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星河の覇皇

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第七十八部第二章 マウリアへの警戒その四

「こちらにも事情があります」
「軍事機密を渡すなぞ」
 バールが言ってきた。
「愚の骨頂です」
「そうです、言うまでもありません」
「軍事機密はどの国にも渡さない」
「マウリアに対しても」
「ましてやその軍事機密はエウロパに伝わります」
 この国にというのだ、連合の宿敵である。
「それではです」
「絶対にですね」
「渡す訳にはいきません」
「厳重に守りを固めますね」
「軍事機密は。ただ」
 八条も目を光らせた、そのうえでの言葉だった。
「連合の軍事機密には特徴がありますね」
「民間技術を流用していますね」
「はい」
 バールのその問いに即座に答えた。
「ですから民間技術を狙われると」
「こちらとしては危ういですね」
「そうです、私はいつも考えています」
「若し民間技術を狙われると」
「例えばスクラップ置き場に行きます」
 連合の何処にでもあるその国にだ。
「そうすればです」
「その時はですね」
「それこそ我々から見れば何でもない技術ですが」
「それがですね」
「彼等にとってみればまさにオーパーツです」
「我々が普通に視聴に使っているテレビも」
 これもだ、まさに彼等にとってみれば何でもないものだが。
「彼等から見れば宝そのものです」
「文字通りオーパーツですね」
「それこそマハラジャタウンから出てです」
「スクラップ置き場に行けば」
「それで簡単にです」
 軍事機密を狙うよりも遥かにというのだ。
「軍事機密が手に入ります」
「そうなりますね」
「恐ろしいまでに楽に」
 バールもディカプリオも応えた。
「そう思いますと」
「恐ろしいことです」
「連合にとってみますと」
「ですがそれを防ぐことは困難ですね」
「百年前の技術も、いえ」
 八条はここで自分の言葉を訂正して述べた。
「二百年前の技術でも」
「彼等にとってみれば」
「最先端技術と言ってもまだ足りないですね」
「そこまでの技術で」
「喉から手に入れる程欲しいものですね」
「それはエウロパでも同じで」
 この国も然りというのだ。
「あの国もです」
「我々から見ればどうでもいい技術でも」
「それでもですね」
「彼等から見れば最新技術で」
「手渡せるものではないですね」
「そうです、どうしたものか」
 民間技術、古いそれを狙われることはというのだ。
「一体」
「難しい問題ですね」
「我々から見て何でもない技術が敵にとってはオーパーツの様なものですと」
「民間技術も最新のものなら注意を払いますが」
「それが古いものですと」
「まして百年以上のものでは」
「気にも留めません」
「スマホもです」
 八条はここスマホを出した、自分のそれをだ。 
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