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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その十三

「最後の最後の選択肢としてな」
「勝利の為の」
「まさにその為の、ですね」
「最後の最後の手段ですね」
「戦争に勝つ為には」
「戦争に勝つ為には手段を選ばないというが」
 アッディーンはまた言った。
「そうした消耗戦を相手に向けることもだ」
「それもありますね」
「そうしてでも勝たねばなりませんね」
「戦争で勝とうと思えば」
「それでもですね」
「そうだ、私は経験はないが」
 それでもというのだ。
「戦争では負けていい、負けねばならない戦争もあるな」
「政治的にですね」
「国益を手に入れる為に」
「途中の戦場で負ける場合もあれば」
「戦争自体でもですね」
「負けていい場合もある」
 そして負けねばならない場合もというのだ。
「国益を求めるならばな」
「あえて敗れてですね」
「そこから国益を得る」
「そうした場合は戦争で敗れて政治で得る」
「そうなりますね」
「しかし今の様な状況ではだ」
 統一が政治的な至上命題であり国益になるのならというのだ、戦争での勝敗は結局のところ国益を求めるものだからだ。
「どうなるか」
「それはですね」
「最早自明の理ですね」
「勝つしかありません」
「まさに」
「それしかありませんね」
「そうだ、そして勝利の為ならばだ」
 まさにというのだ。
「やはりな」
「国力を使った消耗戦も有り得ますね」
「それしかない状況なら」
「最早」
「それを使うしかありませんね」
「そういうことだ、この戦争の仕方は国力を大きく疲弊させる」
 その国力を総動員して戦うのだ、そうなるのは当然のことだ。
「統一した後は復興も必要となる」
「オムダーマンもティムールも疲弊しますので」
「結果としてサハラ全体が疲弊しますね」
「しかし疲弊しても」
「それでもですね」
「勝利、統一を手に入れる為なら」
「それも採る」
 あえてというのだ。
「政治の手段としてな」
「戦争が政治であるなら」
「政治の一手段であるなら」
「それならですね」
「その政治手段を採る」
「あえてですね」
「そうする、あとバグダートのことだが」
 ここでアッディーンは話題を変えた、戦争を中心に政治を語るのではなく政治自体を語るのだった。
「国防省のヒオナサール=オタニシャーンの収賄事件だが」
「はい、その件ですね」
「今は疑惑ですね」
「内密に国防省が調査するとです」
「事実である様です」 
 幕僚達が暗い顔でその事件の話をした。
「どうにも」
「間違いないとのことです」
「そうか、ではだ」
 アッディーンはそう聞いて言った。 
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