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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその十二

「他国が開発をしていてもな」
「それでもですね」
「我々のものがだ」
 まさにというのだ。
「最も優れている」
「そうなっていますね、間違いなく」
「そう思う、それであの艦艇の実用化だが」
「開発はそろそろです」
「最終段階か」
「はい、そして」
 そうしてというのだ。
「試験をです」
「そろそろか」
「行っていてか」
「それが綿密に行われ」
 そしてというのだ。
「それが終わってから」
「製造に移るな」
「何しろ色々難しい艦種なので」
「かつてもそうだったな」
「二十世紀に広く出た艦ですが」
「あの時は試験の段階でな」
「はい、各国共です」
「多くの者が犠牲になっている」
「そうなっています」
 まさにとだ、シコースキーも答えた。連合軍では勇将と言われている彼だが今の顔はそうした面影はなく至って理知的なものだ。
「そう思いますと」
「犠牲が出ないでな」
「試験を行い」
「運用される為にはな」
「やはりです」
「綿密かつ慎重にな」
「試験を行い」
 そしてというのだ。
「実用化すべきですから」
「だからだな」
「極めて慎重に進んでいます」
「それでは実用化まではな」
「かなり先になりうます、ですが」
「犠牲を出さないことが一番だ」
 試験の段階でもというのだ。
「犠牲が出るとな」
「はい、それだけで大きな損失です」
「軍人は只では出来ない」
 マトリョーフはこのことをここで指摘した。
「やはりな」
「はい、非常にです」
「一人育てるにも時間がかかる」
「それが軍人というものです」
「武器を持たせれば兵士になるか」
 こうも言うマトリョーフだった。
「果たして」
「それは違います」
 シコースキーもそこははっきりと言った。
「やはりです」
「教育に時間がかかりな」
「その間にお金もかかります」
「武装させればそれだけで兵士になる」
「そんな時代ではないですから」
「昔の話だ、しかも昔でもだ」
 この場合は太古の時代のことだ、それこそ人類がまだ剣や盾といったもので戦っていた時代である。
「それでどういった兵士が出来るか」
「只の数合わせでした」
「スパルタは違っていた」
 精強さでこの時代でも名が知られているこの国はというと。
「集団生活で幼い時から鍛え上げてだ」
「精強な兵達を作り上げていました」
「その時代でもな」
「そして実際にでしたね」
「スパルタ軍は強かった」
 ギリシア世界で太刀打ち出来る軍はいないとまで言われていた、スパルタ軍はそこまで強いと言われていたのだ。 
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