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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第10話

 
前書き
魔閃光とかめはめ波の合体技は取り敢えずこれなら出来るかなーって感じでやりました。 

 
悟空と悟林父子を乗せた宇宙船は宇宙へと飛び立ち、飛び立つ際に悟空が悟林を捕まえたことで床に落ちるのは避けられた。

「す、凄い揺れだったねぇ…」

「あ、ああ…こ、こいつは確かに速え~や…!それにしても宇宙…ってのは随分暗いもんだな。今、夜なのか…?」

「本で読んだことあるけど、宇宙ってずーっと暗いんだって」

「何でだ?」

「明かりになる物がないからじゃないの?地球だってお日様やお月様の光で照らされてるじゃん」

「ふーん、まあいいや。早速修行すっぞ!たった6日間で着くのはありがてえけど、それまでにあのベジータって奴を超えなきゃならねえってのはえれえことだ…」

「じゃあ、重力装置入れるよー」

「おー、界王様の星は地球の10倍だから20倍にしてくれ」

悟林が重力装置を動かすと重力が20倍となり、即座に2人を襲う。

「ふぎゃ!?」

「おほっ!!」

急激な変化に悟林は床に倒れ、悟空も膝を着きそうになるが、何とか堪えた。

「お、重い…!」

「く~っ!さ、流石に効くなあ…!悟林…全身に気を何時もより多く充実させるんだ…そうすりゃあ動けるぞ…!」

「は、はい…!」

「やっぱ基本から徹底的に鍛え直さねえと…何倍もの界王拳に耐えられねえ…!」

腹筋、腕立て伏せ、ランニングなどの基本を繰り返しながら2人の激しい修行は始まった。

目標の強さは最低でも大猿となったベジータだ。

あの圧倒的な力は今でも忘れはしない。

「お父さん、界王拳を使いながら修行って駄目かな?重りの服とかこの修行みたいにきついからきっと強くなれるし界王拳の練習にもなるし」

「うーん、悪くはねえけど、こうも体が重いと気のコントロールが上手くいかねえと思う。でも基本から徹底的に鍛えれば界王拳での無茶は何とか耐えられると思うぞ」

「そっかー…」

良いアイデアだと思ったのだが、高重力でただでさえ体がきついのに界王拳を維持しながらの修行は体を壊すだけだと言われた。

「落ち込むことはねえって、界王拳に慣れようってのは良いと思うぞ。でもそれは地球に帰る時だな」

2人は20倍の重力に多少慣れていくと、組み手を始めた。

本人達が認めているかは分からないが、戦闘民族と言われるサイヤ人は闘いの中で更に成長し、20倍重力でもそれなりに動けるようになった。

「たあっ!!」

悟林の拳を悟空がガードして互いに距離を取ると2人は深い息を吐いた。

「ぷーっ!ハアッハアッ、よ、よーし良いぞ。オラ達、20倍の重力にも随分慣れてきたし、30倍にしてみっか?」

「ハアッハアッ…そ、そうだね…」

汗を床に落としながら2人は重力を30倍にしようとした時、悟林にとって聞き慣れない声が聞こえてきた。

『悟空よ、聞こえるか。悟空…あれ?』

「え?誰?」

「あー!その声は界王様か!?」

『お、おう、如何にも界王じゃが…お、お前一体、そこは…もしかして宇宙か!?お前一体宇宙なんかで何を…あ、そうか!ナメック星じゃな!ドラゴンボールが見つかるといいのう』

間の抜けた台詞に、父子は少しばかり肩を落とした。

この分では、ナメック星に何が起きているのかも知らないのだろう。

「何だよ~界王様、何にも知らなかったのか?ナメック星じゃとんでもねえことが起こってるんだぞ!」

『とんでもないこと?…まあ、その話は後で聞くとして…実はな、ここに客が来おったんじゃよ』

「ねえ、お父さん。この人誰なの?」

「界王様だ。父さんを鍛えてくれた凄え人だ。前に話したろ?」

「へえ…」

『何じゃ娘もおるのか?とにかく凄いぞ!今度の客はお前より遥かに短い時間で蛇の道をクリアしてここに到達しおった。しかも4人じゃぞ!』

「「4人?」」

互いに顔を見合わせる父子に界王様は楽しげに笑った…気がする。

『そうじゃ!お前達も良ーく知っておる4人のはずじゃが』

「ま、まさか…」

「ピッコロさん達…かな?」

『当たりじゃ。みんな悟空がしたよりも厳しい修行を望んでおる』

悟林の呟きが当たっており、悟空が笑った。

「そりゃあ凄えや!ははっ、揃いも揃ってみんな界王様んとこに着いたってか!」

次に聞こえてきたのは界王ではなく、ヤムチャの声であった。

『よう、聞こえるか?悟空。あの世で死んだ神様に会ってさ、ここのことを教えてもらったわけだ。聞いたぞ、お前達ピッコロの故郷の星に行ってドラゴンボールを探してくれてるらしいな。俺達を生き返らせるために…』

「4人って言ったな。ヤムチャと天津飯とピッコロ…残りの1人は神様か!?」

『いや違う、神様はあの世に残られた。何と餃子さ』

「え?でも餃子さんバラバラになっちゃったけど…」

ナッパを倒そうと命を散らした餃子。

体がバラバラになったのにあの世では大丈夫なのだろうか?

『心配無用だ悟林ちゃん、餃子の体を神様が元通りにしてくれたんだ。ここで修行させるためにな』

「そうか、良かったな」

「ピッコロさーん、元気にしてる?」

『死んでるのに元気も何もあるか…修行は怠っていないようだな』

「勿論、今お父さんと地球の20倍重力で修行して、今30倍に挑戦するの!」

悟林の言葉にヤムチャはどこか引き攣った声を出した。

『に、20倍に30倍か…俺達は10倍でも動くのがやっとなのにな…流石、悟空の娘だな』

「オラ達、後5日半でうんと強くなんねえと偉いことになっちまうんだ」

『え!?何だ、何かあったのか?』

『そう言えばさっきもそんなことを言っておったな。話してみろ…』

「オラが大怪我をしてたからクリリンとブルマと悟飯がドラゴンボールを探しにナメック星に行ったんだ…だが、そこにはあのベジータってサイヤ人もドラゴンボールを探しに来ていた…」

『な、何!?』

『そ、それでそいつにやられてしまったのか!?』

ヤムチャと界王の声に悟林が答えた。

「ううん、まだベジータは悟飯達に気付いてないの。でもいつか見つかっちゃうかも…しかも神様が乗ってきた宇宙船も壊されちゃったらしいの。しかもベジータと同じ格好をした奴らもいて、ベジータの気を超えてるって…」

『な、何っ!?』

界王、それからヤムチャの驚きの声が響く。

悟空が限界を超える界王拳を使わなければ手に負えなかったベジータよりも強い人物がナメック星にいるなど、普通ならば考えたくもないことだ。

『ひょ…ひょっとしてそ…そいつはフリーザと言う名前では…』

「フリーザ?何それ?」

「さあ、そいつは聞いてねえが分かったら教えるよ…」

聞き覚えのない名前に首を傾げる父子。

『ちょっと待っておれ。い、今、儂がナメック星を調べてやる』

「本当か?頼むよ」

暫く時間が空くが、沈黙は界王の叫びに似た声で破られる。

『フ、フリーザ!!』

「え?何?」

「何だよ!界王様、知ってんのか!?」

驚く2人に構わず界王は警告する。

『い、いいかお前達!今度ばかりは相手が悪い。というか、最悪の奴だ。とても手に負える相手ではない……ぜ、絶対に手を出すんじゃないぞ』

「…え…?な、何だよそれ……」

「フリーザってそんなにとんでもない奴なの?」

『とんでもないどころではない!良いかお前達!これは界王の命令じゃ!奴には近付くな!お前達がナメック星に着いたら仲間の3人を連れて即刻脱出しろ!お前とて娘や息子を死なせたいわけではなかろう!これは地球やナメック星、その他の星のために言っておるのだ…!中途半端な攻撃を仕掛けて奴の怒りを買えばとんでもないことが起こるぞ…!あいつだけは放っておくしかないのだ…!』

「界王様、サイヤ人よりやばいの?」

『フリーザに掛かれば大猿となったサイヤ人も赤子同然じゃ…奴はその気になれば片手間で星を消し去ることも出来る…!』

それを聞いた2人の表情に緊張が走るが、戦闘民族であるサイヤ人の血なのか少しの興味が湧いたようだ。

「そんなに凄え奴なら…」

「ちょっと見てみたいよね…」

『絶対に近寄るんじゃないぞ、分かったか!!』

界王の怒声が響き渡ると、次はピッコロの声が聞こえてきた。

『お前達、意地でもドラゴンボールを集めて俺達を生き返らせろ。ここで腕を上げてナメック星に行ってやる。俺達でその何とかってふざけた野郎をぶっ飛ばしてやろうぜ』

それを最後に界王からの通信は途切れた。

どうやら界王側から通信を切ったらしい。

「お父さん、どうする?」

「まあ、例え手を出さねえにしたって…強くなって損はねえさ!よーし!悟林、一気に50倍やるぞ!慣れたらまた組み手だ!」

「おーっ!!」

それでも強くなって損はないと考えた父子は一気に重力を50倍にして修行を再開した。

倍以上の急激な重力増加に最初はまともに動けはしなかったものの、限界まで体に気を充実させて無理にでも体を動かす2人。

これにより、50倍の重力に慣れた頃には2人の気の総量が増していき、結果的に2人は1日で大幅なパワーアップを遂げていた。

不眠不休で修行していたためか、組み手の途中でバランスを崩してしまう2人。

悟林は意識を手放して眠ってしまい、それを見た悟空も休憩を兼ねて眠りに就いた。

そして眠りから覚めて体を解すと再び組み手を始めようとしたのだが、悟林が試してみたいことがあると言ってきたのだ。

「お父さん、行くよ」

「おう!来いっ!」

悟空は笑みを浮かべながら悟林の試みを待つ。

娘は時々悟空ですら驚かせるようなことをやってのける。

今度は何をするつもりなのか楽しみだ。

「…魔閃光!」

両手を額に翳すと手のひらに気を溜め、そこからかめはめ波の体勢に入り、腰だめの状態で魔閃光の気を増幅させる。

「こいつはっ!?」

娘の手のひらに収まっている気の大きさに悟空は目を見開いた。

「かめはめ…波ーーーっ!!」

青と金の混じった気功波…魔閃光とかめはめ波の合わせ技が悟空に迫る。

「くっ!」

悟林としては軽く放った一撃でも宇宙船を木っ端微塵にするほどの威力がある。

悟空は両手を前に出すと気功波を受け止め、気合で掻き消した。

「やった!成功だ!魔閃光とかめはめ波だから…魔閃かめはめ波…かな?」

「今のは驚いたぞ悟林。2つの技を合わせてもっと強え攻撃にするなんてな」

「うん、前に魔閃光殺砲って言う合体技を作ってね。あれより威力が弱くても強い攻撃が使えればなぁって。魔閃光なら早く撃てるし、かめはめ波に繋げられそうって思ったんだ。」

「新しい技か…」

自分に使える強力な気功波の技はかめはめ波くらいだ。

悟林みたいに色々出来るようになると言うのも面白そうだ。

かめはめ波を曲げるのはピッコロと闘った時にやってみたし、ヤムチャの繰気弾のように手元から離れても自在に操作出来るようになるのもやってみる価値があるかもしれない。

「よーし、オラも色々試してみっか!」

娘の新技に刺激を受けた悟空は更に修行に精を出していく。

その後宇宙船で様々な問題が起こるものの、何とかやり過ごしていき、そして宇宙に出て4日が経過した時には…。

「はっ!てやあっ!」

「ふっ!だあっ!」

2人は100倍の重力を克服し、戦闘と勘違いさせるほどの凄まじい組み手を行っていた。

まるで自分達の体を痛め付けるように。

「かめはめ波ーーーっ!!」

「魔閃光ーーーっ!!」

互いに全力の気功波を繰り出し、腕を動かして操作すると互いに直撃した。

「う…うぐぐぐ…」

「う…うう…せ、ん…ず…」

悟空が倒れ、悟林が早速半分に割っていた仙豆を飲み込むと、傷と体力は完全にとはいかなくても回復し、悟空に急いで食べさせた。

「ふうー…危ねーっ!サンキュー悟林、助かったぞ」

「今のはちょっとやばかったね、私も後少しで死んじゃうかと思った」

「だなー、死んだら修行も糞もねえもんな~」

「後残り2日とちょっとだね」

宇宙船につけられた時計を確認してナメック星到着までの時間を確認する。

「そうだな、よし!もうちょい頑張ってみっか!」

「おーっ!!」

2人はこのように体と気を死の直前まで追い込み、仙豆を食べて回復すると言う無茶を繰り返していた。

カリンに貰った仙豆も浪費を防ぐために半分にして食べていたが、残り3粒までに減っていた。

2人はとんでもない修行をしていたが、死を乗り越えれば強くなれるサイヤ人の特性に気がついていたのかもしれない。

この特性に気付いた切欠はナッパとの闘いで重傷を負った傷を仙豆で回復させた時だろう。

何度も組み手で互いを限界まで追い詰めて復活を繰り返したことで、2人の戦闘力は地球にいた時とは比べ物にならないくらいに跳ね上がっていた。

そして更に1日が過ぎ、悟空は逆立ちしての腕立て伏せ。

悟林は界王拳の倍率を上げるための気のコントロールをしていた。

「…おっ!界王拳を3倍に上げられるようになったな!」

「うん、でもこれ以上は無理みたい。」

悟林の戦闘力が3倍に跳ね上がったことに気付いた悟空は嬉しそうに笑ったが、悟林は少し不満そうだ。

「うーん、おめえはまだ小せえからな。体が小せえ分、オラより界王拳に体が耐えられねえのかもしれねえな。もう少しでかくなったらもっともっと上げられるさ」

「むうー」

納得いかない顔をしている娘の頭を悟空は撫でる。

「よし!修行はここまでだ!残った1日はうんと休む!元の重力にも慣れなきゃいけねえし!」

「はーい、亀仙流の教えだよね。良く動き、良く学び、良く遊び…」

「良く食べ、良く休む!亀仙人のじっちゃんの教えだ」

「お父さんにとって亀仙人のお爺ちゃんはいつまでも師匠なんだね」

「ああ、じっちゃんは本当に凄え…オラ…実力はじっちゃんを超えたけど…まだまだ敵わねえところがたくさんある。今のオラがあるのはじっちゃんのおかげだ。じっちゃんがいなかったらかめはめ波も撃てなかったし、読み書きも出来なかったなー。教科書はろくなもんじゃなかったけどよ」

因みにその教科書は色々疎かった悟空にその手の知識を与えるのに絶好の教材であり、地球最大の不思議の1つである孫姉弟誕生に貢献しているのかもしれない。

「???」

不思議そうに首を傾げる悟林に悟空は笑う。

「悟林、おめえは何のために武道をやるんだ?」

「え?うーん、楽しいから……じゃあ、駄目?」

「それもいいけど、武道ってのは勝つためにやるんじゃねえ、自分に負けねえためにやるんだ。最初は分からなかったけど…あのじっちゃんの言葉がなかったらオラは強くなれなかったと思う。じっちゃんに会えなかったらもしかしたらおめえ達も生まれてなかったかもな」

「怖いこと言わないでよお父さん…自分に負けないため…か…良く分かんないや」

「今は分からなくてもいつか分かるさ」

重力を元に戻すと2人はあまりの身軽さに呆然となる。

悟空は床の破片を拾って投げ、悟林は気弾を撃つ。

2人は目にも留まらぬ速さで先回りし、破片と気弾を受け止めた。

「凄い!体が軽いよ!」

「驚えたーっ!あんま軽いんで自分がいねえみたいだったもんなーっ!悟林、父さんを殴ってみろ!」

「えいっ!」

言われたように悟林が胸の辺りを数回殴っても悟空はびくともしない。

「体がずいぶん打たれ強くなったな!これならオラは10倍の界王拳にだって耐えられるぞ!いよいよ、明日はナメック星だ。まずは風呂に入るか、飯はその後だ」

汗だくだったので風呂に入り、悟林が母親のチチに仕込まれた料理の腕でサイヤ人2人分の食事を作って堪能した。

「どう、お父さん?お母さんに教えてもらったんだよ?」

「ああ、凄え美味え。」

仙豆で必要な栄養は補給出来たものの、やはりこの手作りの料理の心身を満たしてくれる感覚には敵わない。

室内灯を落とし、床に敷かれた布団に横になる。

布団は一組しかないので、悟林が悟空の横で丸まって眠っている状態だ。

「明日はナメック星だね…」

「緊張してんのか?」

「うん、ベジータよりやばい奴がいるのはちょっと怖いけど…でも、わくわくしてる。お父さんは?」

「へへ、オラもだ…おめえは本当に強くなったな」

「そうかな?」

「ああ、オラがおめえと同じくらいの時は全然大したことなかったからな」

年齢を考えればこれからも修行を積んでいけば更に強くなれるだろう。

大事な娘であり、身近で小さなライバルでもある悟林が将来どのような武道家になるのか悟空は今から楽しみだった。

自分より強くなったら悔しい反面凄く嬉しいかもしれない。

「お父さん?」

「もっと強くなれよ悟林」

「……うん!お休みお父さん」

「おう、お休み」

修行の疲れもあってかすぐに眠ってしまい、2人を乗せた宇宙船はナメック星へと飛び続ける。 
 

 
後書き
戦闘力

孫悟林:80000

孫悟空:100000

悟空の戦闘力は修行相手がいることもあって原作より伸びている。

そして普通の親子関係ではないものの、娘の成長を間近で見続けてきたことで悟空の父親力もアップしている。 
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