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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その十二

「勝利か敗北かでだ」
「統一を掴むかですね」
「滅亡するか」
「二つのうちどちらかですね」
「どちらかしかありませんね」
「そして私が掴むのはだ」
 それは何かというと。
「勝利だ、ならばだ」
「あの艦を投入出来なくてもですね」
「それでもですね」
「勝つのですね」
「それを目指しますね」
「そうだ、最悪国力を使った消耗戦になる」 
 アッディーンはこの可能性も考慮の中に入れていた、戦争をするうえでどうしても勝たねばならないならとだ。
「そうした場合はな」
「もうですね」
「割り切ってですね」
「徹底した消耗戦を挑む」
「そして国力で押し切る」
「そうしますか」
「我々の方が国力が上だ」
 オムダーマンの方がというのだ。
「ティムールを三十五とすれば我々は六十五だ」
「二倍近いですね」
「ではその二倍近い国力を使ってですね」
「押し切る」
「そうしますね」
「それでかなりの損害が出てもだ」
 軍だけでなくオムダーマンひいては統一するサハラ自体にというのだ、この場合国土の荒廃も視野に入れている。
「それでもだ」
「押し切りますね」
「そうしてですね」
「勝ちますね」
「そのことを目指しますね」
「そうだ、二倍以上の国力で押し切るとなると」
 その場合はというと。
「やはりな」
「どうしてもですね」
「いささか無理がありますね」
「この場合は三倍あるのが普通です」
「国力で押し切るなら」
「そうした場合は最初からだ」
 相手と比べて三倍の国力があるならというのだ。
「多くの国はそうしてきているな」
「歴史を紐解けば」
「その国力の有利を使っていますね」
「そうして戦っていますね」
「大国は」
「ギリシアに対するペルシアもそうだった」
 アケメネス朝ペルシアだ、この時代のペルシアはオリエント世界を統一しギリシアという地域を圧倒していた。
「圧倒的な国力でギリシアの諸都市を飲み込もうとしたな」
「それは彼等の奮闘で適いませんでしたが」
「それでもでしたね」
「確かに国力で戦っていましたね」
「圧倒的な規模の軍隊を送り込みました」
「陸も海も」
「あの様に戦う」
 圧倒的な、三倍程の国力があればというのだ。
「三倍以上あればな、だが」
「今の我々もですね」
「最後の手段としてですね」
「国力で押し切ることもですね」
「有り得ますね」
「そうだ、そうしてでもだ」
 まさにというのだ。
「勝つ、もっと言えばだ」
「勝たねばなりませんね」
「例えそうした戦いになろうとも」
「圧倒的でなくとも国力が相手より高ければ」
「国力を使うべきですね」
「そうなる、だから私はこの場合も考えている」
 アッディーンは強い声で言った。 
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