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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その二十四

「是非な」
「わかりました、それでは」
「明日は観戦だ」
「下手をすれば数日はですね」
「そうなる、そして観戦の後はな」
 大尉はそこから先のことも話した、戦場の観戦はこれで終わるものではないのだ。
「論文も書かないといけない」
「観戦した戦争の」
「そして観戦武官間で研究会を行いな」
「研究の結果のレポートもですね」
「行わないといけない」
「いつも通りですね」
「そうだ、まさにな」
「いつも通りに」
 少尉はあえてこの言葉を繰り返した、連合の観戦武官達は常にこうしたことをしているのだ。これは各国軍も同じだ。
「書く必要がありますね」
「論文もレポートもな」
「そして国防省に提出ですね」
「観戦の後はな」
「まさにいつも通りですね、しかし」
 ここで少尉はシニカルに笑いこうも言った、見ればこの少尉も大尉もアジア系の顔で彫はかなり浅いし髪の毛も目も黒い。
「軍人になった時はここまで論文やレポートを書くとは」
「研究等をしてな」
「思いませんでした」
「士官になるとな」
「はい、何かとです」
 まさにというのだ。
「我々は書いていますが」
「それはな、士官になればな」
「当然のことですね」
「軍人はプロフェッショナルでだ」
「それぞれの専門職の」
「そしてだ、士官はだ」
「学者でもありますか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「軍事という分野のな」
「だからですか」
「論文やレポートを書くことも多いのだ」
「研究をしてですね」
「そうだ、学者でもあるからな」
 だからこそというのだ。
「そうしたことも多い」
「そういうことですか」
「もうそれはだ」
「士官ならですね」
「当然のことだ、君も大学を出ているな」
「タイのバンコクの士官学校を出ています」
 少尉ははっきりと答えた。
「そして今に至ります」
「私は一般大学だがカナダの大学でな」
「そこを出られてでしたね」
「入隊したがな」
「大学を出ているのなら」
「当然ということだろう」
「大学というと」
 少尉は彼がいたそのバンコク星系の士官学校のことから述べた、この時代はどの軍隊も士官学校は一つではなく幾つでもあるのだ。
「論文を書きます」
「そうだな、ならだ」
「大学を出ているならですね」
「論文を書くのは当然だ」
「その考えからですか」
「論文を書かせられるのだ」
 軍隊に入隊してもというのだ。
「連合でも大学を出れば大抵士官になる」
「ほぼ無条件で」
「一般幹部なり技術幹部の試験を受けさせられてな」
 この大尉にしろそうだ、そうして連合軍に入隊している。 
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