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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその二

「その教えが連合のイスラムより強い」
「同じスンニー派やシーア派であっても」
「連合のそれとは違う」
「信仰がかなり強いので」
「それも平気だ」
 マトリョーフはこうシコースキーに述べた。
「死ぬことも何日も戦うこともな」
「その通りですね、連合とは根本が違いますね」
「ああした戦争が出来るなら」
 それならというのだ。
「サハラでもなかったことの様だが」
「はい、同じ人間とは」
「思えないものがある」
「全くです、しかし彼等も同じ人間です」
「これが教育の違いだな」
「連合とサハラの」
「軍事においてのな」
 ここでも教育総監として話すマトリューフだった、鮭のムニエルはかなり大きくオリーブオイルと塩胡椒それにレモン汁で味付けされている。
 そのムニエルを食べつつだ、彼は言った。
「教育の差もだ」
「決定的に出ていますね」
「私はそれを今強く感じている」
「連合では教えられないですね」
「死ぬことを前提とすることはだ」
 そうした教育を行うことはというのだ。
「連合ではどの様な職業でも出来ない」
「死刑囚を懲罰部隊に送れば別ですが」
「今そのことが議会で言われているな」
「はい、死刑囚の効率的な処刑の方法として」
 公開処刑、娯楽でもあるそれとして盛大に残虐に処刑を行うのが連合だが他の意見も出ているのだ。ただ処刑してはそれで終わりで返るものがないというのだ。
「軍の懲罰部隊にしてです」
「危険な任務を与えて消耗品としていく」
「それなら出来ますが」
 凶悪犯罪者それも死刑になる様な輩の人権を一切考慮しない連合らしい考えであると内外で言われていることである。
「これは特殊な事例ですね」
「死刑囚は死ぬことが決まっているからな」
「己の悪事によって」
「だからそれも出来るが」
「軍人は市民です」
「信者でも戦士でもない」
 その両方でもないのだ。
「ましてや騎士でもな」
「あくまで市民であります」
「職業としての軍人だ」
「それならば」
「市民は死ぬものではない」 
 国家の主権者である彼等はというのだ、こう言うマトリョーフも聞くシコースキーも自分達が市民だと考えている。
「生きるものだ」
「まして犠牲が多いと」
「志願者が減る」
 軍へのそれがだ。
「そうなるからな」
「教育として」
「そこまでは言えない」
「連合軍は志願者が少ない」
 マトリョーフは今この悩みを話に出した。
「常に何とかな」
「はい、定員を確保することがです」
「やっとだ」
「連合は軍人にならずともです」
「安定した収入の仕事が多いからな」
「それも安全な」
 命の危険が全くない、だ。
「俗に愚か者が役人になるとも言いますし」
「もっと言えばアホが、な」 
 マトリョーフは苦笑いになってよく罵倒に使われるこの言葉を出した。 
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