究極に甘い食材に決まってるじゃないか!大地の栄養を存分に吸い上げてあらゆるベリー系の甘みが詰まった特別甘いフルーツだ。ドライグだって好きなんだぞ!」
『ああ、あれは美味かったな。ドラゴンアップルより好きなんだ』


 グランドベリーはドライグも好物なんだ。えっ、魂だけのドライグが味なんてわかるのかって?何でも味は俺と共有できるみたいだぞ。


「いーやミルクジラで決まりだ!」
「ミルクジラですか?」
「正確にはミルクジラから分泌されるミルクだ。真っ白な絹のような滑らかさといったら美しさぱねぇし!」


 サニー兄はミルクジラのミルクこそが究極に甘い食材だと言う。


「待ってくれ。栄養価を考えるなら蜂蜜が一番だ。中でもハニードラゴンの蜂蜜は牙が命のドラゴンも我を忘れて食べ過ぎてしまい虫歯になってしまうと言われる程甘い」


 ココ兄はハニードラゴンの蜂蜜を押してきた。意見が綺麗に分かれてしまったな。


「なら誰がクリスを満足させられるか勝負しようぜ」
「面白いじゃねえか。昔みたいに勝負してやるぜ」
「僕はあまりそういうのは好きじゃないけど……たまにはいいかな」
「こ、これは四天王の食材勝負ですね!」


 小猫ちゃんの言う通りこれは俺とココ兄、そしてサニー兄の勝負となった。久しぶりに二人と競い合う事になってちょっと不謹慎だがワクワクしてきたぜ!


「あのー、ちょっといいですか?」
「どうした、小猫ちゃん?」
「その勝負、代わりに私達が参加しては駄目でしょうか?」
「小猫ちゃん達が?」


 小猫ちゃんは俺達の代わりに食材を取りに行きたいと話した。一体どういう事だ?


「私達も成長したいですしもしよければ私達に行かせてほしいんです。良いですよね、皆さん」
「そうだね、僕もイッセー君にばかり頼っていたら強くなれないしいい機会かもしれないね」


 祐斗の言葉にリアスさん達が頷いた。前回はサニー兄達もいたから完全に小猫ちゃん達だけとなると今回が初めてか。


「大丈夫なのか?」
「一応死相は見えてないけど……どうするイッセー?」
「うーん、そうだな……捕獲レベルは40以上あるやつはいないし……皆なら大丈夫かもしれないな。イリナとゼノヴィアを見ている必要もあるし今回は皆に任せるよ」
「はい!」


 俺は皆の実力を信じて任せることにした。


「なら私も参加していいかな?」
「黒歌!?」


 すると俺の背中に黒猫が現れてそれが黒歌に変わった。


「姉さま、来ていたのですか!?」
「うん、暇つぶしに寄ってみたらイッセー達がいたから来ちゃったにゃん」
「よし、なら黒歌も交えてクジでチームを作るか」


 急遽参加してくれた黒歌も交えてチームを作ることにした。結果は……


「サニーさんの期待に応えて見せるわ!」
「僕の剣技を皆の為に役立てるよ」
「頑張ります!」


 リアスさん、祐斗、アーシアがミルクジラのミルクを捕獲しに向かい……


「副部長として頑張りますわ」
「あ、朱乃さんと一緒に頑張ります!」
「にゃはは、面白いチームだね♪」


 朱乃、ギャスパー、黒歌がハニードラゴンの蜂蜜を捕獲しに向かい……


「イッセー先輩!待っていてくださいね!私が必ずグランドベリーを捕獲してきますから!」
「師匠!私もいますからね!大船に乗った気分でお待ちしててください!」
「ワン!」


 小猫ちゃん、ルフェイ、テリーがグランドベリーの捕獲に向かう事になった。


「それぞれの食材がある場所に地図に印をつけておいたよ」
「ありがとうございます、ココさん」


 それぞれがココ兄から貰った地図を受け取り直に帰ってこられるようにフロルの風を渡す。


「それじゃ行ってきますね、イッセー先輩!」
「頑張れよ、小猫ちゃん!皆!」


 俺は皆に激励を送り見送った。


「……」
「……」
「ゼノヴィア、イリナ、待っていろよ。皆が必ず究極に甘い食材を持ってきてくれるはずだ。そうすれば伝説のフルーツを手に入れて二人を助けられるかもしれない。だから……また二人の元気に食事する姿を見せてくれ……」


 俺は二人を救えることを願い皆の帰りを待つのだった。


 
 

 
後書き
 次回は美食王決定戦の終わりでその次に参観日に入ります。でももしかしたら前編と後編に分けるかもしれません。 
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