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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその一

               二度目の会戦を観て
 連合中央政府軍教育総監であるフランキ=マトリューフはオムダーマンとティムールの二度目の会戦の報告を教育総監として聞いて言った。
「二度目もこうだとはな」
「恐ろしい戦いでしたね」
 その報告を聞いてから今は第八軍副司令になっているシコースキー大将と共に昼食を摂っていたがシコースキーもこう言ってきた。
「報告を読むだけで」
「貴官もそう思うな」
「はい」
 その通りだとだ。また答えたシコースキーだった。
「双方の損害は八割近いです」
「一度目の会戦に続いてな」
「二度目もそうとは」
「損害が多いだけではない」
「はい、二度もそうした戦闘を行える」
「双方損害を顧みず何日も戦闘を行った」
 それも死闘と言っていい激しい戦闘をだ。
「尋常ではないな」
「連合軍そして各国軍ではです」
 シコースキーは昼食の鮭のムニエルを食べつつ述べた、見ればマトリョーフも彼と同じものを食べている。
「あそこまでの戦闘は」
「とてもな」
「出来る筈がない」 
 到底というのだ。
「私はそう思いますが」
「私もだ。連合軍の教育でもな」
「閣下の管轄ですね」
「それでもだ」
 それを行ってもというのだ。
「ああした戦闘を出来る教育はな」
「連合は死ぬなと教えます」
「そうだ、命を無駄にするなとな」
「戦争では死ぬものですが」
 戦死者は出るものだ、だがそれでもというのだ。
「しかしです」
「無駄死にはするな」
「そうです、これは中央政府軍ではなく各国政府軍もそうですし」
「勿論私がいたポーランド軍も同じだった」
「そうでしたね」
「連合で軍人が何があっても、死んでも戦い抜けと言う時は」
 軍人だからそうした時もある、マトリョーフが言ったそれはというと。
「市民を守る時だ」
「まさにですね」
「その時しかないからな」
「あれが市民を守る戦いなら」
「死んででも守れとなるが」 
 市民の国の市民の軍隊だからだ、そうした教育を行っているのだ。だがそうした時は連合では稀であるのは言うまでもない。そこまでの危機は乏しい国だ。
「しかしな」
「何日もああした戦闘は」
「やれとは言えない」
「全くですね」
「それをやれと言えるのがな」
「サハラですね」
「あの地域だ」
 まさにとだ、マトリョーフも言った。
「戦乱に覆われた地域だ」
「千年の間」
「実にな、そして死ねばな」
「天国に行けるといいますから」
「イスラムではな」
 戦争は全てジハードとしている、ジハードで死ねばそれだけで確実に天国に行けるというのがイスラムの教えだ。 
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