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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその四

「前回の規模に達しようとしているな」
「はい、確かに」
「そこまで至っています」
「損害があまりにも多く」
「そうなっています」
「これではだ」
 シャイターンはさらに言った。
「わかってはいてもな」
「どうしてもですね」
「苦いと思いますね」
「この状況は」
「戦争には憶しない」
 シャイターンにこうした考えはない、そうでなくてはサハラにおいて野心を適えられる筈がないことだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「損害が出るのは」
「どうしてもですね」
「避けたいものですね」
「そうだ、この状況はな」
 どうしてもというのだ。
「辛いものだ、相手も隙を見せない」
「この状況では」
「このままですね」
「損害だけが出てしまいますね」
「敵もだがな」
 オムダーマン軍もというのだ。
「しかしな、これは物語ではない」
「はい、現実です」
「そして当事者ならば」
「余計にですね」
「損害は出したくないですね」
「どうしても」
「そうだ、損害を出さずにだ」
 そうしてというのだ。
「かつ華麗にだ」
「そうしてですね」
「勝ちたいですね」
「そうしたいですね」
「そうだ、だがこの状況ではな」
 どうしてもというのだ。
「それも難しいな」
「そうですね」
「それではですね」
「この状況では」
「損害ばかり出て」
「引き分けか、しかし引き分けになろうとも」
 今の会戦でというのだ。
「要はだ」
「はい、最後にですね」
「最後に勝てばいいですね」
「そうすればいいですね」
「そうだ、最後の最後に勝ってこそだ」
 まさにというのだ。
「この国に勝つぞ」
「わかりました」
「それならばですね」
「ここで引き分けても」
「それでもですね」
「それも仕方ない」
 どうしてもというのだ。
「それも覚悟してな」
「戦っていきますか」
「今の会戦も」
「そうしていきますか」
「このシャハラザードもだ」
 乗艦であるこの艦艇もというのだ。
「こうしてな」
「敵の攻撃が届こうとも」
「それでもですね」
 言っている間に至近で魚雷が来た、しかし。
 シャイターンはその魚雷にも憶することなくだ、幕僚達に話した。 
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