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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その二十三

「そう思った、そう考えないとだ」
「こうした流れはですね」
「考えられない、この前まで何十もの国に分かれていたというのに」
 そうした状況だったサハラがというのだ。
「今統一しようとしている、そうなるとは人間では想像出来るか」
「そう言われますと」
「そう思うとな」
「歴史はですか」
「神が作っているのだ」
「人間を使って」
「そうなのだろう、もっともだ」
 大尉は少尉にこうも話した。
「一つ大事なことがある」
「人間の力と意志ですね」
 少尉も大尉に強い声で返した。
「それですね」
「そうだ、人間はそれぞれ意志がありだ」
「力もですね」
「ある、その二つで必死に動いている」
 神は意識していても神とは別にだ。
「そうして戦ってそしてだ」
「歴史を紡いでいくのですね」
「そうしている、もっともイスラムの様な極めて強い運命論だとな」
 この世の全てがアッラーが司っていて人それぞれの人生までもがアッラーが既に決めていると考えるならというのだ。
「その人間もだ」
「人間が意識せずとも」
「神が動かしている」
「そうなりますね」
「そうなる、だからだ」
「力と意志で動いていても」
「神の考えの中にある、しかしな」
「その力と意志はですね」
 この二つはとだ、少尉はまた言った。
「神が使っていようとも」
「運命の中にあろうともな」
「全力を果たしますね」
「そうするものだ、予定説でもそうだな」
 大尉は今度はキリスト教プロテスタントの一派であるカルヴァン派の考えを述べた、そもそも予定説はこの派のものが有名だ。
「人の運命は既に神が決めているが」
「その運命をですね」
「人は全力で歩くべきだ」
「その天職をですね」
「そうだ、軍人ならばな」
「軍人としてですね」
「全力を尽くすことだ」
 己のそれを己の仕事の中でというのだ。
「運命の中でな、そもそも人は運命を知ることが出来るか」
「それはですね」
「出来るものではない、運命を知るのはだ」
「神々だけですね」
「どの宗教でもな、そして神もまた常に考えている」
 人の運命を司るこの存在もというのだ。
「歴史をどうするか、ならばな」
「運命も変わる」
「そうかも知れない、運命は変えられるともいう」
「予定説は予定説で」
「そもそも人は自分の運命を知ることが出来ないならな」
「その一生の全力を尽くすべきですね」
「怠惰にならずにな」
 どうせ自分の運命は決まっている、ならば何をしても無駄であるという様な考えは持たずにというのだ。
「己の一生で全力を尽くす」
「そうすべきですか」
「例え神が歴史という単位で考えていてもな」
 人の運命、それをというのだ。
「そうあるべきだろう」
「我々もですね」
「そうなる、ではな」
「はい、我々はですね」
「観るものを観ていこう」
 観戦、それを行おうというのだ。 
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