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おっちょこちょいのかよちゃん

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159 杖を再び狙う

 
前書き
《前回》
 奪還された本部の領域を守備するさり達はまた新たな侵略者と相対する。そして藤木の捜索の為に進むかよ子達の前に立ちはだかったのは嘗てかよ子から杖を騙し取ろうとした蘇我氏の一族だった!!倒された入鹿と蝦夷の敵を取る事も兼ねて杖を再び狙おうとする馬子と稲目に対して迎え撃とうとするかよ子達だったが、赤軍から支給された機械の影響で以前よりも格段に手強くなっていた!! 

 
 本部の一室では護符の所有者及び杖の所有者が敵と交戦している様子を見ていた。
「さりにかよちゃん、大丈夫なんかね・・・」
「はい」
「大丈夫ですよ、お二人の娘さんなら」
 りえの母が二人を安心させようと言った。
「そうだね、彼女らは実際にこの地でも単独ではないと言え敵を返り討ちにしているからね。信用しようじゃないか」
「はい・・・」
 まき子は自分の娘と友人の娘の無事を祈った。

 かよ子は蘇我氏の二人に対して怯えていた。しかし、杖を盗られた事のトラウマだけではない。かなりの威圧感を放っていた。この二人も赤軍からあの三つの能力を使える機械を支給された影響もあるかもしれないとかよ子は予想した。
「まずはこいつらの機械を破壊しないとな・・・。さくら、火炎放射だ!」
「え?う、うん・・・」
 まる子は炎の石で火炎放射した。しかし、簡単に弾かれる。ただ念仏を唱えるだけの二人の男は何もせず平気で近づいてくる。
「おい、のり子とか言ったな!その人形であいつらの機械のしまってある場所を確認して壊すんだ!」
「う、うん!!」
 のり子の人形は念力を使用した。しかし、攻撃対象は蘇我氏自身ではなく、彼らの持つ機械にしていた。にもかかわらず壊れない。
「だめ・・・!!なかなか壊れない!なんで?あの念仏の能力(ちから)?」
「間違いねえぜ・・・」
「くそお!」
 次郎長の子分達も、次郎長も迎撃した。しかし、二人の念仏で金縛りにされてしまう。
「我は馬子」
「我は稲目。貴様らは消えて貰う。そして小娘、貴様は我らに杖を渡すのだ」
 馬子と稲目は念仏を唱えて次郎長一派を抹殺しようとした。

 さり達はアブー・アブドゥッラーと交戦していた。さりは護符の能力で分身を出して幻惑はしているが、姿を消したままのアブー・アブドゥッラーを見いだせない。
「長山君、眼鏡で見破れる!?」
 さりは長山に頼んだ。
「兎に角、やってみるよ!」
 長山はアブー・アブドゥッラーの姿を確認する。その時、さきこのルビーが光った。アブー・アブドゥッラーの姿が見えた。
「あそこだ!」
「よし、やるわ!」
 さきこのルビーは光り続けると共に、コバルトスピネル、サファイア、トパーズも纏めて光る。アブー・アブドゥッラーの姿が丸見えとなった。さりは護符の能力で漫画に出てくるようなレーザーガンを出現させた。さりはレーザーガンでアブー・アブドゥッラーの持つ機械目掛けて射撃する。尾藤もボールを蹴った。
「そう簡単にやられてたまるかよ!」
 アブー・アブドゥッラーの姿が再び見えなくなった。
「ど、どこ行ったの!?さっき宝石で見えるようにしたのに!?」
「奴は姿を消したんじゃない!別の場所へ移動したんだ」
「となると・・・!?」
 アブー・アブドゥッラーは既に別の場所から攻撃していた。さりの分身が消えた。
「貰うぞ・・・。お前の護符」
 さりはアブー・アブドゥッラーが見えぬまま護符を奪われる事に恐れをなした。一か八かでも守り抜くしかないと思い、武装の能力(ちから)での防御を図った。しかし、姿を消したアブー・アブドゥッラーは襲ってこなかった。いや、襲えなかった。
「なぜだ!?なぜ、攻撃が効かん!?」
 アブー・アブドゥッラーは分からなかった。赤軍から支給された機械で武装の能力(ちから)と威圧の能力(ちから)、両方を放っているにも関わらず、護符を奪い取り、所有者を抹殺できなかった。
「不具合だ!機械が不具合を起こしてるんだ!!」
 長山が察した。
「なら、今のうちに!」
 もと子は気合いを入れた。玉が黒色に光る。姿が消えたままのアブー・アブドゥッラーにダメージを与える。
「ああ、ああ!!なぜ、姿を消しているのに・・・!!」
 そして、長山の眼鏡でアブー・アブドゥッラーの姿が丸見えだった。尾藤がボールを蹴って攻撃した。アブー・アブドゥッラーはもう一度機械の利用を試みた。そして、瞬間移動する。
「ちっ、外した・・・!、」
「不具合が治ったのね・・・!!」
 さりは周囲を見回す。その時だった。
「はあっ!」
 一人の男が現れ、槍を振るった。アブー・アブドゥッラーの姿がまた現れた。
「清正!久しぶりやな!」
「おお、尾藤海斗。それにお主は護符の所有者か!?」
「ええ」
「この清正も助太刀する!成敗だ!」
「されてたまるか!」
 清正の攻撃に対してアブー・アブドゥッラーは機械による武装の能力(ちから)で防御した。
「その道具を壊せばよいと分かっておる!」
「分かってても無駄だぞ!!」
 清正はもう一度、アブー・アブドゥッラーの機械の破壊を試みた。

 かよ子はここで馬子と稲目によって次郎長一派を消され、自分の杖を奪われてたまるかという気持ちで慌ててリュックから無造作に何かを掴んだ。掴んだのは花火だった。
(花火・・・!!)
 かよ子は花火に杖を向け、火薬を操る能力(ちから)を得た。
「ええい!!」
 かよ子はおっちょこちょいしてでも無造作に杖を振り続けた。しかし、稲目と馬子の念仏で弾かれる。しかし・・・。
「うおーーっ!!」
 一発当たった。稲目と馬子が遠くへ吹き飛ばされた。
「当たった・・・?」
「ナイスだね!」
 関根が褒めた。二人が遠くへ吹き飛ばされた影響か、次郎長達にかかっている金縛りが解けた。
「よし!」
 石松は斬り込みにかかった。
「まだやられるわけにはいかん!南無阿弥陀仏!!」
 稲目は念仏で結界を張った。石松の刀は通らなかった。しかし、途中で結界が破られた。
「なぜだ!?あの道具を使っているというのに!?」
「どうやら機械に不具合が起きたようだな」
 椎名は解説した。
「よし、石松どの、ファイトじゃ〜!」
 友蔵が応援する。石松も、次郎長も、大政も、小政も、斬りにかかった。
「父上、ここは私が!南無阿弥陀仏・・・!!」
 今度は馬子が結界を張った。皆が弾かれる。
「ならもう一回!」
 かよ子は爆弾を杖で出現させ、結界の破壊を試みた。しかし、結界は爆破されなかった。
(あの結界じゃなくて、やっぱり機械を狙わなきゃだめか・・・。通るかな?)
 かよ子は結界を無視して機械の破壊を行う為に爆弾を出現させ、投げた。しかし、それでも結界で守られた。
「あの小娘、我の道具を破壊するつもりだったな!?」
(よ、読まれた!?)
 かよ子はもしや機械による見聞の能力(ちから)を馬子が使用したのではないかと思った。
「諦めて差し出すが良い!愚かな小娘!南無阿弥陀仏・・・」
 稲目と馬子がまた接近して来る。他の次郎長の子分達が迎撃しても、大野が草の石を、ブー太郎が水の石を、まる子が炎の石を、椎名が水の玉で激流を出しても、関根が刀を振るっても二人を止める事ができなかった。
(あ、あ・・・、こうなったら・・・!!)
 かよ子は羽根を移動させて撤退を試みた。しかし・・・。
「え!?動かない!?」
「逃げるなど意味のなき事を」
「え、ええい!!」
 かよ子はやけっぱちで爆弾を杖で出現させて馬子と稲目にぶつけた。
「そんな手が使えるも思っているのか?」
「ひ、ひいいいーーー!!どうか、頼む!許しておくれ!!」
 友蔵は土下座して命乞いを試みた。
「命乞いなどくだらん、纏めて消してやる」
 のり子はキャロラインと同化する。
「キャロライン!」
「うん、のりちゃん、対抗しよう!」
 のり子と同化したキャロラインは念力で稲目と馬子を遠ざけようとした。
(相手の持つ機械もどこかで不具合を起こすはず・・・)
 しかし、念力も効かない。この時に限って機械が不具合を起こすなどそのような都合のいい事は起こる事はなかった。
(だ、だめ・・・!?)
 のり子とキャロラインの同化が馬子と稲目の念仏によって解除される。次郎長達は苦しめられ、皆は馬子と稲目の持つ威圧の能力(ちから)で恐れをなして動けなくなる。さらに友蔵は気を失ってしまった。
「さあ、もう一度杖を貰うぞ」
 かよ子は武装の能力(ちから)で抵抗しようとする。その時・・・。
「ぐあっ!!」
「おおっ!!」
 稲目と馬子が勢い良く後方へ飛ばされた。
「な、何が起きたの!?」
 かよ子には何が起きたか理解できなかった。
「貴方方、仏の教えを間違えましたね」
 一人の僧侶がその場にいた。
「あ、あの人は誰・・・!?」 
 

 
後書き
次回は・・・
「正しき仏法の説き手、玄奘」
 かよ子達の前に現れた法師は稲目と馬子は仏法を間違った解釈と批判する。そしてかよ子達に逆転の勝機が訪れるのか・・・!?そしてさり達に加勢した清正で護符の所有者達はアブー・アブドゥッラーへの留めを狙う・・・!!
  
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