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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその十三

「実際にな」
「そうでしたね」
「テーベに敗れるまで絶対の強さだと言われていた」
「テーベのエパミノンダスの巧みな戦術に敗れるまでは」
「そこまで強かった」
「太古の時代でもそうしたものでした」
「ただ武装させてだ」
 そうしてというのだ。
「強い軍隊が出来るか」
「それは違いますね」
「若しそんな軍隊を創るとな」
「実際にそうした話もありますし」
「マキャベリがやってしまった」
「市民軍はよかったですが」
「ただ市民を武装させただけだった」
 軍事訓練を何も受けていない彼等をだ。
「その彼等を戦わせるとな」
「逃げ惑うだけでお話にもならなかった」
「そうでしたね」
「軍隊はまず訓練だった」
「その頃からそうであり」
「今は余計にだ」
 高度に科学化された宇宙の時代ではというのだ。
「兵士も専門職だ」
「専門職を育てるには時間とお金が必要です」
「だからな」
「その手間暇かけて育てた将兵達を失うことは」
「多大な損失だ」
 軍にとっても国家にとってもというのだ。
「だからだ」
「それは避けたいですね」
「絶対にな」
 何としてもというのだ。
「試験でもな」
「その通りですね」
「そう思うとだ」
「はい、あの艦の慎重な試験運用は」
「歓迎すべきことだ」
「そうですね、しかも急ぐ事情も」
「ないしな」
 このこともだ、マトリョーフは話した。
「今の我々には」
「じっくりとしてもらって」
「そしてだ」 
 そうしてというのだ。
「配属してもらおう」
「艦隊に」
「是非な、そして配属されてからな」
「乗員の育成をですね」
「本格的にしていくか」
「あの艦艇は普通の艦艇とは」
 どうしてもと言うシコースキーだった。
「かつてもそうでしたし」
「この宇宙の時代でもな」
「その様ですから」
「だからな」
「こちらの育成も時間がかかりますね」
「そう思う」
 実際にとだ、マトリョーフはシコースキーに答えた。
「私もな」
「左様ですね」
「しかしだ」
「それでもですね」
「やるべきだ」
 絶対にと言うのだった。
「それはな」
「的確な運用の為にも」
「すべきだ」
「そうですね、では教育総監としては」
「時間をかけてとな」
 そうしてというのだ。
「やるべきと考えている、そしてこのことは長官にもお話するが」
「あの方がどう言われるか」
「道理がわかっておられる方だ」
「だからですね」
「こうしたことで時間をかけられることはな」
 このことはというのだ。 
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