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星河の覇皇

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第七十九部第二章 観戦武官達の動きその四十二

「しかしですね」
「戦乱が続いている」
 艦長は鮪の握りを食べつつ通信士に話した。
「戦争ばかりだとな」
「どうしても生活に影響が出ますね」
「戦争に力を注ぐ」
 国家や社会にあるあらゆるものをだ。
「そして娯楽も減りな」
「奢侈もですね」
「なくなっていく」
 そうなっていくというのだ。
「だからだ」
「サハラは貧しい、このことは」
「君もよくわかっているな」
「はい、戦争は全てを奪います」
 まさにとだ、通信士は艦長に答えた。
「余裕も何もかもを」
「そうだな、そしてだ」
「サハラの今がありますね」
「貧しいとも言っていい」
「左様ですね」
「だから連合から見るとな」
 どうしてもというのだ。
「どうしても馴染めないのだ」
「左様ですね」
「連合の豊かさに馴染んでいるからこそ」
「こうしたものも食べられますし」
 通信士も寿司を食べている、彼が食べているのは今は納豆巻きだ。そうした寿司も用意されているのだ。
「そしてですね」
「楽しめる、そもそもサハラに寿司はあるか」
「名前すら知らない人がいますね」
 サハラにはだ。
「寿司というものの」
「連合では誰もが知っている」
「和食の代表の一つです」
 それこそ刺身や天婦羅と並ぶ位にだ。
「そうしたものですが」
「それがな」
「サハラでは違いますね」
「あらゆる料理も食べられない」
 連合の様にというのだ。
「それではな」
「施設からも出られないですね」
「つまり連合の中からな」
「そうなっていますね」
「この艦も連合の中にある」
 艦船の中はその所属国の領土扱いだ、だからそれを示す軍艦旗を掲げなくてはならないのである。これは絶対のことだ。
「だからな」
「この中にいれば」
「連合の生活を満喫出来る」
「寿司も食べられますね」
「この通りな」
「どんどん召し上がって下さい」
 日本軍の若い下士官が艦長に言ってきた。
「お寿司は沢山ありますから」
「寿司パーティーだからだな」
「どんどん握っていきますので」
「握っているのはまさか」
「はい、職人さんです」
 寿司職人だというのだ。
「施設の中にお店を開いている」
「その人にか」
「来てもらいまして」
 そしてというのだ。
「そうしてです」
「握ってもらっているのか」
「艦の中に出張のお店を開いてもらっていますし」
「そういえば」
 ここで艦長も気付いて言った。 
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