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とある3年4組の卑怯者

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58 御馳走(おすすめのラーメン)

 
前書き
 前話でリリィが「くっきーってビスケットの事?」という台詞がありましたが、実はクッキーという言葉はアメリカやカナダなどの北米で使われているものでその他の英語圏では基本的に「ビスケット」と呼ばれています。 

 
 日曜になり、藤木は両親に事情を喋り、家を出た。途中でまる子と遭遇した。
「おーい、藤木!」
「やあ、さくら」
「アンタ珍しくみどりちゃんの誘いOKしたねえ」
「ああ、断るのは卑怯だと思ったんだ」
「へえ~」
 藤木とまる子はそしてみどりの家に着いた。
「お~い、みどりちゃ~ん」
「あ、まる子さん、藤木さん!」
「やあ、君達」
 みどりとその祖父が家の前にいた。
「こんにちは」
「やあ、今日はみどりの誘いに答えてくれてありがとう」
「いえいえ、こちらこそ楽しみです」
 藤木が返答した。
「それでは、行きましょうか」
「みどりちゃん、道覚えてるの?」
 まる子が心配になって聞いた。
「はい、実習のとき、私のクラスメイトが地図を作ってくださったので、覚えております!」
 みどりは自身満々に答えた。

 こうして、藤木、みどり、まる子、みどりの祖父はラーメン屋へと向かった。10分足らず歩くと、そこに「ラーメンわかば」があった。
「ここです」
「へえ~」
 四人は店内に入った。そして一つの四席分のテーブルに着いた。まる子がメニューを見る。醤油ラーメン、塩ラーメンなど、通常のラーメンもあったが、当店特別ラーメンというところに目をやった。
「へえ~、カマスのから揚げラーメン、クロダイの煮つけラーメン、タチウオのから揚げラーメン、変わったメニューがあるねえ」
「はい、これらは皆清水港で獲れる魚を使っているんです!」
「へえ、美味しそうだね、じゃあ僕はこのタチウオのから揚げラーメンっていうのを頼むよ!」
「おお、藤木もやるねえ、アタシゃカマスのから揚げラーメンってのを食べよう!」
「わ、私は・・・、そうだ、藤木さんと同じタチウオのから揚げラーメンっていうのにします!」
「じゃあ、ワシはクロダイの煮つけラーメンにしよう」
 こうして注文が決まった。しばらくして、それぞれが頼んだメニューが運ばれてきた。
「美味しそうですね!ではいただきます!」
 四人はこうしてラーメンを食べ始めた。藤木は自分が食べているタチウオのから揚げラーメンが凄く美味しく感じていた。みどりは好きな男子と共にラーメンを食べることに喜びを感じていた。
「このラーメン美味しいねえ」
「僕のも美味しいよ!」
 皆それぞれが食べるラーメンの美味しさに感動するのであった。

 一方、リリィは笹山の家に行っていた。そこで笹山やその母からクッキーの作り方を教わっていた。材料の配分にも気を付けており、慎重になっていたのだった。オーブンで焼く時間となり、焼きあがるまで二人は休憩にしていた。
「上手くできるかしら?」
「きっと上手くできるわよ。それにしても凄い集中してたわね」
「ええ、緊張しちゃった」
「はい、これどうぞ」
 笹山の母がドーナツとチーズケーキを差し出した。
「このドーナツとチーズケーキも私やお母さんの手作りなのよ」
 リリィはドーナツとチーズケーキを口に入れる。
「わあ、美味しい!私、自分で作った事あまりないし、ケーキとかもお店で買うものばかり食べてるけど、手作りも凄い美味しいわね」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
 そしてクッキーが焼けた。二人は出来具合を確認する。
「上手く焼けたわね」
「うん!」
 リリィは味も確認する。自分でも驚くほどの美味しさだった。
(これなら渡せられる!)
 そして手作りのクッキーを二つの袋に詰めた。笹山とその母に作り方を教えて貰った礼をして笹山家を後にした。先ずは花輪邸に寄る。ヒデじいにクッキーの袋を渡してリリィは次の目的地へと向かった。

 皆ラーメンを食べ終え、帰る時になった。
「みどりちゃん、誘ってくれてありがとう。美味しかったよ」
 まる子が礼をした。
「うん、あんな美味しいラーメン食べたのは初めてだよ」
 藤木も礼を言った。
「藤木さん・・・。ありがとうございます!」
 みどりは藤木から礼を言われた事で顔が赤くなった。
(藤木さんが喜んでくれている・・・、嬉しい・・・
 こうして藤木達は帰ることになった。そしてみどりと別れる時が来た。
「まる子さん、藤木さん、本日はありがとうございました、では、さようなら」
「こっちこそ御馳走してくれてありがとう、じゃあね」
(藤木さん・・・)
 みどりはまる子と共に去る藤木の後ろ姿をいつまでも見つめていた。
「あの、さくら・・・」
 藤木は緊張しながらまる子に話しかけた。
「どうしたの?」
「今日のこの事、どうかリリィと笹山さんには言わないでくれよ!もし二人がみどりちゃんとラーメン屋さんに行ったなんて知って僕がみどりちゃんを好きだって思われて嫌われるかもしれないし!!」
「え・・・、あ、うん、でも二人ともみどりちゃんの事知らないから大丈夫じゃないの?」
「あ、そっか」
 藤木は肝心な事を思い出した。確かにみどりはリリィや笹山とは面識は持っていなかった。

 藤木はまる子と別れ、自分の家に戻ってきた。その時、藤木を呼ぶ声がした。
「藤木君!」
 振り返ると、それはリリィだった。
「リリィ・・・。どうしたんだい?」
「今日笹山さんの家へ行ってクッキー作ってきたの。藤木君にあげるわ」
「いいのかい?ありがとう・・・」
「それじゃあ、またね」
 リリィはそう言って去った。みどりからラーメンをご馳走になり、リリィからクッキーを貰い、藤木にとって運がいい日になったのだった。
(今日はホントついてるなあ~・・・)

 翌日、リリィは笹山に昨日の礼をしていた。
「笹山さん、昨日はありがとう。藤木君も花輪クンも喜んでいたわ」
「へえ、よかったわね」
 リリィは藤木の姿を見て彼を呼んだ。
「藤木君、おはよう」
「あ、おはよう・・・。昨日のクッキー、美味しかったよ」
「よかった。ありがとう!」
 リリィは藤木にやや赤面した。

 その頃、みどりは堀に昨日の事を話していた。
「そうだったの、まる子ちゃんもその吉川さんの好きな子も美味しいって言ってくれていたんだ。良かったわね。私も行きたくなったわ」
「ええ、是非一緒に行きませんか?」
「そうね!」
 その後、みどりは日曜の事を平井にも報告しようとする。
「あの、平井さん」
「何だよ?」
「この前のラーメン屋さん、行ってみたんですが、とても美味しかったです・・・!」
「オオ、食ったのかァ!あンがとよォ!」
「はい!」
 みどりは平井に礼を言われ、嬉しくなるのだった。 
 

 
後書き
次回:「球技大会」
 クラス対抗で球技大会を行うことになった入江小学校の3年生。男子はサッカー、女子はバレーボールを行うことになり・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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