星河の覇皇
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第七十七部第二章 第二次国境会戦その二十五
「実際にな」
「今回もこうした戦闘になりますね」
「楽な戦闘ではないな」
「まさに生きるか死ぬか」
「そうした戦闘だ、だがな」
「はい、この戦闘も」
「生きて帰るぞ、乗員全員な」
艦長は強い声で言った、そうしてだった。
攻撃命令と共に主砲及び副砲の一斉射撃を行った。サハラの艦艇は装備が前面に集中しているので艦首を正面に向けたまま攻撃を行った。
そうしてティムール軍は手厚い反撃を行いオムダーマン軍の多くの艦艇にダメージを与えるか葬った、しかし。
オムダーマン軍も攻撃を繰り返す、両軍は今回もお互いに一歩も退かない戦闘を続けていっていた。
その戦闘を見ていてだ、エウロパ軍の観戦武官達は話した。
「今回も激しいな」
「全くです」
「予想通りではありますが」
「それでも激しいです」
「それも実に」
「このまま数日と続きそうですね」
「正面からぶつかり合ったまま」
「そうなるな、両軍共見事な攻撃だ」
大佐の階級にある女が言った。
「これはな、そして報告だが」
「はい、戦闘終了後の」
「それはですね」
「本国にいい報告が出来そうだ、プロコフィエフ参謀総長も喜ばれるだろう」
「プロコフィエフ元帥閣下もですか」
「喜ばれますか」
「その様に」
「丁度ご子息を授かったが」
彼女の最初の子だ、それで産休も取っていたのだ。
「今度はな」
「いい報告で、ですね」
「喜んで頂けますね」
「そちらでも」
「そうなる、あの方は要求は高い」
観戦の報告でもというのだ、細かい部分まで観る様に言うし事前の要求もかなりのことをしてくるのだ。
「しかし公平な方だ」
「よい報告をすればですね」
「認めて下さいますね」
「細部まで見ているものなら」
「そしてそこから得られるものがあれば」
「評価して下さる」
認めてというのだ。
「だからだ、卿等もだ」
「はい、我々もですね」
「よい報告を書くことですね」
「観戦の後は検証、そして研究を行い」
「そのうえで」
「そうすることだ、しかし今回も序盤からだな」
まだはじまったばかりだがだった、両軍は激しくぶつかり合っている。ビームの激しい応酬から今度はミサイル攻撃に移ろうとしていた。
「全力で攻撃し合っているな」
「多くの艦艇が沈んでいますね」
「開戦してまだ一時間も経っていませんが」
「それでもです」
「損害はかなりに達しています」
「また両軍共七割を超える損害を出すか」
大佐はその目を鋭くさせた、見れば鳶色のエウロパでもよくある目の色だ。
「そうなるか」
「そうなるかも知れないですね」
「このままですと」
「この状況で数日戦闘が続くと」
「やはり」
「そうなるかもな、しかし沈む艦が多いな」
撃沈、そうなる艦艇がというのだ。
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