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星河の覇皇

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第七十七部第五章 戦争以上の問題その一

               戦争以上の問題 
 連合でもオムダーマンとティムールの二度目の会戦のことは伝わっていた、だが連合内部ではこのことはさして問題ではなかった。それは何故かというと連合にとってそれ以上の問題が起こっていたからだ。
 中央政府が出した辺境地域への大規模な開発及び開拓政策についてだ、連合の至るところで議論が起こっていた。
「行うべきだ」
「そうだ、辺境の開発と開拓を進めるべきだ」
「ようやく辺境の国境も画定したんだ」
「もう宇宙海賊もいない」
「これからは辺境の開拓だ」
「そして開発だ」
 賛成派はしきりに言っていた。
「あの地域を開発、開拓を行い」
「そしてあの地域を繁栄させるんだ」
「やっと落ち着いたんだ」
「ならその時が来た」 
 まさにというのだ、だが。
 反対派はその賛成派にこう反論した。
「いや、それよりも再開発だ」
「これまでの地域の再開発だ」
「そちらを優先させるべきだ」
「インフラが老巧化している地域が多い」
「そこの再開発だ」
「今は辺境はいい」
「落ち着いたならそれでいい」
「あの地域への開発、開拓はそれからだ」
 これまでの地域の再開発を優先すべきだというのだ。
「フロンティアは今はあるだけでいいだろう」
「我々の領土は広いしな」
「ならこれまでの都市や農村の再開発だ」
「諸星系のそれだ」
「辺境は該当の政府に任せろ」
「各国の政府の自治にだ」
「中央政府のやることじゃない」
 行うにしても彼等各国政府が行うべきだというのが彼等の意見なのだ、ここでも中央政府派と各国政府派の対立が出ていた。
 その議論を見てだった、中央政府大統領キロモトは大統領官邸で食事中に彼が密かに招いた各国の元首達に話した。
「さて、私の考えはです」
「我々と同じですね」
「左様ですね」
「そうです、辺境地域はです」
 彼等は賛成派だ、だからこの件に関しては同志として話すのだった。
「中央政府が行い」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「再開発は」
「そちらは」
「はい、連合の広大な地域のそれは」
 そちらはというと。
「各国政府にです」
「任せて」
「そうしてでうね」
「それぞれ分担して行いたい」
「そうお考えなのですね」
「そうです、辺境は該当国が少なく」
 辺境にある国々だけだというのだ、今の連合では。
「再開発はです」
「非常に多いですね」
「言うなら辺境に面している国もそうで」
「まさに連合の大藩の国です」
「おおよその国が該当します」
「ですから再開発はです」
 それはとだ、キロモトに話した。
「各国にです」
「それぞれの予算で行ってもらい」
「そしてですね」
「中央政府は辺境を受け持つ」
「そう役割分担をすべきというのですね」
「そうです」
 その通りだというのだ。
「ですから」
「中央政府は辺境を受け持ち」
「各国のことは各国で」
「それで開発、開拓と再開発を同時にですか」
「行っていきますか」
「中央政府の力ではどちらかです」
 辺境か再開発か、というのだ。 
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