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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~

作者:黒井福
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G編
  第67話:始まりの騒動

 
前書き
どうも、黒井です。

今回よりG編が始まります。 

 
 分かって……分かってくれ、颯人。

 アタシはお前が好きだ。大好きだ。これから先も、ずっと一緒に居たい。

 お前を失いたくないんだ。

 だから…………アタシはお前を倒すよ。もうお前を戦わせない。お前を失う事にならないように…………。

 愛してるよ…………颯人










***










 その日、雨の中を貨物列車が走っていた。行先は岩国の米軍基地。その積み荷は、先日の一件で押収された完全聖遺物・ソロモンの杖だ。

 フィーネ亡き今、本来であれば大規模な襲撃は無いだろうと思われていた。あるとしても、それは通常兵器でも辛うじて対抗できる魔法使いが相手だろうと言うのが当初の予想だった。

 しかし…………その予想は大きく外れた。

 驚くべき程の数のノイズの襲撃。米兵は必死になって迎撃するが、魔法でもシンフォギアでもないただの米兵の攻撃ではとてもではないがノイズの相手は務まらない。突然の襲撃に、護衛の為貨物列車に乗っていた兵士の多くは命を落とした。

 ノイズの攻撃は激しく、攻撃が直接行われていない車両にもその振動が襲い掛かる。

「キャッ!?」
「大丈夫ですかッ!?」

 振動に思わずよろけるあおいを、銀髪で四角い眼鏡を掛けた白衣の男性が心配して声を掛けた。その手には聖遺物輸送用のケースが抱えられている。

「平気です。それよりウェル博士は、もっと前方の車両に避難してくださいッ!」
「えぇ」

 白衣の男性……ウェル博士があおいの言葉に頷くと同時に、後部車両から響とクリス、透の3人がやってきた。透の手にはライドスクレイパーが握られている。

「大変です! 凄い数のノイズが迫ってきます!」
「連中、明らかにこっちを獲物と定めていやがる。まるで何者かに操られているみたいだ」
「……ッ!」

 響とクリスの言葉に頷いていた透が、突然何かに気付いたように上を見上げると2人を前に押し出しさらにはあおいまでをも前方に退避させた。何事かと透以外の全員が彼を見るのと、天井を突き破ってきたノイズが透のライドスクレイパーで薙ぎ払われるのは同時の事であった。

「ッ!? すまねぇ、透!」
「急ぎましょう!」

 動物的直感で危険を察知した透のお陰で命拾いしたが、このままここに居ては命がいくつあっても足りない。一行は急いで前方の車両に移動していった。





***





 その様子は、仮設本部に司令部機能を移した特異災害対策機動部二課の司令室でも確認されていた。

「第71チェックポイントの通貨を確認。岩国の米軍基地到着はもう間もなく……ですがッ!?」
「こちらとの距離が伸び切った瞬間を狙い撃たれたか」

 弦十郎はモニターに映るノイズの反応を睨みながら溢す。その隣には、今回の作戦にてオブザーバーとしてやって来ていたアルドの姿もある。

「魔法使いは今の所確認されていないようですね」
「あぁ、幸いな事にな。だがこれは何者かがソロモンの杖強奪を目論んでいると見て間違いない!」

 拳を握り締める勢いで告げる弦十郎の言葉は、司令室の職員の気合を入れ直すのに十分だった。
 前回の一件で、ソロモンの杖の危険性を彼らは嫌と言う程知っている。それを再び悪事に利用しようとする者の存在を、許す事など出来る筈がない。

 現場の少年少女をサポートすべくコンソールに指を、モニター目を走らせる。

 銃後で奮闘する彼らの姿を眺めつつ、アルドは頭を回転させる。彼女がここにこうしているのは、今回の作戦でジェネシスの介入が予想されたからだ。だが実際には魔法使いは1人として姿を現さず、代わりにノイズの大群が大挙として襲い掛かってきた。

 それ自体は確かに問題だが、アルドが腑に落ちないのはノイズの制御方法である。あのフィーネでさえ、ノイズの完全な制御にはソロモンの杖を必要としたのだ。敵が求めているだろうソロモンの杖は現在貨物列車の中。にも拘らず、ノイズ達は統制の撮れた動きをしている。

 明らかに順番がおかしかった。これでメイジが襲撃しているのであればここまで疑問を抱く事は無かったと言うのに。

――…………まさか?――

 アルドはある仮説に行きつき、もしもと言う時の為の保険としてホワイトガルーダの脚に文を巻き付けて飛ばした。




***




「はい、はい……多数のノイズに混じって、高速で移動する反応パターン?」

 あおいが端末で仮設本部と連絡を取り合いながら、ウェル博士を始めとしてクリスと響、透を先導する。

「三ヶ月前、世界中に衝撃を与えたルナアタックを契機に、日本政府より開示された櫻井理論。その殆どが未だ謎に包まれたままとなっていますが、回収されたこのアークセプター・ソロモンの杖を解析し、世界を脅かす認定特異災害ノイズに対抗しうる新たな可能性を模索する事が出来れば……」
「そいつは……ソロモンの杖は、簡単に扱っていいモンじゃねえよ」

 ウェル博士の独白に、クリスが苦い顔をしながら答えた。居場所を作る為、フィーネに誑かされたからとは言え、実際にソロモンの杖を起動させたのはクリスである。その事に対して彼女は未だに負い目を感じていた。

 そのクリスの肩に透が手を置き、クリスの片手を響が優しく取った。

「ッ!? う、あ?」
「大丈夫だよ、クリスちゃん」

 励ましの言葉を投げかける響。言葉は無いが、透も同じ想いをクリスに対して抱いていた。それは確かにクリスに伝わり、罪の意識に苛まれていた彼女の心を鎮めた。

「……バカ」

 優しく自分を包む2人の優しさを、クリスは小さく悪態を吐きながらも頬を染めて受け止めた。これが響だけであればもっと素直ではないリアクションであったかもしれないが、透の存在が彼女にとっての緩衝材として機能したようだ。

「はい、はい……了解しました。迎え撃ちます」

 そうこうしていると、あおいが通信端末を胸ポケットに仕舞い拳銃を手に取った。その動作と今し方の言葉で3人は自分達の出番が来たことを悟り気を引き締める。

「うっし、出番だな!」
「行こう、2人とも!」

 気合を入れてクリスはギアペンダントを握り、透は左手中指にウィザードリングを嵌める。

「Balwisyall nescell gungnir tron」
「Killter Ichaival tron」
〈チェンジ、ナーウ〉

 光に包まれ、3人の姿が変わる。

 響はガングニール、クリスはイチイバルのシンフォギアを身に纏い、透もメイジに姿を変える。

 その透の変身したメイジだが、以前とは見た目が変化していた。仮面はウィザードと同様磨かれた宝石のように輝きを放ち、左手のスクラッチネイルと腰の後ろの尻尾上のパーツ・ドッジテイルが無くなっている。代わりに首には赤いマフラーが巻かれていた。
 これは今後ジェネシスのメイジと戦う事を考え、アルドが透のウィザードリングに手を加えてマイナーチェンジした結果である。こうすれば見知った者であれば一目で透とそれ以外のメイジの違いが分かる。

 これは飽く迄マイナーチェンジであり、外見以外に変化はない。寧ろスクラッチネイルなどが無くなった事で攻撃手段が減ったという見方も出来てしまうが、透は元々攻撃は魔法とカリヴァイオリン、ライドスクレイパーか蹴りしか戦闘で使わないので何も問題はない。

 3人の変身が完了すると同時に、またしてもフライトノイズが天井に突き刺さった。あと一歩間違っていたら命は無かった状況に、ウェル博士が驚きのあまり腰を抜かす。

 そのフライトノイズを早々に始末し、3人は天井を突き破り列車の屋根に飛び移った。
 すると周囲は既に無数のフライトノイズで埋め尽くされていた。

「群れスズメ共がうじゃうじゃと……」
「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで特訓してきたあのコンビネーションがあれば!」
「あれはまだ未完成だろ? 実戦でいきなりぶっこもうなんて、おかしな事考えてんじゃねえぞ」
「うん! とっておきたい、とっておきだもんね!」

 2人の会話に仮面の奥で微笑み、透はライドスクレイパーに跨り空へと飛翔した。この中で唯一単独で空を飛べる透は、我先にと迎撃の為に行動を開始したのだ。

〈アロー、ナーウ〉

 透は空中で縦横無尽に動き回りながら、ノイズに対し魔法の矢で攻撃する。必殺級の威力は無いが、それでも雑魚ノイズを一撃で仕留める位どうという事は無い。

 しかしそれでもノイズの数の多さは厄介だった。彼がどれだけ撃ち落とそうと、数で勝るノイズはその隙を突いてくる。頭上や真下、背後と言うどうしても死角になってしまう場所からフライトノイズが群がるように彼に襲い掛かった。

 当然、それを黙って見ているクリスではない。

「させるか! オラオラオラァッ!」

 ボウガン型のアームドギアが上空、特に透にばかり気を取られているノイズを集中して撃ち抜いていく。そのクリスの死角からは、別のフライトノイズが襲い掛かろうとする。透の飛翔能力と速度、そしてクリスの射撃能力を以てしても、尚どうしても隙間は生まれてしまうのだ。
 だがクリスは背後を取られる心配はしていない。何故ならこの場にはもう1人、頼りになる仲間が居るからだ。

 クリスの死角から迫っていたフライトノイズを、響が殴り蹴り飛ばす。透が上空で多くのノイズの注意を引き、隙が出来たノイズをクリスが撃ち抜き、そしてその2人の警戒を突破したノイズを響が余すことなく仕留める。この3ヶ月で共に訓練した3人は、互いの死角をカバーし合って見事な連携を見せていた。

 が、それでもまだまだノイズの数は多い。クリスが一気に勝負を掛けようと放った広域殲滅技の『GIGA ZEPPELIN』でも、全てを殲滅する事は叶わなかった。


 その上――――――

「あいつが取り巻きを率いてやがるのかッ!」

 爆煙を切り裂き飛行する巨大なノイズ。そいつはクリスの弾幕を切り抜け、迎撃に向かった透と対峙する。

 サイズ差があまりにもあり過ぎる相手だが、透は恐れずカリヴァイオリンを取り出しすれ違い様に攻撃を仕掛ける。まるで中世の馬上戦の様に互いに何度も相手と交錯しながら戦う透とノイズ。サイズ差を逆に生かしてノイズの攻撃を巧みに回避する透だったが、ノイズ側にも透の攻撃はあまり有効打となっていない。表面を幾ら削っても効果が薄いのだ。

 ならばと、クリスがスカート部のミサイルポットを展開しつつ透に声を掛けた。

「離れろ透! うおぉぉぉぉぉぉッ!!」
[MEGA DETH PARTY]

 小型ミサイルの弾幕が大型飛行ノイズを追尾する。しかしそいつは急旋回を繰り返す事で相殺し、振り払ってしまった。

「だったらぁぁぁぁぁぁッ!!」
[BILLION MAIDEN]

 ミサイルでは追いつけない。そう考えたクリスは今度はアームドギアをガトリング砲へと変形させ一斉装者する。飛翔体を迎撃するならやはりミサイルよりもガトリングだ。

 しかしノイズはこれすらも避けた。それだけでなく、頭部周囲の鳥の嘴の様な突起を展開し鏃の様な姿の突撃形態となって突っ込んでいく。
 先端部は破城槌よろしく頑丈なようで、クリスの攻撃が全て弾かれた。

 それに対し、上空から迫った透はカリヴァイオリンを手放し右手の指輪取り換えハンドオーサーに翳した。それと同時に響が屋根から飛び上がる。

〈イエス! キックストライク! アンダスタンドゥ?〉
「うおぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 ほぼ同時に大型飛翔ノイズに突き刺さる、透のキックストライクと響の拳。傍から見ていたクリスはこれで決まったと思った。
 しかしなんと、ノイズはこの攻撃にも耐えた。流石にそのまま突き進むことは出来なかったようで軌道は逸らされたが、未だ消滅する気配は見せない。

「なんつー堅さだ!? しかもお代りまで来やがったし」

 大型飛翔ノイズに手古摺っている間に、小型のフライトノイズがまた沸いてしまった。これでは何時まで経っても終わらない。

 しかも最悪なのは、今ので透の魔力が大きく消費されてしまった事だ。透としては今の一撃であの大型飛翔ノイズを倒し、残りの雑魚を各個に撃破していく算段であった。それが思わぬ堅さで覆されてしまったのだ。

 クリスは透を一旦休ませ、周囲の小型ノイズ共々大型飛翔ノイズをガトリング砲で迎撃する。

「あん時見たく空を飛べるエクスドライブモードなら、こんな奴らにいちいちおたつく事なんてねえのにッ!」
「ん? ッ!? く、クリスちゃん!? 透君!?」
「あん? うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 不意に背後を振り返った響の声に、そちらを見たクリスは悲鳴を上げた。
 戦闘に夢中で気付かなかったが、トンネルがもう目と鼻の先まで迫っていたのだ。

 このままではトンネルの淵で弾き飛ばされてしまう。クリスがそう危機感を抱くのと、透が新たな魔法を使用するのはほぼ同時であった。

〈フォール、ナーウ〉

 咄嗟に透が使用したのは、足場に穴を開けるフォールの魔法。下に空間があればそこに繋がる穴を開けられるし、無くても即興の塹壕が掘れる優れモノだ。ルナアタック最後の戦い直前で、颯人の命を救った魔法でもある。

 警告なしで足元に穴を開け、響とクリスと同時に退避させる透。その際彼は2人の腰をそれぞれ片手で支え、列車内に降り立った時2人が倒れないように考慮した。

「あ、あぶねぇ。助かったよ透」
「ありがとう透君!」

 2人からの感謝に、透は頷く事で応えた。

「それにしても……クソッ!? 攻めあぐねるとはこういう事かッ!」

 クリスが悔し気に拳を手の平に叩き付ける。その横では透も腕を組んで考え込んでいた。

 恐らくだが、スペシャルの魔法を使って魔力を全開にすればあのノイズに対し攻撃を通す事も可能だろう。だがあの形態はスピードを犠牲にした力だ。あのノイズ相手には相性が宜しくない。

 さてどうしたものか…………2人が揃て悩んでいると、響が名案が思い浮かんだと声を上げた。

「あ、そうだ!」
「何だ? 何か閃いたのか?」
「師匠の戦術マニュアルで見た事があるッ! こういう時は、連射の連結部を壊してぶつければいいって!」
「はぁ……おっさんのマニュアルってば面白映画だろ? そんなのが役に立つのかよ」

 期待した自分が馬鹿だった……あたかもそう言いたげにクリスは呆れた声を上げた。

「大体、魔法使いが相手ならともかく、ノイズに車両をぶつけたってあいつらは通り抜けてくるだけだろ?」

 出来るだけ優しく説き伏せるように言うクリスに、透も隣でウンウンと頷いた。
 しかし響の顔に浮かんだ自信は揺らがない。

「ふっふ~ん! ぶつけるのはそれだけじゃないよ!」

 自信満々の響に、クリスと透は揃って顔を見合わせた。

 ここまで言うのならばと、2人は響に協力する事にした。どの道今は他に何か案が浮かぶ訳でもないし、ここは一つ賭けてみようという事だ。

「急いで! トンネルを抜ける前に!」

 クリスが列車の連結部を撃ち抜き破壊すると、響が両足を曲げて連結器同士の間に挟まった。

「サンキュー、クリスちゃん!」
「本当にこんなんでいいのかよ?」

 クリスの不安そうな声を他所に、響は全身の力を使って後方車両を押し出した。

「後は、こ、れ、でぇぇぇッ!」

 切り離された車両は速度を失い、後方へと引き離されていく。
 その車両をノイズ達は位相差障壁で通り抜けた。ここまではクリスと透の予想通り。

 だが2人が予想もしていなかったことがある。それはノイズの移動速度だ。視界が車両で塞がれたからか、待ち伏せを警戒してかノイズの飛行速度が先程よりも落ちていたのだ。

 速度が落ちてしまえば、あのノイズの硬さも生かせない。車両を通り抜けてきた大型飛翔ノイズは、顔を覗かせた瞬間に響のブースターによる加速力を付与した拳を叩き付けられる。
 変形してパワージャッキの性能も大幅に向上したナックルは、更に内部のギアを放電しながら高速回転させ威力を倍増させた。

 これには大型飛翔ノイズの防御力も白旗を上げ、先端をひしゃげさせて爆散した。それだけに留まらず。閉鎖空間上での爆風は後方のフライトノイズ達をも巻き込み次々と消滅させていった。

 後詰として、もしくは爆風の威力が前方車両にまで届きそうになってきた時の為に切り離した連結部で待機していたクリスと透は、その結果に素直に舌を巻いた。

「閉鎖空間で相手の機動力を封じた上で、遮蔽物の向こうから重い一撃……あいつ、どこまで……」

 驚くクリスの隣で、透が小さく拍手している。

 それに気付いたクリスが、思わず嫉妬の炎を燃やした。自分以外で透の関心を集めたのが気に入らなかったのだろう。それも勿論、脅威が過ぎ去り心に余裕が出来たからだが。

「な、何素直に拍手してんだ! って言うか、考えてみたらこの戦法ならあたしだってあいつらを始末できてた! それももっとド派手にだ!!」

 ヤキモチを焼くクリスに、透は笑って彼女の頭を撫でる事で応えた。勿論仮面で彼の顔は見えないが、彼が笑顔である事はクリスには手に取るように分かった。

「ん……分かれば良いんだよ」
「♪……!? !!」
「え?」

 改めてクリスの可愛さを噛み締めていた透は、ふとトンネルの方を見てある事に気付きクリスの視線をそちらに誘導した。何事かとクリスがそちらを見ると、そこには走る車両に必死に追い縋ろうとする響の姿があった。

「待ってぇぇぇぇッ!? 置いてかないでよぉぉぉぉッ!?」
「ば、バカッ!? 自分から降りたんだろうがッ!?」
「だってぇぇぇぇぇッ!?」

 ジャッキの力も使って必死に追い縋ってくる響に、クリスが堪らずツッコミを入れた。そりゃ高速で走る列車から降りれば置いてきぼりを喰らうのは当たり前である。

 手摺に掴まりながら手を伸ばすクリスだったが、列車が徐々に速度を上げ始めたのか響との距離が開いていく。

 見兼ねた透が、ライドスクレイパーに乗って響を回収し列車に戻る。
 何とか取り残されずに済んだ響は、透への感謝のあまり彼に抱き着いた。

「ありがとぉぉぉ、透くぅぅぅん!!」
「おいコラッ!? 透から離れろッ!?」

 頬擦りする勢いで透に抱き着いた響を、クリスが必死に引き剥がそうとする。

 透は岩国基地に到着するまでの間、響とクリスの2人に挟まれて揉みくちゃにされるがままになるのだった。 
 

 
後書き
と言う訳で第67話でした。

不穏な始まりでしたがこれが意味しているものは後に明らかになります。

折角G編が始まったと言うのに颯人の出番が無くてごめんなさい。今回と次回は颯人の出番無しになってしまいました。
今頃颯人はライブに備えている奏の傍でしょうからね。仕方ありません。

執筆の糧となりますので、感想その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。 
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