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ドリトル先生と幸せになる犬

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第九幕その三

「だから家畜になってね」
「犬になったね」
「そうだね」
「狼もね」
「そうした生きものだから」
「狼は家畜を襲うから」
 それでというのです。
「恐れられて嫌われていたんだよ」
「欧州ではそうだよね」
「家畜を襲うからね」
「それで忌み嫌われて」
「童話でも悪役だね」
「狼と七匹の子山羊でも赤ずきんちゃんでも三匹の子豚でも悪役だけれど」
 それでもというのです。
「狼は充分な食べものがあるとね」
「襲わないしね」
「あんな貪欲でもなくて」
「狡猾でも残忍でもないね」
「残忍でもないね」
「賢明で堅実な生きものだよ」 
 それが狼だというのです。
「だから日本では『おおかみ』なんだよ」
「大きな神様だね」
「それでその呼び名なんだね」
「中国語読みだろ『ろう』だしね」
「狼と書いてね」
「そうだね、日本は農業の国でね」
 それでというのです。
「畑を荒らす獣が問題だね」
「今はかなりだね」
「言われているね」
「畑を荒らす獣が問題で」
「何かと言われているね」
「その獣達を食べてくれるから」
 そうして畑の害を防いでくれるからです。
「狼はね」
「日本では有り難い」
「そう思われていたんだね」
「そうなんだね」
「そうだよ、日本の民間伝承でも狼が人を襲うお話があるけれど」
 それでもというのです。
「どの生きものでもあるからね」
「日本ではね」
「そうだよね」
「だから狼が特別悪いんじゃないね」
「そうだね」
「犬も猫も狐も狸も熊もだからね」 
 日本ではというのです。
「化けたりして悪いことをするね」
「もう日本だとそうだね」
「もう何かとあって」
「それじゃあね」
「狼だけが悪い訳じゃないわね」
「勿論人間もだからね、それでね」 
 さらに言う先生でした。
「狼だけが悪いことをする訳じゃないし」
「日本ではね」
「だから狼を特に悪いと考えていない」
「むしろ全体的に見て有り難い生きものだったのね」
「畑の獣害をなくしてくれる」
「狼もそうした生きものでね」 
 それでというのです。
「外見だけで判断したらいけないよ」
「全くだね」
「人もそうだしね」
「例えお顔が怖くてもね」
「いい人っているからね」
「ブルドッグだってそうね」
「そうだよ、偏見なく見て」
 そしてというのです。
「学んでいって一緒に暮らしてもね」
「怖いと思わずに」
「それでだよね」
「飼っていくべきだね」
「そうすべきね」
「そうしないとね、そして外見が可愛いからといって」
 怖い場合とは逆にというのです。 
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