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星河の覇皇

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第七十九部第二章 観戦武官達の動きその四十一

「そうして滅多にその家から出ない」
「そうした暮らしになることも多いですね」
「連合の人間がサハラで暮らすことは難しい」
「連合の豊かさを実感して」
「しかも戦乱の地域だからな」
「余計に困ってしまいますね」
「だから大使も成り手がいない」
 小国になるとだ、特別に臨時雇いの様に高給で雇って行ってもらうことになる。それこそ三食昼寝付きでだ。
「サハラにはかつて多くの国があったが」
「サハラに大使を置けばいい」
「そうした考えでな」
「サハラ大使ですね」
 即ちサハラ全ての国の大使であるのだ。
「そうしていましたね」
「ハサン王国によくいた」
「そうでしたね」
「そうした状況だった」
「そして大使はいるだけでよかった」
「その大使も家の中から出ない」
 連合の文明レベルの家で連合の食事を楽しんで生きていたのだ、もっと言えばサハラのレベルではとても楽しめなかったのだ。
「情報をネットで集めてな」
「本国に送るだけでしたね」
「そうした仕事と生活だった位だ」
「我々にしても」 
 通信士も艦長に述べた。
「サハラでの生活は」
「苦労が多いな」
「文明レベルで数百年の違いがあります」
「その違いが大き過ぎてな」
「それで、です」
 まさにその為によってというのだ。
「苦労しますね」
「何かとな」
「正直連合軍の施設からは」
「出たくない位だ」
「施設の中にいますと」
「快適だ」
 まさに連合の中にいるかの様にだ。
「非常に暮らしやすい、しかしな」
「そこから出ますと」
「サハラだ」
「我々から見て数百年は遅れている」
「その地域になるからな」
「出たくないですね」
「サハラに赴任する大使は引きこもりになりやすいというが」
 大使館から出なくなるというのだ、尚本国もサハラに関心はないので情報が時々届けばいい位に思っている。
「しかしな」
「それは当然のことですね」
「やはり連合は豊かだ」
「生活に不自由はなく」
「娯楽も多い、食事も美味い」
「いいことばかりですね」
「その連合から見るとな」
 サハラ、この地域はというのだ。
「未開でしかない、だからな」
「施設の外に出ることも」
「嫌になる、しかも連合は奢侈も好まれるが」
「サハラは質実剛健ですね」
「清教徒以上にな」
 この時代でも連合やエウロパに存在しているプロテスタントの一派だ、質素で厳格な戒律で知られている。
「質素でな」
「イスラムは本来は贅沢も認めていますが」 
 ユダヤ教の様に厳しく戒めてはいない、そうした辺りについての寛容さもイスラムの魅力の一つなのだ。 
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