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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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フリーザ編
  第9話

 
前書き
悟空には家族との付き合いをしてもらいました。

原作読んでて思うんですけど、悟空って本当に悟飯との親子の時間が少ないんだな…ある意味これが後のセル戦に響いてくると… 

 
ブルマ達がナメック星に出発する日、チチの手によって長かった髪が切られて坊っちゃん刈りになった悟飯の姿が悟空と悟林の視界に入った。

視界に入った瞬間、2人は笑ってしまった。

「はは…悟飯、おめえ何だその頭?」

「ぷくくく…凄く似合ってるよ悟飯」

「人類が初めて行く宇宙だべ、失礼がねえようにな。悟林ちゃんや悟空さは全然伸びねえし、髪切ってもすぐに元通りになっちまうからなぁ…」

「不思議だね、でも私は悟飯みたいな髪型は嫌だな」

「オラも嫌だぞ」

そう言うと、チチは悟飯を連れてカメハウスに向かった。

それから2週間が過ぎ、怪我が思ったよりも早く治った悟林は悟空の見舞いをしながら悟空の師匠の1人である天界のポポの所に修行しに来ていた。

「ポポさーん、今日も修行に来たよー」

ポポが用意してくれた重り(アンダーシャツ、リストバンド、靴1つ50㎏、合計250㎏)入りの道着を着た悟林が修行に来ていた。

戦闘力では随分な差があるが、重りでスピードが落ちているためかポポに全ての攻撃をかわされる。

「悟林、パワーもスピードもある。でも動きに無駄があるせいで活かしきれてない、昔の悟空と一緒。後は無意識に物を目で追おうとする。気配や僅かな空気の動き、それに勘。気を感じる力をもっと研ぎ澄ます。これさえ出来れば悟林、もっと強くなれる」

「本当!?よーし、私頑張るよ!」

「悟林、悟空そっくり」

修行に打ち込む悟林をポポは懐かしそうに指導しながら見つめた。

数時間後、修行を終えた悟林は神殿の風呂を借りて汗を流すと病院に向かい、悟空のいる病室に入ると、悟空が神妙な顔で窓を見つめていた。

「お父さん、どうしたの?」

「悟林…いやな…オラ最近夢を見るんだ。ベジータに頭突きを噛ましたせいかなぁ…小せえオラが丸っこい宇宙船に入れられて窓にオラを見ていた奴らがいたんだ。男の方は目付きは悪いけどオラにそっくりで、女の方はおめえそっくりだった。」

「もしかしてお父さんのお母さんやお父さんの夢?」

「多分な、宇宙船が飛ぶ直前に見た父ちゃんは笑ってたな。母ちゃんは泣きそうだった」

夢で見たその2人の表情はラディッツやベジータ達と同じサイヤ人とは思えないくらいに優しかった。

「お父さん…お祖父ちゃんやお祖母ちゃんに会いたい?」

「…分かんねえ…でもよ、この夢のおかげで思い出したことがあったぞ。オラがガキの頃に乗ってきた宇宙船があるからブルマの父ちゃんに直してもらってるんだ。それならナメック星に6日で行けるんだってよ!」

「本当に!?」

「ああ!早く仙豆出来ねえかな?オラ、界王様の星が地球の10倍だったから100倍の重力装置を頼んでるんだ」

「へー、100倍」

「それくらいやらねえとサイヤ人に勝てっこねえもん。それにおめえも強くなったようだしな。」

悟林の気が更に大きくなっている。

ちゃんと修行をしている証拠だ。

悟空は天界でのポポとの修行の話を聞いていると、懐かしそうに天界のある方角を見つめた。

「ねえ、お父さん。界王拳教えてよ」

「へ?界王拳を?」

「うん!私、ベジータやでかいのに全然敵わなかったからさ!界王拳教えて欲しいな」

瞬間的にパワーを上げられる界王拳は悟林からすればとても魅力的な技であった。

「うーん、別に構わねえけど…このままじゃ退屈だし…よし、屋上に行くかっ!」

車椅子に乗せられた悟空は悟林と共に病院の屋上に向かうと界王拳の説明をする。

界王拳は使用する者の基礎力を反映し、気を内面で激しく高め、その力を体の隅々にまで行き渡らせてコントロールする。

力、破壊力、防御力、スピード。

全ての戦闘に関わる力が大きく上がる代わりに、コントロールを誤れば界王拳が瞬時に解けるどころか体に激しい負担をかけてしまい、乱用は出来ない。

そして肉体の限界を超えた倍率での界王拳も厳禁であり、もしそのようなことをすれば今の悟空のように体を壊してしまう。

界王拳を使う上での注意はこれだ。

悟林も界王拳で無理した結果が今の悟空なのだから良く理解している。

「良いか悟林、界王拳を使うにはまず全身の気を高めるんだ。」

「うん」

「……よし、それくらいだ。練習なんだからいきなり全力でやらない方がいい。病院に逆戻りになる、高めた気を全身に回してコントロールするんだ。そのままな」

「………っ」

悟林の表情が険しくなり、ほんの一瞬赤いオーラが出たがすぐに消えてしまった。

「大丈夫か悟林?」

「う、うん…界王拳…難しいんだね…」

口で説明すると簡単だが想像以上に難しい。

内面で高めた気をそのままにコントロールしてそのまま全身に行き渡らせ続けると言うのは難しい。

しかもこれを動いた状態で発動していたのだから父親の悟空の凄まじさが理解出来る。

「簡単に出来るはずねえさ、父さんも苦労したんだ。それにいい線行ってたぞ。まず止まった状態で界王拳をしばらく続けられるようになる。次は歩きながら、そして更に次は走りながら、最後は空を飛んで速く動き回りながらだ。大丈夫、おめえなら出来るさ」

「うん、ありがとうお父さん」

悟林は天界と病院を行き来しながら仙豆が出来上がるまで、ポポと悟空の修行を受けるのであった。    

そしてそんな生活をしながら悟飯達がナメック星に旅立ってから34日が経過した。

悟林は悟空の指導を受けながら、界王拳を発動して走る段階にまで来ていた。

「もっとペース上げて走ってみろ!」

悟空に言われて更に走るペースを上げながら界王拳を維持していく。

「よし、良いぞ…次は空を飛びながら使えるようになれれば界王拳の倍率を上げる練習をしよう」

「はーい」

「今日はここまでだ。部屋に帰るぞ」

悟林に車椅子を動かしてもらって部屋に戻ると亀仙人がいた。

「おお、悟空に悟林。どこに行っておったんじゃ?」

「修行だよ。悟林が界王拳教えて欲しいって言うから屋上で教えてたんだ。ところで爺ちゃんはどうしてここに?」

「見舞いと、ちょっと悪い報せをな…あ、こいつは見舞いのカステラじゃ。2人で食え」

「サンキュー」

「ありがとう亀仙人のお爺ちゃん」

早速悟林はカステラの封を開けると悟空に半分渡して頬張る。

「食べながら聞いて欲しいんじゃが、2時間前にブルマ達から連絡が来たんじゃ。」

「無事にナメック星に着いたか?」

「ナメック星人の人達に会えたかな?」

カステラを咀嚼しながら亀仙人に聞くと、亀仙人の表情が深刻な物に変わる。

「悟空よ、ブルマ達は確かに無事ナメック星に着いた…しかし、ナメック星にやって来たのはブルマ達だけではなかったんじゃ…ベジータと言うあのサイヤ人…何と奴もやって来たらしいのじゃ…!」

「ベジータ!?あ、あいつが!?」

「あいつもナメック星に来てたの!?」

カステラを飲み込んだ2人が目を見開いた。

「それだけではない…今さっき亀から無線が入った…新しいブルマからの連絡を受けたらしいのじゃが…それによると…ナメック星にはベジータの他にも奴の仲間が十数人おるようじゃ。乗っていた宇宙船はそいつらに壊されて地球に戻ることも出来んらしい…」

「な…何だって…!?」

「お母さんがここにいなくて良かったね」

チチが聞いていたら色々叫んでいたことは容易に想像出来た。

「全くじゃな、しかも、少なくてもそのうちの1人はベジータを超える気を持っておったと…」

「…ま…まさか…」

「ベジータよりも強い気…」

悟空と悟林は互いに深刻な表情で向かい合う。

あの恐ろしく強いベジータよりも強いと聞かされれば流石の2人も思うところがあるのだろう。

「よう、生きてたか」

場違いなまでに慇懃無礼な声に時と場合が違えば、友好の言葉以外の何物にも聞こえなかったのだろうが、間が悪かった。

ヤジロベーは手に布袋を持ち、病室の入り口付近に立っていた。

「えーっと、ヤジロベーさんだっけ?」

「おう、何だよ、せっかく来てやったのに湿気た面しやがって」

ブルマ達の状況の話を聞いて、意気揚々としている人物はここにはいない。

ヤジロベーはずかずか中に入ると、片手に持ってる布袋を軽く上げた。

「ほれ。仙豆が出来たからよ。カリン様がよ、おめえの親父に出来た7粒全部持ってけって」

「本当!?ありがとう!カリン様にも伝えておいて!お父さん、はい!」

「おう」

悟林がヤジロベーから布袋を受け取ると、悟空に仙豆を食べさせ、悟空は空中前転してベッドから床に立つと、腕と足に填まっていたギプスを粉々に砕いた。

「やったー!」

「待ってたんだこの時を!これ、界王様があの世から送ってくれたんだぜ!オラの道着!」

「私もーっ!」

悟空が道着姿となると、悟林も服を脱ぎ捨てるとサイヤ人との闘いで着ていた“魔”の文字が刷られた亀仙流の道着姿となる。

「よしっ!オラ達ナメック星に行ってくる!」

「残りの仙豆貰ってくね」

「ナ…ナメック星に…って、ど、どうやって行くつもりじゃ!?」

「へっへ~、オラ、ブルマの父ちゃんが見舞いに来てくれた時頼んでおいたんだ!念のために宇宙船を作っといてくれって!」

「なるほど!神様のと同じ奴か!」

「ううん、お父さんが小っちゃい時に乗ってた宇宙船を改造した宇宙船なんだって、それなら6日でナメック星に着けるって!」

「悟林行くぞ、筋斗雲ーーーっ!!」

「それじゃあ、行ってきまーすっ!」

2人は筋斗雲に乗り込むとカプセルコーポレーションに向かった。

西の都のカプセルコーポレーションの敷地内の広い庭が見えた辺りで、筋斗雲は高度を下げ、乗っていた2人が飛び降りるとまた上昇し、青空へと消えていった。

地面に着地した2人はとりあえず周囲を見回すが、宇宙船らしき物は見当たらない。

「宇宙船ないねお父さん」

「家ん中で作ってんのかな?」

「ブルマさんのお父さんを探そうよ」

取り敢えずブリーフ博士を探す父子だが、そこにブルマの母親が花壇から声をかけてきた。

「あら?悟空ちゃんに悟林ちゃんじゃない!」

「あ、どーも」

「ブルマさんのお母さん、お邪魔してます」

「2人共すっかり元気になって、もう体はよろしいの?」

「うん、この通り」

「ブルマさんのお父さんはどこなの?宇宙船の改造は?」

自分達がここに来た理由である宇宙船の改造はどこで行われているのか、ブルマの母親に尋ねる。

「どうかしら~。まだ何かやっていたみたいだけど……とにかくついていらっしゃいな。それにしてもあんなにチビだった悟空ちゃんが2人のパパになるなんてね~悟林ちゃんも良い子で可愛いわ。」

ブルマの母親が悟空と腕を組み、悟林の手を引いて歩く。

「………」

「あ、ありがとう…」

「そうそう、悟林ちゃんケーキはお好きかしら?美味しいケーキ屋さんを見つけたの。今度一緒にどうかしら?」

「ケーキ…う、ううん…いいや」

「あら~残念」

一瞬揺れそうになったが今は緊急事態なので必死に我慢した。

そうこうしている間に、目の前に巨大な球体が現れた。

「これがお父さんの乗ってきた宇宙船?」

「あんな小っこいのが良くこんなでっかいのになったなー」

悟空と悟林が目を瞬かせる横で、ブルマの母親がブリーフ博士を呼んだ。

「あなたー!悟空ちゃんと悟林ちゃんがいらしたわよー!」

「おーおー、もう治ったのか悟空君。仙豆っちゅうのは本当に凄いもんらしいな~」

「おじさん!これがお父さんの乗ってきた宇宙船なの!?」

「そうじゃよ、ほとんどの部分を作り変えたんじゃ。しかしサイヤ人の科学力は素晴らしいもんじゃったぞ」

2人は早速宇宙船の中に入る。

中は広い空間で、これがあのサイヤ人達の乗ってきた物と、同型の宇宙船が原型とは思えないほどだ。

「これなら思いっ切り修行出来るねお父さん!」

「おう、人工重力装置って奴は?」

「ああ、出来とるよ。こいつがそうじゃ。」

ブリーフ博士が中央の装置を指差す。

「これで体を重く出来るの?」

「そうじゃよ、これが人工重力のスイッチじゃ…で、こいつがコントローラー。お前さんの注文通り最大100Gまで重力を発生出来るが…いくらお前さん達でもこいつはあまりにも無茶じゃないかね?100Gといやあ何だよ。60㎏の体重だったら6000㎏になっちまうんだよ!6tだ!悟林ちゃんですら2tなんだから死ぬよ普通だったら」

「大丈夫、それぐらいやんないとサイヤ人に勝てっこねえもん…で、こいつはまだ飛ぶことが出来ねえの?」

「飛べるよ、もうデータは全てインプットしてあるからスイッチをポン!と押すだけで6日後にはナメック星に着く。風呂とトイレとキッチンとベッドルームはその梯子を降りて…」

「お、おじさん。何が出来てないの?」

宇宙船は飛べるし、色々揃ってるのに後は何が足りないのだろうか?

「ステレオのスピーカーの位置が中々決まらんのじゃ…どうせなら2人共、良い音で聴きたいじゃろ?」

「「そっ、それだけ!?完成してないってそれだけのことなのっ!?」」

完成していない物の正体に流石の悟空や悟林も唖然となる。

どこまでもマイペースな2人だが、ブリーフ夫妻のマイペースさには敵わないのだろう。

「それだけ…って君達、最高の音で聴くには反射とかを考えると中々難しいんだよスピーカーの位置は…」

「お、おじさん!ステレオは要らないよ!」

「オ、オラ達今すぐ出発するよっ!!」

「何をそう急ぐんじゃ?ステレオを諦めるほどのことなのか?」

「ブルマから通信が入ったんだ!3人の行ったナメック星にこの前のサイヤ人やその仲間もいたんだ!おまけにあの宇宙船も壊された」

ブルマ達がピンチだと教えると流石のブリーフ博士も目を見開いた。

「何と…!確かにそれは大変じゃ」

「早くオラ達にこいつの飛ばし方を教えてくれ!」

「分かった!…で、本当にステレオは良いんじゃな?」

「うん、修行するだけだから要らないと思う」

ブリーフ博士に宇宙船の飛ばし方を教えてもらい、悟空と悟林は早速宇宙船を飛ばそうとする。

「えっと、ここのスイッチを…」

悟空の膝に乗せてもらい、スイッチを弄る悟林。

発進スイッチを押すと宇宙船は飛び立ったのであった。 
 

 
後書き
悟空も悟林も中々暢気でマイペースだけど、やはり上には上がいると… 
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