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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その十四

「断を下す、オタニシャーン係長はだ」
「収賄の罪で、ですね」
「確かな証拠が出ているな」
 ここでさらに言った。
「私がそれを見る、そしてだ」
「確かめられたうえで」
「断を下す、前からあの人物には悪評が多い」
 オタニシャーンという人物にはというのだ。
「収賄やパワハラ、責任転嫁に隠蔽とな」
「収賄も何十件と疑惑があり」
「部下に不始末を押し付けることも平然とするそうです」
「とかく国防省でも評判が悪いです」
「サラーフにいましたが」
 元はというのだ。
「ナベツーラ一派に媚び諂い私腹を肥やしていたとか」
「事実はあの混乱の中で揉み消していますが」
 オムダーマンとの戦いと併合のその中でだ、オタニシャーンは自身の悪事をそうした混乱の中で揉み消して平然とオムダーマン国防省に入ったのだ。
「あの頃からです」
「色々評判が悪い男です」
「サラーフ出身者からの評判は最悪です」
「弱いものいじめを好み権力者には媚びる」
「そしてとかく私腹を肥やす」
「そうした人物として」
「腐った林檎だな」
 アッディーンはここでオタニシャーンをこう評した。
「ならばな」
「はい、腐った林檎をですね」
「閣下ご自身が確かめられ」
「そしてですね」
「そのうえで」
「処断を下す、一件でも真実ならば」 
 彼の疑惑のそれがだ。
「その時点でだ」
「即座にですね」
「処罰されますね」
「懲戒免職、そして裁判にかける」
「そうしますか」
「腐った林檎は置いておくと危険だ」
 アッディーンはこうも言った。
「箱の中にあれば他の林檎も腐らせる」
「特にああした輩はですね」
「害毒を撒き散らします」
「弱いものいじめや責任転嫁も繰り返します」
「そして上に媚びり腐らせるからですね」
「一刻も早く箱から出してだ」
 そうしてというのだ。
「捨てる」
「そうしますね」
「ではですね」
「オタニシャーンは今からですね」
「事実を確かめますか」
「軍の指揮もあるが」
 それでもというのだ。
「今はまだ余裕がある、だからな」
「今のうちにですね」
「事実を確かめられますね」
「そして処断を行う」
「そうされますね」
「今からな」
 こう言って実際にだった、アッディーンはそのオタニシャーンの収賄についての報告書を見た。それは確かに事実としか思えないものであり。
 彼を懲戒免職とした、そしてその日にだった。
 バグダート国防省から小柄で丸い顔と唇を持ちやけに目付きの悪い一見すると官僚ではなくチンピラの様な男が手錠をかけられて追い出されていた、そのオタニシャーンを見てだった。
 国防省の者達はほっとしてだ、こう言っていた。
「やれやれだ」
「やっと捕まったな」
「これであいつも終わりだな」
「後は裁判にかけられて刑務所送りだ」
 収賄等の罪でというのだ。 
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