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星河の覇皇

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第七十九部第二章 観戦武官達の動きその四十三

「店を開く許可を出したな」
「そうでしたね」
「私がな」
 艦の責任者として認可したのだ。
「その店か」
「施設の中のお店ではナンバーツーの人です」
 その店の寿司職人の中でというのだ。
「それで、です」
「ここに来てもらったか」
「今回の出港の間だけですが」
「この艦で店を開いているか」
「そうなのです」
「成程な、ではな」
「はい、次から次に握ってくれますので」
 その寿司をというのだ。
「召し上がって下さい、お酒もありますよ」
「日本酒だな」
「そうです、そちらのお酒を用意しています」
 まさにそれをというのだ。
「ですから」
「それをだな」
「飲んで下さい」
「これは」
 通信士がここでその用意されている酒を見た、その酒はというと。
「大吟醸か」
「そうです、美味しいですよ」
「日本酒はあまり飲んだことはないが」
 通信士は実はそうなのだ。
「しかしこれを機会に」
「飲まれて下さい」
「それではな」
 通信士は下士官の言葉に頷き実際に大吟醸が煎れられている杯を手に取った、そうして飲むとだった。
 目を輝かせてだ、こう言った。
「これは」
「美味しいですね」
「これだけの銘酒は」
 まさにと言うのだった。
「そうそうない」
「日本酒の中でもです」
「この酒は特別美味しいのか」
「大吟醸の中でもお寿司に特に合う」
「そうした酒か」
「はい」
 その通りだという返事だった。
「これだけで飲んでもいいですが」
「寿司を肴に飲むとか」
「余計にいいのです」
「そうか、だからこれだけ美味いのか」
「左様です、ただ」
「ただ。どうした」
「あまりにも美味しいので」
 笑みを浮かべてだ、下士官は通信士にこうも話した。
「飲み過ぎて翌日二日酔いにならない様に」
「気をつけることか」
「そこはくれぐれも」
「わかった、ではな」
「このことはですね」
「私も気をつけよう」
 日本軍の若い下士官に答えた、見れば彼の年齢は自分よりも二つ程若い。士官学校を出たばかりの彼よりも。
 それでだ、通信士は下士官に彼自身のことを尋ねた。
「君は二十一か」
「はい、二十一歳です」
「それで四等伍長だな」
「そうです」
 階級を見れば実際にそれであった。
「高校卒業と共に入隊しました」
「下士官候補生になったか」
「はい、そして」
「二年でか」
「下士官になりました」
 四等伍長になったというのだ。 
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