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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその三

「あの兵器を前面に出してな」
「一度出せば」
「それからはですね」
「あの兵器を使って」
「そうして戦っていきますか」
「そうする、しかし思えばだ」
 こうも言ったシャイターンだった。
「あの兵器のヒントはな」
「他ならぬオムダーマン軍ですね」
「アッディーン大統領の戦術がヒントですね」
「そうでしたね」
「まさに」
「思えば奇遇だが」
 それでもというのだった。
「だがな」
「その奇遇をですね」
「ここはですね」
「使っていかれますね」
「敵の戦術を学びそこから勝機を手にする」
 シャイターンはその敵であるアッディーンと戦い彼等の攻撃で自軍の艦艇も倒されるのを見つつ述べた。
「ここからもな」
「そうですね、では」
「あの兵器はですね」
「使うべきその時までですね」
「温存しておきますね」
「そうしておく、それで戦局だが」
 前線に出た艦隊が激しい戦闘に入っていた、ビームもミサイルも撃てるだけ撃ち艦載機も出そうとしている。
 そしてその中でだ、多くの犠牲を出していた。シャイターンはその損害を見ながらそのうえでこうも言った。
「今回の攻撃も激しいな」
「そうですね」
「損害も多いです」
「第九艦隊の損害が七割に達しました」
 これまでの戦闘でというのだ。
「第十、第十一艦隊の損害も七割に達しそうです」
「第十二艦隊の損害も六割を超えました」
「これだけ損害が多い戦闘になることは想定していた」
 既にとだ、シャイターンは述べた。
「しかしな」
「それでもですね」
「実際にここまでの損害に達するとなると」
「どうしてもですね」
「閣下としては」
「苦いものだ」
 自身が率いる軍の損害が多いとだ、指揮官としては自軍の損害は最低限で収めて勝利したいと思うものだ。それはシャイターンも同じだ。
「肉を切らせてというが」
「今の戦闘は」
「前回でもでしたが」
「いいものではないですね」
「実際に」
「そうだ、いい筈がない」
 一も二もない言葉だった。
「ましてや肉を切らせてどころではない」
「骨まで断たれていますね」
「そこまでやられていますね」
「そうですね」
「そうだ、しかも引き分けだ」
 肉を切らせて骨を断つは勝った場合の言葉だ、だがそれも勝利を手に入れてこそでそれが出来なければなのだ。
「それではな」
「意味がないとですね」
「そう言われるのですね」
「その様に」
「そうだ、あちらもそうだが」
 オムダーマン軍もというのだ。
「それでもな」
「この損害はですね」
「どうにもですね」
「辛いものがありますね」
「私としてもな。激しい戦闘が続き各艦隊のそれもだ」
 まさにというのだ。 
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