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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その十一

 ティムール軍は進んでいった、そしてそれはオムダーマン軍も同じで。
 アッディーンも軍全体を指揮しつつ戦場に向かっていた、彼のそれはシャイターンに負けないまでの軍の統率を見せていたが。
 その中でだ、幕僚達がアッディーンに話していた。
「今回もですね」
「あの艦はですね」
「持って行かない」
「そうするのですね」
「そうだ、持って行かなかったのはだ」 
 まさにとだ、アッディーンはオムダーマン軍の総旗艦アリーの最高司令官の席から言った。
「まだだからだ」
「あの艦を使う時ではない」
「だからですね」
「今回もですね」
「持って行かないですね」
「出来ることならだ」
 まさにとだ、ここでアッディーンは言った。
「あの艦は前の戦いの時にな」
「既にですね」
「持って行ってですね」
「使っていましたね」
「戦いに勝つ為に」
「その為に」
「そうだった、しかしだ」
 それがというのだ。
「まだだ、前回も今回もだ」
「今使うとですね」
「持って来たその時点で、ですね」
「シャイターン主席に気付かれる」
「そうなるからですね」
「それで持って来ていない」
 その艦をというのだ。
「もっと言えば持って来れなかった」
「シャイターン主席に気付かれると」
「その時はですね」
「即座に見破られ」
「その運用も見抜かれる」
「だからですね」
「持って来れなかった、シャイターン主席に気付かれない様に使うには」
 まさにというのだ。
「今も駄目だ、絶対にだ」
「気付かれない時にですね」
「その時を見計らって」
「そうして使いますね」
「その時を待っている」
 その目を鋭くさせてだ、アッディーンは言った。
「今はな」
「そうですか、そしてですか」
「今ではなく」
「時が来るまで、ですね」
「待つのですね」
「そうするのですね」
「そうだ、最悪来ないかも知れない」
 その艦を戦場に投入する時はというのだ。
「そうなるかも知れない、しかしだ」
「それでもですね」
「戦争には勝ちますね」
「最後の最後はどうしても」
「我がオムダーマンが勝ちますね」
「戦争は単純だ」
 パットンも言った言葉だ、とはいえパットンは今のアッディーンとは違う意味でこの言葉を出していた。
「勝利か敗北か」
「どちらかですね」
「こうした場合の戦争は」
「それしかないですね」
「統一するかどうか」
「そうした戦争は」
「そうだ、この場合の戦争程目指すものが単純なものはない」
 こう言うのだった。 
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