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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその三

「役人になるというな」
「役人、公務員は決まった給料しか貰えないですから」
「しかし商売人や田畑なり牧場を拓くとな」
「自身の努力や才能、運次第で」
「幾らでも儲けられる」
「ユニオン=ドリームを適えられます」
 一介の少年少女が成功し夢の様な地位や収入を得る、所謂アメリカンドリームが連合全体に及んだものだ。
「そう考えますと」
「公務員、軍人もそうだしな」
 軍人もまた公務員になる、連合ではこうした考えなのだ。
「決まりきった給料を貰うよりな」
「努力と運、才能で幾らでも儲ける」
「そうなればな」
 まさにというのだ。
「公務員は人気が乏しくな」
「そうした職業に比べて」
「そしてだ」
 さらに言うマトリョーフだった。
「命のリスクがあり訓練もある軍人はな」
「人気が低くなりますね」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「だからな」
「店員の確保だけで」
「四苦八苦だ」
「そうした状況ですから」
「軍規軍律は厳しくしてもだ」
 このことは警官と同じだ、連合ではこうした職業はモラルを求めるし求められるものであるのだ。それが社会の秩序を守るからだ。
「しかしな」
「訓練や戦闘での教育は」
「そこまでは言えない」
「その通りですね」
「サハラとは違うな」
「ましてサハラは多くの国が徴兵制でしたし」
 シコースキーは鮭の皮を食べつつ言った。
「軍の規模も維持しやすいですね」
「それもあるな」
「連合で徴兵制なぞ」
「そんな国は建国以来なかった」
「はい、建国以前は徴兵制の国もありましたが」
 韓国等がそうだ、そしてタイも選抜徴兵制くじ引きで選ぶこれだった。
「しかしです」
「それはな」
「そこまで軍の規模が必要か」
「そして徴兵で向けられる人員を他の産業から引き抜く形になってもいいか」
「そう考えていきますと」
 シコースキーは鮭の皮をフォークとナイフを上手に使って食べつつ言った。
「どうしてもです」
「徴兵制はな」
「まして軍、特に連合軍は」
 このことも建国以来のことだ。
「高度に機械化された軍隊で専門職化されています」
「そうだ、専門職であるからな」
「徴兵よりも」
 それよりもというのだ。
「志願制で士気の高い将兵に来てもらい」
「技術を身に着けてもらい長くいてもらう方がいい」
「徴兵制度は二年か三年です」
 それ位で兵役を終え止めていくというのだ。
「ですから」
「連合はあらゆる面から考慮して志願制であるべきだ」
「徴兵制をしても」
 まことにというのだ。
「かえって軍の質が落ちます」
「そういうものだからな」
「サハラは専門職化していても徴兵制だがな」
「戦争が常なので」
「実際は厳密な選抜徴兵制でもな」
「徴兵制で一定の兵を絶対に揃えなくてはならない」
「そうした事情があるからな」
 サハラの場合はそうだというのだ。 
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