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星河の覇皇

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第七十九部第二章 観戦武官達の動きその三十三

「これまで二回とんでもない激戦だったな」
「両軍の損害が八割近くに達する」
「恐ろしい戦いでしたね」
「見ているこちらが驚きました」
「その都度」
「二回続けて大規模な会戦で引き分けるなんてな」
 それこそと言うのだった。
「やっぱりな」
「戦史においてもなかったですね」
「それこそ」
「そうでしたね」
「ああ、今度もそうなるか?しかしな」
 若しそうなればとだ、大尉はこうも言った。
「そうなったらな」
「オムダーマンもティムールも大変ですよね」
「損害が大きくなって」
「戦争の後が大変ですね」
「終わったその後が」
「そうなるよな、私だったらな」
 大尉は自分の髪の毛を触りながら言った、アフリカ系の様なパーマであるが赤い髪の毛だ。顔はアフリカ系とアジア系のハーフで目は緑だ。
「三度目で決めたいな」
「もうこれ以上はですよね」
「激しく戦えないですね」
「損害が嫌になって」
「そうなりますね」
「ああ、もうあっさりとな」
 そうした感じでというのだ。
「終わらせたくなるな」
「それで、ですね」
「そろそろ決めたくなる」
「そうした状況ですね」
「そうだろ、何時までも消耗戦とかな」
 そうした戦争はというのだ。
「下の下以下だからな」
「ですよね、そんな戦争は」
「嫌になりますよね」
「戦う方も」
「そうなりますよね」
「そうだろ、だからな」
 それでというのだ。
「オムダーマンもティムールもな」
「そろそろですね」
「決めたいと思ってますね」
「戦争自体を」
「そうした状況ですね」
「そうだろうな、しかし決め手なんてあるのか」
 大尉は首を傾げさせつつ言った。
「オムダーマンにもティムールにも」
「そこですよね」
「何かない感じですけれど」
「今も」
「それで戦ってますけれど」
「ああしてやってくとな」
 ただひたすら消耗戦を展開していると、というのだ。
「本当に何もいいことないからな」
「統一しても」
「それが果たせても」
「勝って統一しても焦土だとな」
 後に残ったものがというのだ。
「どうしようもないからな」
「そうですよね」
「じゃあどうするか」
「オムダーマンもティムールも」
「そこが見えないですね」
「ああ、どうするつもりだろうな」
 首を傾げさせて言う大尉だった。
「どっちもな、それでも我々は結局観るだけだ」
「その激戦に参加する訳じゃないですからね」
「安全な場所から観ているだけで」
「そうしたことはしないですから」
「まだ楽だけれどな、じゃあ今からな」
「出港用意ですね」
「何時出港してもいい様にしておく」
「そういうことですね」 
 部下達も応えた、連合の軍隊独特の冬の軍服である。黒で下士官の軍服は士官のそれから金色を抜いたもので兵士はセーラー服だ。 
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