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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第76話 オゾン草を捕獲せよ、イッセーと小猫コンビ結成!?

 
前書き
 原作では小松がオゾン草を見つけた際葉が開いていましたが、ここではアーシアが最初に見つけたため葉が閉じている、という流れになっていますのでお願いします。小猫だったら開いていましたね。 

 
side:小猫


 積乱雲を突破した私達は遂にベジタブルスカイに到着することが出来ました。絶品の野菜たちを早く食べてみたいです。


「でも不思議よね、どうして雲の上に陸地があるのかしら?」


 リアス部長の言葉に私も確かに……と思いました。植物が成長するには太陽の光や水分、そして栄養が必要になります。太陽の光と水分はともかく雲には栄養なんてないのにどうして植物が育っているんでしょうか?


「ふむ、雲の上に大地があるんじゃないのか?前にイリナの貸してくれた漫画に乗っていたぞ?」
「ああ、大食い王を目指す男の子が主人公の漫画ね。あれって確か下界の大地が雲の上まで吹っ飛んでそうなったのよね」
「じゃああそこもそんな感じで大地が出来たのですかね?」


 ゼノヴィアさんは漫画の中にあった設定を話すとイリナさんとルフェイさんもその話に乗った。あの漫画は面白かったです。巨乳が多くてイライラしましたが。


「まあ行ってみれば分かるだろう。そろそろ空の大地に到着するぞ」


 先頭を行っていたイッセー先輩の目の前に雲の陸地が見えてきました。


「でもこの大地、本当に乗れるのでしょうか?」
「確かに。踏んだらズボッとハマってしまうかもしれないね」
「下手をすれば下まで真っ逆さまに落ちちゃうかもしれないわよ」


 朱乃先輩はここに乗って大丈夫なのかと問います。それに続いて祐斗先輩とティナさんも落ちないかと不安げに言っていました。


 もしかしたらすっごく薄い緑で踏んだら穴が開いて落ちてしまう可能性もありますね。


「よし、まずは俺が降りよう。最悪飛べばいいからな」


 このメンバーの中で空を飛べないのはアーシア先輩とティナさんだけですからね。先輩はそう言うとスカイプラントから勢いよくジャンプして空の陸地に降り立ちました。


「うおっ!?少し柔らかいな……でも俺が乗ってもビクともしないぞ」


 イッセー先輩が乗った場所は多少沈みはしましたが250㎏はある先輩の体重をしっかりと支えていました。


「皆、この雲の陸地は乗っても大丈夫だ。降りて来いよ」


 先輩にそう言われた私達は雲の陸地に乗ってみました。


「おおっ……意外とちゃんとした地面ですね」
「雲の上に乗れるなんておとぎ話みたいだね、小猫ちゃん」


 私はしっかりとした地面に驚きギャー君は面白そうに跳ねていました。


「でも土じゃないのよね?何で雲の上に乗れるんだろう?」
「イッセー、どうしたの?」


 イリナさんが雲の上に乗れることを不思議がっていましたが、イッセー先輩は地面の匂いを嗅いでいました。それを見たティナさんが何をしているのか質問します。


「なるほどな……この雲から灰の匂いがする、灰が氷結して雲になったんだ。雲の上に草が育つのは灰に含まれているミネラルを吸収して栄養を得ているからだな」
「灰……?雲にどうして灰が?」
「恐らくこれは火山灰でしょう。この辺りには活火山が多くあって前に行ったウール火山にも近い。あの火山灰は食べられるくらい栄養がありますからね」


 イッセー先輩の説明に懐かしい名前を聞きました。ウール火山、前にBBコーンをポップコーンにしに行った火山ですね。


「この雲は植物が根を張る程栄養が詰まった雲なんですね」
「ああ、俺が乗ってもビクともしないのはそれだけ深く広く根が張り巡らされているからなんだろうな」


 ルフェイさんはこの雲には栄養がいっぱいあると言います。イッセー先輩の体重を余裕で支えられるほど深く根が張り巡らされているという訳ですか。


「あれ?そういえばここって標高何万メートルはある空の上ですよね?普通に呼吸が出来ているんですが……」
「本当だ。言われてみると自然に呼吸が出来ているね」
「これだけ緑が生い茂っているから酸素も十分にあるのかも知れませんわね」


 私と祐斗先輩は呼吸できることに驚きましたが、朱乃先輩の言う通りこれだけ緑が生い茂っていれば光合成によって酸素がいっぱい作られているから呼吸が出来るのかもしれませんね。


「うわー!本当だー!なんだか地上よりも空気が美味しいかもー!」
「深く豊かな土壌の匂いがするな……とても清々しい気分だ」


 イリナさんとゼノヴィアさんは新鮮な空気を一杯吸っていました。


「それに何だかとっても温かく感じます。こんな空の上なのにどうしてなんでしょうか?」
「成層圏に入って気流が一気に安定したからだろう……太陽が近い分地上よりも温かく感じるのかもな」


 アーシアさんは空の上なのに暖かい気候にホニャッとした緩んだ表情を浮かべていました。気流が安定しているとこんなにも暖かいんですね。お昼寝したらとても気持ちよさそうです。


「……っていうか二人とも少しシワが出来ているぞ」
「なにっ!?本当か!?」
「うわー!本当にシワが出来てるじゃない!最悪だわ!」


 イッセー先輩の言う通りゼノヴィアさんとイリナさんの顔に小さなシワが出来ていました。恐らく過酷な気候で疲れたのでそれが身体にも表れたのでしょう。手鏡を受け取ったイリナさんが叫んでいました。


 よく見るとアーシアさんやギャー君にもシワが出来ていました。女の子にとってシワは天敵です。アーシア先輩もギャー君も恥ずかしそうに顔を隠しています。


(ん?ギャー君は男の子……まあいいか)


 一瞬ギャー君の性別について思いましたが些細な問題なので見送りました。


「はうぅ!恥ずかしいですぅ……!」
「どうしよう、イッセー君!こんな顔じゃお婆ちゃん扱いされちゃうよ!」
「まあ与作さんなら直してくれるだろう。しばらくは我慢してくれ」
「うぅ……イッセー君に恥ずかしい顔見られちゃった……」
「魔法じゃ直せないし下に降りるまではこのままですか。嫌だなぁ……」


 アーシア先輩とイリナさんはショックを受けていました。やっぱり好きな男の子にシワの出来た顔を見せるのは恥ずかしいですよね。ルフェイさんも珍しく落ち込んでいます。


「でもどうして僕達にはシワが出来ていないんだろう?」
「んー、多分グルメ細胞があったからじゃないか?小猫ちゃんと朱乃さんもシワないし」
「うふふっ、今ほどグルメ細胞を得ていたことに感謝したことはありませんわね」


 祐斗先輩とイッセー先輩の会話を聞いていた朱乃先輩はホッと息を吐いていました。私もイッセー先輩にシワが出来た顔を見せなくて済んで良かったです。アーシアさん達は可哀想ですが……


「ちょっと怖いけど私も酸素マスクを外して新鮮な空気を吸ってみようかしら」
「そうね、シワはもうしょうがないわ。ちょっと顔もかゆいし覚悟を決めて外すことにするわ」


 リアス部長とティナさんもイリナさん達のように酸素マスクを外して……ってええっ!?


「うわぁ……空気がとっても美味しいわ!」
「あんな危険な場所を抜けてきたんだもの、この空気だけでお腹いっぱいになりそう……ってどうしたの、皆?」
「私達を見て何とも言えない表情になってるわね。やっぱり私達にもシワが出来てる?覚悟はしていたけどやっぱり嫌なものね……」


 リアス部長とティナさんは私達が複雑そうな顔をしているのは顔にシワが出来たからだと思っているみたいです。まあそれは正しいのですがその……


「……リアス、顔を手鏡で見てみて頂戴」
「え-、あんまりシワが出来た顔は見たくないんだけど……ってナニこれー!?」


 朱乃先輩が渡した手鏡を渋々と除くリアス部長でしたが次の瞬間には叫び声をあげていました。それもその筈です、なにせリアス部長とティナさんはアーシアさん達が可愛く見えるくらいに滅茶苦茶シワが出来ていたんです。


 イリナさんは先程お婆ちゃんとして扱われると言いましたが、実際はちょっと小ジワが出来た程度で本当にお婆ちゃん扱いされることはないでしょう。それでもシワは女の子の天敵なので嫌ですが……


 でもお二人は知らない人が見たら80代の女性にしか見えないくらいシワが出来ていました。


「な、なによコレ!?予想の10倍くらいはシワができているんだけど!?」
「イヤー!これじゃ美人グルメリポーター3位の座から落ちちゃうわ!」
「よ、与作さんに頼みましょう。それまでは我慢してください……」
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』


 滅茶苦茶動揺しているお二人にイッセー先輩は気まずそうにそう言いました。そして空の大地にお二人の絶叫が響きました。


「え、えっと……そういえば野菜は見当たらないですね」
「あ、ああ。多分もっと奥の方にあるんだろう。先に進んでみよう」


 この辺りには野菜は見当たらないので私達は雲の陸地の奥へと歩いていきます。唯暫くの間リアス部長とティナさんは無言でいました……




―――――――――

――――――

―――



「ユンユーン♪」
「クポー」


 異空間から出てきたユンとクルッポーは楽しそうに空の大地で遊んでいます。さっきまで異空間にいたから自由に動き回れて嬉しいんですね。


「ユーン!」
「あはは、ユンってばはしゃぎ過ぎだよ。でもこんなにも気持ちのいい場所ならそうなっちゃうのも無理はないよね」


 足元に来たユンを抱っこして私も笑いました。そのまま暫く先を行くと植物が鬱蒼とした場所に着きました。まるでウージャングルみたいに深い緑で辺りが包み込まれていますね。


「鬱蒼としてきたな……皆、迷子になるなよ」


 植物をかき分けながら更に先に進んでいきます。


「あー!見て、イッセー!」


 するとさっきまでテンションの低かったティナさんが何かを見つけて歓喜の声を上げました。イッセー先輩はティナさんが見つけたものを見ると同じように笑顔を浮かべました。


「こいつは『ミネラルミミズ』じゃねえか!肥えた土壌にしか生息しないと言う畑の小さな主だ。こいつがここにいるって事は近くに豊かな畑があるって事だ!」
「じゃあもしかして……」
「ああ、この先に野菜畑があるはずだ!」


 イッセー先輩はミネラルミミズの生態をテンションを上げながら説明してくれました。つまりこの先に美味しい野菜があるんですね。


 同じようにテンションを上げた私達は更に先を目指して進みました。そして……


「うわぁ……!」


 樹海を抜けた私の眼前には見渡す限りの野菜がぎっしりと並んだ野菜の地面でした。


「す、すげぇ……!どこを見ても野菜の山……!間違いない、ここが天空の野菜畑ベジタブルスカイだ!」
「なんなのこの香りは!?濃厚で肉や魚すら霞みそうなくらいの緑の匂いがするわ!」
「前に食べた焼肉並みの匂いですわね……なんだかお腹が空いてきましたわ」
「あはは、きっと僕達の体内にあるグルメ細胞が反応してるんですよ。早く食べたいって」
「私ももうお腹ペコペコです!」


 イッセー先輩は野菜の山に感激してリアス部長は野菜なのに肉の様に濃い緑の匂いを堪能していました。するとグルメ細胞を持つ朱乃先輩と祐斗先輩、そして私は早く目の前の野菜にかじりつきたいと涎を垂らしてしまいました。


「よし皆!早速この野菜たちを頂こうぜ!」
『おおー――ッ!!』


 私達はそれぞれが好きな野菜を選んで食べることにしました。私はまず目の前にあった大きな大根に注目します。


「引っこ抜いてみましょう……うわ、重いです」


 大根を雲から引き抜いてみましたがまるで鉄のように重くズッシリとした大根です。


「こんなに重い大根は初めてです。早速包丁で皮を剥いで……」


 包丁を取り出して大根の皮を向いていきます。すると真っ白に輝く瑞々しい実が出てきました。


「茹でたり焼いたりした方が良いかな?……ううん、まずは生のまま齧っちゃおう」


 私は大根を一口サイズに切り分けると一口齧ってみました。


「んん……シャキシャキとした歯ごたえとたっぷりのお汁が溢れてきますぅ♡」


 大根には辛い部分もありますがこの大根はどこを食べても甘くてペロッと食べてしまいました。


「信じられません、なんて美味しさなのでしょう……私が今まで食べてきた野菜が腐っていたかに思えるほど新鮮でおいしいです」


 あまりの美味しさにここに来た人がベジタリアンになってしまうのも頷けてしまいます。


「おっ、小猫ちゃんの食っている大根美味そうじゃねーか」
「イッセー先輩はさつまいもを食べているんですか?」
「おうよ、焼いてもいないのにほっくほくであま~い蜜が身体全体に染み渡るぜ!」
「美味しそう!私にも食べさせてください!」
「なら俺は大根を貰うぜ」


 イッセー先輩に貰ったさつまいもを齧ってみます……んん♡甘くて美味しいです♡


「実も柔らかくてホクホクです……しっとりと濡れた実が口の中で溶けていきますぅ♡焼いていないのにこんなに柔らかいなんて……夢中になっちゃいます♡」
「この大根も滅茶苦茶美味いな!まるでおでんのダシがしみ込んだ大根を食っているみたいだぜ!」


 イッセー先輩も幸せそうに大根を食べています。まだまだいっぱい野菜があるのにさつまいもから手が離せないです。


「ふふっ、二人の食べている野菜も美味しそうね」
「あっ、リアス部長……ってシワが消えています!?」


 先程まで落ち込んでいたリアス部長は美味しそうにキュウリを齧っているのですが、その顔は先程までと違いまるで生まれたばかりの赤ちゃんみたいにプルンとしていました。


「うわっ!?リアスさん潤っていますね!?」
「それはきっとこの新鮮なキュウリを食べたお蔭ね。このキュウリ凄いのよ!何もつけていないのに程よい塩気と心地いい歯ごたえが最高なの!」


 リアス部長はそう言いながらキュウリにかじりつきました。確かにカリカリと気持ちのいい音が聞こえますね。


「リアス部長、私にも……」
「はいはい、今分けてあげるからね」


 涎を垂らす私とイッセー先輩を見てリアス部長はキュウリを分けてくれました。


「うおっ!?まるでスナックを齧ったみたいな触感だ!」
「それに味も濃厚です!キュウリってあっさりとした味わいだと思っていましたが、このキュウリは何もつけなくても十分に美味しいです!」


 こんな新鮮なキュウリを食べたらリアス部長のように艶やかな肌になるのも当然ですね。


「イッセー君!この茄子凄く美味しいよ!実がぎっしりとしていて齧るとウインナーみたいに果汁が溢れてくるんだ!」
「このニンニクも信じられないくらい美味しいです!僕はハーフとはいえ吸血鬼だから本来ニンニクは弱点なんですが食べても何ともないんですよ!しかも実はホクホクで美味しいです!」


 祐斗先輩とギャー君は興奮した様子でそれぞれ野菜を持ってきました。特にギャー君は嫌いだったニンニクを美味しそうに食べていてビックリしました。


「おおっ!祐斗が持っているのは『ウインナース』じゃないか!ギャスパーは『ミルクニンニク』か!そいつは普通のニンニクと違って匂いも出ないし尚且つ栄養も満点のニンニクだ!」
「イッセー君と小猫ちゃんも食べてみなよ!凄く美味しいんだ!」
「祐斗先輩がそんなにも興奮するほどの野菜……是非食べてみたいです」


 私は祐斗先輩からウインナースを受け取って一口食べてみました。おおっ……!茹でたウインナーみたいにパリッとした触感にジューシィな果肉とお汁が口いっぱいに広がっていきます。


「では次はミルクニンニクを……」
「はい、どうぞ。小猫ちゃん」


 ギャー君からミルクニンニクを受け取って齧ってみます……んっ、これも美味しいですね。生のニンニクは刺激が強くて胃を痛めてしまう事もあるみたいですが、このミルクニンニクは優しい味わいです。焼いていないけどホクホクする実が癖になっちゃいそうですね。


「どの野菜も美味しいわね。まだまだ食べられそうだわ」
「イッセー君!こっちに来てみてよ!面白いカボチャがあるよ!」
「本当か?よし、行ってみようぜ」
「はい!」


 リアス部長がウインナースとミルクニンニクを食べ終えると今度はイリナさんが私達を呼んできました。私達はイリナさんの元に行くと、そこには小さなカボチャが沢山ありました。


「見て見てイッセー君!このカボチャ、柔らかくって美味しいよ!」
「これは『マシュマロカボチャ』か!こんなにたくさん実っているのは初めて見たぜ!」
「すごーい!本当にマシュマロみたいだわ!」
「プニプニしてて何だか可愛いね」
「ギャー君のほっぺみたいだね」
「あう……小猫ちゃんのほっぺもプニプニしてるよ」
「ふふっ、くすぐったいよ」


 イッセー先輩はマシュマロカボチャを見て驚いていました。リアス部長と祐斗先輩はマシュマロカボチャをつついて柔らかさを堪能していました。


 私はギャー君のほっぺをつんつんしてギャー君も私のほっぺをつんつんしてきました。なんだか楽しいです。


「ユンユーン!」
「あはは、嘴で突っつかれたら痛いよ。ユン」


 ユンも軽く私のほっぺをつんつんしてきました。実はそこまで痛くないけどくすぐったいです。


「あはは、二人のほっぺならマシュマロカボチャに負けないくらいに柔らかいだろうな」
「そうですか?先輩のほっぺも柔らかそうですが……えい!」
「おわっ!?」


 私はイッセー先輩にしがみついてほっぺをつんつんしました。ふふっ、イッセー先輩も柔らかいですよ。


「ふふっ、本当に仲が良いのね」
「いいなぁ、僕もイッセー先輩をツンツンしたいですぅ」
「僕はイッセー君にツンツンしてもらいたいかな」
「イッセー君、私のおっぱいの方が柔らかいよ。つんつんする?」


 リアス部長は暖かい目で見守りギャー君は羨ましそうにそう言いました。祐斗先輩は何だかとらえ方によっては危ない感じの発言をしました。あとイリナさん、それは私に対する実践布告ですか?


「まあまあ小猫ちゃん……とにかくマシュマロカボチャを食ってみようぜ」
「あっ、そうでしたね」


 私はイッセー先輩から降りてマシュマロカボチャを手に取ります。そしてパクっと大きな口を開けて食べてみます……ん~♡甘くて美味しいです♡さっき食べたさつまいもとはまた違った甘みが口いっぱいに広がっていきます。まるで濃厚なプリンを食べたみたいですぅ♡


「イッセー!こっちに巨大なブロッコリーがあるぞ!まるで樹みたいだ!」


 ゼノヴィアさんにも呼ばれたので私達はそちらに向かいました。


「どうだ、イッセー!コレは凄いだろう!」
「うおっ!?これは『ブロッコツリー』だ!齧るとサウザンドレッシングがしみだしてくるんだよな」
「早く食べましょう!」


 私達はブロッコツリーに飛び乗ってその実に齧りつきました。これだけ大きなブロッコリーだと群がる私達はまるで虫みたいですね。


「美味しいです!ブロッコリーって青臭くて嫌いな子もいますがこのブロッコツリーは青臭くないです!それどころか濃厚な味わいでいくらでも食べたくなっちゃいます!」
「ああ、それに実から出てくるサウザンドレッシングもまた格別だな!」
「顔がベタベタになっちゃうけど止められないね」


 イッセー先輩とゼノヴィアさん、祐斗先輩も夢中になって食べ続けていきます。リアス部長やギャー君も黙々と食べていきあっという間にブロッコツリーは剥げてしまいました。


「ふう、ご馳走様だな」
「顔中サウザンドレッシング塗れになっちゃいましたね」
「顔をふくから動くなよ、二人とも」


 イッセー先輩が私とゼノヴィアさんの顔をハンカチで拭いてくれました。


「ふふっ、ありがとうございます。イッセー先輩」
「何だか恥ずかしいな……」
「イッセー君!私も私もー!」


 私達はイッセー先輩にお礼を言いましたがゼノヴィアさんは恥ずかしそうでした。順番待ちをしていたイリナさんは相変わらず煩かったです。


 因みに祐斗先輩とギャー君はリアス部長がお母さんのように顔を拭いていました。


 それから私達は他の野菜を求めて歩き回っています。


「あら、イッセー君、色んな野菜を堪能しているみたいですわね」
「朱乃さん、ここにいたんですか」


 朱乃先輩と合流しました。でも野菜じゃなくて黄金色の棒のようなモノを食べています。アレはなんでしょうか?


「朱乃さんは何を食べているんですか?」
「フライドポテトですわ。揚げたてで凄く美味しいんですの」
「フライドポテト?調理したんですか?」


 イッセー先輩の質問に朱乃先輩はフライされたポテトを見せてくれました。調理器具を魔法で出せるとはいえ揚げ物をするとは……


「違いますよ、小猫ちゃん。そこに『ポテトの泉』があるんですの」


 朱乃先輩が指を刺した方にはなんとフライドポテトがいっぱい詰まった泉がありました。こんがりときつね色に揚げられたポテトは実に香ばしい匂いがしますね。


「うはー!?これ全部フライドポテトなのかよ!?」
「早く食べましょうよ、イッセー先輩!」
「おっしゃー!すくってやるぜー!」


 イッセー先輩は大きな葉でポテトをすくい上げました。こんがりと香ばしい匂いが堪りませんね。私達は熱々のポテトを食べていきます……んー♡サックサクで美味しい♡天然の塩が効いているのでそのままでもどんどん食べれちゃいます。


「揚げたてのポテトってどうしてこうも美味いんだろうな!マジで手が止まらなくなっちまうぜ!」
「サクサクで天然の塩味が効いてて美味しいです!」


 揚げたてってそれだけでもう美味しいですよね。濃厚なポテトの味とサクサクっとした触感が合わさって絶品です。


「うふふ、良かったらマヨネーズとケチャップもいかがかしら?」
「うわぁ!朱乃先輩、ありがとうございます!」


 朱乃先輩から調味料を貰ってポテトに付けて食べてみます……あぁ、ヤバイです。こんなに美味しいポテトに調味料も付けてしまったらもう手が止まりません。


「ハンバーガーショップのポテトは揚げたてが一番よねー。ついつい食べ過ぎちゃうのが玉にキズだけど」
「あはは、分かります。僕もハンバーガーそっちのけでポテトばっかり食べちゃうんですよね」
「わたくしはポテトも好きですがナゲットの方が好きですわね」
「あー、ナゲットも良いわねー。ここには無いのが残念だわ」


 リアス部長と祐斗先輩と朱乃先輩は何気ない会話を楽しんでいました。でも朱乃先輩と祐斗先輩はあれだけ山盛りになっていたポテトの山をお喋りしながらもあっという間に食べてしまったので流石はグルメ細胞の持ち主なだけの事はありますね。私も負けていられません。


「師匠!こっちに大きな『カモネギ』がありますよ!」
「本当か!?今行くぜ!」
「あっ、イッセー!こっちに凄く甘い『ネオトマト』があったわよ!」
「マジか!?くそっ、どっちから行くべきか……」


 ルフェイさんとティナさんに呼ばれてどっちに行こうか迷ってしまいます。


「まだまだ目移りしそうな野菜がいっぱいありますわね」
「こうなったらとことんまで食べてやろうじゃないの!」
『おおー――――ッ!』


 朱乃先輩とリアス部長の言葉に私達は手を上げて同意しました。


「美味いぜ、カモネギ!ねぎの触感と鴨肉のような脂が最高だな!」
「このネオトマト、ココさんに貰った物も美味しかったですがこっちは糖度が凄いです!まるでフルーツみたいです!」


 その後もキャベツやピーマン、トウモロコシやジャガイモ、玉ねぎやニンジンなど沢山の野菜たちを心行くまで堪能しました。


「ぷはー、食った食った!」


 イッセー先輩はお腹を撫でながらそう言いました。私達もかなりの野菜を食べてお腹がパンパンです。でも苦しくはないんですよね、何故でしょうか?


「野菜で満足するなんて思ってもいなかったわね」
「ええ、あのへるスィ~で食べた野菜すらもかすんでしまう程美味しかったですわ」


 リアス部長と朱乃先輩も満足そうにしています。でもオゾン草は見当たらなかったような……?


「イッセー先輩、オゾン草の事なんですが……!?」


 イッセー先輩にオゾン草の事を聞こうとしたその時でした。急にお腹がギュルルと鳴って……えっと、その……お花を摘みに行きたくなってしまいました。


「な、何が起きたの……!?」
「お腹から凄い音が鳴っていますぅ!」


 イリナさんとアーシア先輩はお腹から大きな音が出た事に驚いていました。というか全員が驚いているというか顔を青くしていました。


「イッセー君……僕、今凄く行きたい場所があるんだけど……」
「俺もだ……!」
「で、でもどうしてもうアレがしたくなっちゃったんですか!?まだ食べてから少ししか時間が立っていないのに……」
 

 祐斗先輩にしては珍しく焦った様子でそう言いイッセー先輩も首を縦に振りました。ギャー君はアレがしたくなったことに驚いていますが確かにアレがしたくなるには早すぎます。


「消化が早すぎるんだ。普通なら考えられないがここの野菜は味は勿論の事、ミネラルにビタミン、食物繊維、そして低脂肪……栄養価が高すぎて体が負担を感じないほどスムーズに消化を終えてしまったんだ」


 イッセー先輩の説明に私達は驚きました。まさか消化までもが凄い野菜だとは……アイスヘルなどの長旅では魔法でアレを遅らせる事もできましたが、ここまで消化が早いともう魔法ではどうにもなりません!


「ど、どうするのよ!イッセー!」
「どうするって……生理現象なんだから出すしかないでしょう」
「こんなところにトイレがあるの!?」
「無いです……外でするしか……」
「嘘でしょう!?」


 リアス部長の叫びに女性陣がより青く顔を染めていました。そりゃそうですよ、うら若き乙女が外で〇〇〇しろだなんて無理です!


「でもトイレなんて用意できませんよ!俺達男陣は向こうに行きますから女性陣はあっちに行ってください!」
「イ、イッセー君……!僕もう……!」
「で、出ちゃいますぅ……!」
「マズイ!?ビジュアル的に祐斗とギャスパーが粗相をするのはマズイぞ!」


 イッセー先輩はそう言うと祐斗先輩とギャー君を連れて行ってしまいました。


「リアス、どうしますの……」
「せ、背に腹は代えられないわ……はぅぅ……!?」


 リアス部長は限界が来たのかお腹を押さえていました。私達は泣く泣く外で〇〇〇をすることになりました……うぅ、恥ずかしいよぅ……




―――――――――

――――――

―――



「うぅ……貴族なのに外で〇〇〇しちゃった……」
「リアス、下品ですわよ……」


 お通夜ムードになってしまった私達、無理もありません。女の子が外で〇〇〇したら誰だってこうなりますよ……


「でも最近便秘気味だったから助かったわ……」
「実はわたくしも……」
「私もよ。お互い苦労するわね……」


 リアス部長、朱乃先輩、ティナさんは恥ずかしそうにそう言いました。


「まあしてしまったものは仕方が無いだろう。気を取り直してオゾン草を探そうとしようじゃないか。まずはイッセー達と合流しよう」
「ゼノヴィアのそういう所は羨ましいわね。今イッセー君に会うの凄く恥ずかしいのに……」


 イリナさんの気持ちは凄く分かります。私だって今イッセー先輩に会うのは恥ずかしいです。


「み、皆さん!」


 すると何やら慌てた様子のアーシア先輩がこちらに走ってきました。


「どうしたんですか、アーシア先輩?」
「実は向こうに大きな葉の植物を見つけたんです」
「大きな葉の?それって……」
「オゾン草かもしれないわね」


 私はアーシア先輩に何があったのか確認すると彼女は向こうで大きな葉の植物を発見したと言いました。それを聞いたティナさんとリアス部長はオゾン草かもしれないと言います。


「小猫、急いでイッセー達を呼んできて頂戴」
「分かりました!」


 私は急いでイッセー先輩を呼びに行きました。正直恥ずかしかったんですけどオゾン草のほうが気になるので我慢しました。


 そしてイッセー先輩達を読んだ後、アーシア先輩が案内してくれた場所に行くと巨大な葉で包まれた植物がありました。


(これは……!)


 植物を見た瞬間、私は何の確証もないのですがそれがオゾン草だと分かりました。


「何て巨大な葉を持った植物なの!?」
「パッと見たら大きなキャベツみたいね」


 リアス部長は植物の大きさに驚いておりイリナさんは見た目の印象がキャベツみたいだと言いました。恐らくオゾン草は葉が重なっている包被タイプの野菜なんでしょう。


「よし、早速近づいてみるか!」


 イッセー先輩はそう言ってオゾン草に向かってジャンプしました。


「うおっ!?」
「イッセー、どうしたの!?」


 するとイッセー先輩の驚いた声が聞こえました。リアス部長が声をかけますがイッセー先輩は鼻を抑えていました。


「大丈夫だ!強い刺激臭がしたから驚いただけさ」


 刺激臭がしたのですか。私も多少は鼻が利きますので殺虫剤のような匂いを感じ取りました。先輩はその何十倍も嗅覚が優れているので叫ぶほど驚いたのでしょう。


 私達も下に降りてオゾン草に近づくと他のメンバーも殺虫剤のような匂いにウッと反応していました。


「凄い匂いね……」
「鼻が曲がりそうですぅ……」
「うぅ……」



 イリナさんとルフェイさんも鼻をつまんでいました。ギャー君なんて涙が出ているくらいです。


「オゾン草なんて言うくらいだから太陽に含まれている紫外線などの有害な物質も含まれているのかもしれないな」
「悪魔のわたくし達が食べても大丈夫なのでしょうか?」
「元吸血鬼である僕なんて食べたら消えちゃうんじゃ……」
「恐らく有害なのは外側の葉だけですよ。この葉が守っている中心に栄養だけを得た部分があるはず。それがオゾン草だと思います」


 悪魔は太陽が苦手なので朱乃先輩が心配そうに言いました。特に元吸血鬼だったギャー君はオゾン草を見て震えてしまったのでイッセー先輩がフォローしました。


「よし、早速この葉を剥いでいくとするか。皆は一応離れていてくれ、もしかしたら有害な物質を出すかもしれないからな」
「分かりました。お願いしますね、師匠」


 イッセー先輩は一応危険な物質が出るかもしれないと言って私達を離れた場所に向かわせました。そして先輩は一枚の葉を手に取って剥がそうとします。


「おっ、意外と固いな。でもこの程度なら問題ないぜ」


 先輩はそう言って更に力を入れました。でもその時でした、オゾン草が嫌がっているように聞こえたんです。


「イッセー先輩、少し待って……!」
「おりゃあっ!」


 私は嫌な予感がしたので先輩を止めようとしましたが遅かったようです。先輩は勢いよく葉を剥がしましたが……


「なっ……!?」


 葉を剥がした瞬間オゾン草から凄い刺激臭がしたと同時に葉が腐っていきました。そしてあっという間にすべての葉が腐ってしまいとても食べられる状態ではなくなってしまいました。


「何が起きたんだ!オゾン草が腐ってしまったぞ!」
「イッセー君!大丈夫かい!?」


 オゾン草が腐ってしまった事にゼノヴィアさんは驚き、祐斗先輩はイッセー先輩の安否を確認します。



「俺は大丈夫だ。でもオゾン草は腐っちまった」
「葉を剥がしたら駄目なタイプなのかしら?」
「分からない、何か手順があるのかもしれないな」


 イッセー先輩は平気そうで良かったです。ティナさんは剥がしたら駄目なのかと言いますがまだ情報が足りません。


「……」
「小猫ちゃん?」


 私は腐ってしまったオゾン草を見てある事を思い出しました。


「先輩、私オゾン草を見てある事を思ったんです」
「ある事?」
「はい。私は今節乃さんや黒歌姉さまに料理の修行をしてもらっていますが、その際に沢山の食材の調理や仕込みに失敗しました」
「ああ、食材の中には決まった事をしないと毒が出たり腐ってしまうモノもあるからな。もしかして……」
「はい、オゾン草からも同じ感覚を感じたんです。間違いなくオゾン草は特殊調理食材だと思います」


 私はかつてココさんに協力してもらいフグ鯨をさばいたことがあったのですが、今思うとフグ鯨は人見知りする繊細な食材だったというのが分かります。


「お客や料理人に対して人見知りしてしまう繊細な食材……それが特殊調理食材の特徴だと私は思うんです」
「小猫ちゃんにはそれが分かるのか?」
「はい。先輩がオゾン草の葉を掴んで剥がそうとしたとき、オゾン草が先輩を拒絶したように感じたんです。そうしたらオゾン草は腐ってしまいました」


 オゾン草は私達を凄く警戒していると思います。まずはオゾン草に向き合って声に耳を傾けていくべきだと皆に言いました。


「小猫、貴方いつの間にそんなことが出来るようになったの?」
「節乃さんの元で修行している内に何となくですが分かるようになってきたんです。あくまでもおぼろげですし絶対に分かるって訳でもないのですが……」
「……」


 私とリアス部長のの話を聞いていたイッセー先輩がジッと私の顔を見ていました。


「先輩、どうかしましたか?」
「……いや、何でもないよ」


 私は先輩の行動に首を傾げましたが今はオゾン草の事を知るために新たなオゾン草を探しに向かいました。


(……間違いない、小猫ちゃんは自らが持っていた才能を開花させ始めているんだ。G×Gでの冒険や多くの食材を食べ、グルメ細胞にも目覚め節乃お婆ちゃんという超一流の料理人に教えを受けた事で急速に進化していってるのか……凄い子だ)


 その後辺りを探索すると沢山のオゾン草を発見することが出来ました。


「皆さん、ここは私に任せてくれませんか?今のままだと悪戯にオゾン草を腐らせてしまいます。なのでまず私がオゾン草を調べたいんです」
「なら俺も協力させてくれ。俺の嗅覚が役に立つはずだ」
「ならこの場は二人に任せるわね」


 私はイッセー先輩と共にオゾン草の捕獲方法を探ることにしました。


「先輩、まず匂いを嗅いでもらっても良いですか?もしかしたら何かわかるかもしれません」
「よし、集中して嗅いでみるぞ」


 イッセー先輩はオゾン草の周囲を周りながら匂いを嗅いでいきました。


「どうですか、先輩?」
「駄目だ、どこを嗅いでも強い刺激臭しかしない……」
「そうですか……」


 涙目でそう答える先輩に私は匂いは関係ないのかなと考えました。


「小猫ちゃんはどうだ?何かオゾン草が語り掛けてきたか?」
「……いえ、特には」


 あれからオゾン草の声を聞こうとしているのですが何も分かりません。


「そうか……なら手探りで答えを見つけるしかないな」
「そうですね、頑張りましょう!」


 私達は色々な考えを話し合い実際に試していきました。しかしオゾン草は腐ってしまい中々上手くいきません。


「くそっ、色々試したが全部腐ってしまった!」
「葉緑素の多い部分でもない、葉の大きさや色でもない、全く法則がつかめませんね」
「ああ、まだ数はあるとはいえこれ以上腐らせるのはマズイ。どうしたものか……」


 私と先輩は途方に暮れてしまいました。一体どうしたらオゾン草の警戒を解くことが出来るのでしょうか……


「先輩、次は……あれ?」


 私は先輩に声をかけようとしましたが、一瞬オゾン草の警戒が緩んだ気がしました。どうしてだろうと思い辺りを見渡してみると、先輩が掴んでいる葉と私が掴んでいる葉が気になりました。


(もしかして……)


 その時でした、私の頭の中にある考えがよぎったんです。


「イッセー先輩、ちょっといいですか?」
「ん?どうしたんだ」
「先輩が今掴んでいる葉と私が掴んでいる葉を同時に引っ張ってもらっても良いですか?」
「えっ……?」
「せーので行きますよ!……せーの……!」
「ちょ、おいっ!?」


 私と先輩は一緒に葉を引っ張りました、すると全く抵抗なく葉を剥がす事に成功しました。


「く、腐らない!?」
「やはりそうです!二枚同時なんです!オゾン草は葉を二枚同時に引っ張れば腐らないんですよ!」


 オゾン草が腐らなかったことで私の考えは正しかったと証明されました。


「でもどうしてソレに気が付いたんだ?」
「私とイッセー先輩が同時に葉を掴んでいた時、少しだけオゾン草の警戒が緩んだ気がしたんです」
「食材の声が聞こえたってわけか!でかしたぜ小猫ちゃん!そうと分かれば一気に葉を剥いでいくぞ!」
「はい!」


 それから私達は更に葉を剥いでいきました。ただやはりオゾン草は手ごわかったです、全くの同時じゃないと腐ってしまうし、ランダムに剥いでも良い訳ではないようで見極めるのが大変でした。


 何度も失敗を繰り返してしまいましたが、等々残り二枚の葉まで行くことが出来ました。


「はぁ……はぁ……漸くここまで来ることが出来たな」
「はい、後二枚の葉を残すだけです。この中に……」
「オゾン草がある……!」


 私とイッセー先輩は最後の葉を二人で掴みました。


「……ありがとうな、小猫ちゃん。君がいなければオゾン草は捕獲できなかった」
「そんな、イッセー先輩のお蔭ですよ」
「いや、間違いなく小猫ちゃんのお蔭だ。初めてG×Gに来た時とは比べられないくらいに成長した。本当に……」
「……先輩?」


 先輩の様子がおかしいので私は声をかけました。


「……いや、何でもない。さあ最後の葉を剥いでしまおうぜ」
「あっ、はい!」


 私達は同時に葉を剝きました。するとその中から輝く実が出てきました。実は丸まっていましたが、直ぐにピーンと立ち上がりその動きで大量の水しぶきが出ました。


「凄い!少し動いただけでなんて水しぶきだ!」
「見ているだけで分かる程の瑞々しさ!これがオゾン草なんですね!」


 私達は現れたオゾン草を見つめます。その実はとても肉厚で葉脈が光って脈を打っていました。生命に溢れたその姿はとても生き生きとしています。


「すぅ……はぁー……外側の葉は刺激臭が凄かったがこいつは食欲をそそる新鮮な食物の匂いがするぜ。匂いを嗅いでいるだけで腹が減ってきちまった!」
「皆には悪いですけど先に頂いてしまいましょう!」
「ならまずは小猫ちゃんが先に食ってくれ。オゾン草を捕獲できたのは小猫ちゃんのお蔭だからな」
「いいんですか?なら遠慮なく頂きますね」


 もう辛抱堪りません!早くオゾン草を食べたかった私はあーんと口を開けてオゾン草に齧りつきました。でも……


「……んっ!?」
「なっ!?オゾン草が腐った!?」


 私が齧った瞬間オゾン草は腐ってしまいました、その味はとても食べられるものではありませんでしたので直ぐに吐き出してしまいました。


「げほっ!?げほっ……!」
「大丈夫か、小猫ちゃん!」
「はい、大丈夫です……でもどうして……」
「……まさか食べる時も二か所同時じゃないと駄目なのか?」
「えぇ……」


 どれだけコンビプレイが好きな食材なんですか……


「じゃあまたオゾン草の葉を剥がすところからやり直しですか?直前だったからお預け感が半端じゃないです……」
「まあまあ……それに今度はもっと早く行けると思う。小猫ちゃんのお蔭で俺もオゾン草の生態が分かってきたんだ」


 がっかりする私にイッセー先輩はそう言いました。


「オゾン草の生態ですか?」
「ああ、オゾン草の葉は一番強い刺激臭がする葉から順に二枚同時に剝いでいけばいいんだ。最初は全く気が付かなかったが小猫ちゃんのお蔭でその法則が分かったんだ」
「そうだったんですか……」
「ああ、だがその匂いの違いも本当に誤差の違いしかない。俺の嗅覚でやっと嗅ぎ分けられるレベルだ。オゾン草……恐らく捕獲レベルは60台はあるだろうな」


 捕獲レベル60台……流石は修行に選ばれるだけの食材なだけはありますね。


「だが法則さえ掴めてしまえば後は作業を繰り返すだけだ。さっさとオゾン草を取り出そうぜ!」
「はい!」


 そして私達は再びオゾン草を取り出す事に成功しました。


「よし、二人同時に齧るぞ!」
「はい!」


 私達はオゾン草に歯を当てて息を整えます。


「よし、行くぞ!せーの……!」


 先輩の掛け声と同時にオゾン草を齧りました。すると今度は腐ることなく新鮮な状態のまま食べることが出来ました。私とイッセー先輩は嬉しくなってお互いを抱きしめます。


「やったぞ小猫ちゃん!」
「はい!漸くオゾン草を食べられました!」


 オゾン草を噛むとカリカリと良い音が鳴ります。その触感はとても強く噛むと葉が跳ね返される程の弾力でした。


 その実にギッシリと詰まった繊維は色んな音を出すのでまるで楽器を演奏している気分です。それと同時に広がるキャベツやレタスのシャキシャキ感、ピーマンの程よい苦み、にんじんのような甘み、レモンの爽快感など様々な旨味が口いっぱいに広がっていきます。


 私は名残惜しみながらもオゾン草を飲み込みました。すると私の体内で何かが弾けたような感覚がすると体の奥底から力が湧いてきました。


「これは……!」


 この感覚はまさかグルメ細胞の壁を越えたと言う事でしょうか?イッセー先輩の方を見て見ると先輩の上半身の服が破れて筋肉が露出していました。


「間違いない!俺のグルメ細胞のレベルが上がった!オゾン草は俺達の壁を超えるための食材だったんだ!」
「まさか一龍さんはこのことを……」
「ああ、知っていたんだろうな。親父……」


 修行の一つにオゾン草を入れたのは環境に適応する術を見に付けさせるためだけでなく、先輩と私のグルメ細胞のレベルを上げるためだったんですね。


「親父……分かったよ。俺、漸く決めれたよ」


 イッセー先輩はポツリとそう呟きました。


「……小猫ちゃん、俺、親父と前に別荘で会った時こんな話をしたんだ」
「えっ?」


 唐突に話し始めた先輩でしたが、私は先輩の話を黙って聞いていました。


「俺は親父からコンビについて聞いたんだ。親父はコンビがいなくてな、凄い食材を捕獲してもそれを調理してくれる人がいないから宝の持ち腐れだって自虐気味に笑っていたのが印象的だった」
「一龍さんが……」
「親父は言っていたよ、良い料理人を見つけたらすぐにコンビを組めって。だからさ、小猫ちゃん。俺とコンビを組んでくれないか?」
「……えっ?」


 私は先輩が何を言っているのか分からずに惚けてしまいました。



「先輩、今なんて言いましたか?」
「俺とコンビを組んでほしいんだ」
「……」


 私はやっぱり意味が分からずに自分の頬を引っ張りました。あっ、痛い……


「夢じゃないんですか?」
「ど、どうしたんだ小猫ちゃん?」
「だってあり得ないですもん。先輩が私をコンビに選ぶなんて……」
「えぇ……」
 


 今もなお頬を引っ張る私にイッセー先輩はガビーンというような表情をしました。


「いやいやいや……夢じゃないから。現実だぞ」
「……だっておかしいじゃないですか。私なんて全然ヒヨッコの料理人だし……先輩だったらもっといい人をコンビに選べるじゃないですか。それこそ黒歌姉さまのような……」
「そうだな。だが俺は君と恋人の関係である事を一斉省いてそう思ったんだ」
「えっ……」


 先輩は私と恋人である関係すら省いてまで私をコンビに選んだと言いました。


「君には黒歌にもない食材の声を聴く力がある。そして料理人としての素質も才能も世界で一番だと思っている。俺達二人ならいつかこの世界で一番のコンビになれるはずだ!それこそアカシアやフローゼのコンビよりも……!」


 先輩は強い眼差しでそう言い切りました。美食神アカシア様と神の料理人とも言われたフローゼ様のコンビを超える……そんなことあり得ないと人は言うでしょう、でも私はそう言われて体が震える程喜びに溢れていました。


「わ、私……思っていたんです。イッセー先輩とコンビを組んでみたいって……でもそんな事はおこがましいって思って諦めようとして……でも、でも……!先輩が私を選んでくれて……すっごく嬉しくて……」
「……そうか」
「本当に……本当に私でいいんですか?」
「ああ、思い立ったら吉日、それ以外は凶日だぜ」



 初めてG×Gの世界に来た時に先輩に教えてもらって言葉……それを聞いた私は遂に決心をすることが出来ました。


「先輩!私……先輩とコンビを組みたいです!」
「ああ!俺達二人で最強のコンビを目指そうぜ!」
「はい……!」


 私と先輩はそう言ってお互いを抱きしめあい唇を重ねました。今はまだまだヒヨッコな私ですけどいつか先輩のコンビだって胸を張って言えるような料理人になってみせます!

 
 

 
後書き
 イッセーだ。俺は小猫ちゃんとコンビを組むことを決意した。小猫ちゃんとなら絶対に最強のコンビになれるって確信がある。これからも小猫ちゃんと、そして皆と一緒に美味なる食材を求めていくぜ!


 次回第77話『さらばベジタブルスカイ!GODの鍵を握る存在、その名はニトロ!』で会おうな。


 ……ってこいつはまさかGTロボ……!?いや、違うのか……? 
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