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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその十

「千年の平和の中でな」
「より豊かになり」
「サハラと比べると恐ろしいまでの差がある」
「そしてその豊かさの中で」
「我々は弱くなった」
 豊かさを即ち文明と表現しての言葉だ。
「そうなった」
「だからですね」
「我々はこのことからも弱い」
 戦闘訓練の少なさだけでなくこのことからもというのだ。
「非常にな」
「だからサハラと戦うとしたら」
「最早圧倒的な数と装備と物量、システムでだ」
「戦うしかないですね」
「互角の数ならな」
「勝てないですね」
「その望みは薄い」
 それが現実だというのだ。
「残念ながらな」
「だから数ですね」
「あるものは全て使うのが戦争だ」
「そして勝つものが」
「なら数もあればな」
「使うべきですね」
「あらゆるものをな」
 だからだというのだ。
「そうしないとならない」
「そうなりますね」
「そうだ、しかしサハラはこの戦争次第ではな」
「消耗戦になれば」
 スコースキーはその目を鋭くさせて言った。
「そうなれば」
「かなりの傷を受けるな」
「その力をかなり失いますね」
「そしてだ」
「そこからの復興をしつつ建国をしないといけないですか」
「それは避けたいだろうな」
「オムダーマンにしてもティムールにしても」
 両国共というのだ。
「そうでしょうね」
「勝ってもそれがピュルスの勝利ならばな」
「いいことはないですから」
「戦争は短期決戦に限る」
「孫子にある通りですね」
「長引けばな」
「それだけ国力を消耗するので」
「短いに限る」
 まさにというのだ。
「それはな」
「ではオムダーマンもティムールも」
「すぐに終わらせたい、しかしな」
 それでもと言うのだった。
「あの二回の会戦はな」
「それはですね」
「あまりな」
 どうにもというのだ。
「望むところではなかっただろう」
「やはりそうですね」
「出来ればだ」
「両国にしては」
「次の戦いに勝ってだ」
「そこからですね」
「攻めていきたい筈だ」
 両国共というのだ。
「それぞれ立場は違うがな」
「それでもですね」
「彼等は両国共な」
「次の会戦で、ですね」
「戦争の趨勢を決める勝利を得てだ」 
 そうしてというのだ。
「そこからだ」
「攻勢に転じて」
「そしてだ」
「統一まで進めていきたいのですね」
「敵の首都を手に入れてな」
「そうして勝利を決定的なものにしたい」
「そう考えている筈だ」
「そうですね」
「あの二国はな」
 マトリョーフはシコースキーにさらに言った。 
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