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星河の覇皇

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第七十九部第二章 観戦武官達の動きその三十二

「しかしだ」
「それでもですね」
「楽しめる筈がない」
「多くの人が死傷し多くのものが壊される」
「そうなることが決まっているからな」
 それだけにというのだ。
「どうして楽しめるか」
「そうなりますね」
「そうだ、まことにな」
 またこう言うのだった。
「戦争、災害もな」
「お嫌いですか」
「いつもないに越したことはないと思っている」
「だからこそですか」
「戦争でなくだ」
 まさにというのだ。
「サハラもな」
「統一出来れば」
「いいのだが、しかしな」
「それは無理な話ですね」
「あの地域にとってはな」
「それがサハラですから」
「あの国は群雄割拠でだ」
 そうしてというのだ。
「言うなら戦国時代だった」
「それも千年の間」
「それではな」
「その最後もですね」
「戦争だ」
 それで決まるというのだ。
「そうなる」
「そうですね、では」
「その戦争を最後まで見よう」
 連合中央政府の国防長官として、というのだ。
「学ぶ為にな」
「戦争をですね」
「平和を知るには戦争を知ることだ」
 イギリスの軍事学者リデル=ハートの言葉だ、戦車の有効性に一早く気付いて提唱した軍人でもあった。
「だからだ」
「戦争はですね」
「知るに限る、そしてだ」
「その知ったものを使ってですね」
「国防を担う、つまりだ」
「平和を守るのですね」
「そうする、だからこそだ」
 オムダーマンとティムールの戦争をというのだ。
「見よう」
「わかりました、それでは」
「最後の最後までな」
「観戦武官の方々には観てもらい」
「私自身もそうする」
 こう話してだった。
 八条は実際に地球で己の仕事をしつつサハラでの戦争を見ていた、この時三度目の会戦が近付いていると見てだ。 
 連合中央政府及び各国の駐在武官特に観戦を任せられている士官達は動きはじめていた、アメリカ軍の大尉は部下の下士官や兵士達に言った。
「じゃあそろそろな」
「はい、どうやらですね」
「三度目の会戦ですね」
「その時が近付いていますね」
「また仕事だ」
 大尉自身のというのだ。
「その時が来た」
「ではですね」
「我々もですね」
「大尉のサポートとして」
「観戦様の艦に乗り込ませて頂きます」
「その用意を頼む、しかし」
 大尉は部下達にこうも言った。 
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